生存戦略 Part3
総合評価いつのまにか7777突破してたみたい。残念ながら7777だった時は見れなかったけど。
本日の成果発表ー!どんどんぱふぱふ〜!
猪三頭から猪肉が四つドロップ、鹿二頭から鹿肉が一つドロップ、ウサギから謎肉が一つドロップ、それと肉とか関係ないけど超低確率ドロップの激レア装備『幸運ウサギの御守り』がドロップした。これはウサギ系のモンスター全般で極低確率でドロップする装備で、装着すると幸運値がアップするものだ……。うーん、これが落ちたってことはこれから幸運が続くよって事なのか、それともこれで運は全部使い果たしたって事なのか……。後でルーレットさんに押し付けて僕の幸運を回収しておこう。
あぁ、話がズレてしまったね。その他食材は正体不明の鳥から謎肉が、雑草や薬草、毒草に紛れていたハーブ系のアイテムも見つけられた。いやー、普段街で住人の人と会話しているとこう言った隠しアイテム的な物も教えてくれるから有難いよね。
味付けは調理道具一式に『さしすせそ』は揃っていたからなんとかなるだろう。ただ、主食に相当する物が無いのが残念だ。
それじゃあ、拠点に戻ろう。
拠点に戻るとそこにはログハウス風の建物がありました。何故だ……。ま、まあ、とりあえず中に入ろう。
「ただいま〜?」
「おぅ、お帰り、どうだすげぇだろ拠点。教授が設計したんだぜ」
中に入るとルーレットさんが出迎えてくれた。
どうやら教授は検証活動の一環として建築スキルも入手していたらしく、設計と指示は教授、実働はガン爺で行ったらしい。
で、貴方はこのログハウスのどこに貢献を?え?吉凶星占師本来のスキルで拠点周りに獣除けの結界を張った?なるほど、お疲れ様です。
そのままルーレットさんにリビングらしき場所に案内される。あ、今更ながら靴履いたままだ。大丈夫なのかな?ってルーレットさんも外で見た靴のままだからいいか。
リビングでは既に僕以外の全員が揃っていた。
「すみません、待たせてしまいましたか?」
「いや、大丈夫だ。ちょっと前にゾロゾロっと帰ってきた感じだからなそんなに待ってない」
それは良かった。
「じゃ、ユウが帰ってきたから食材渡して、料理作ってもらうぞー」
狩りに出ていた全員から食材が送られてくる。アポロさんから肉、肉、肉、それと肉が届いた。
……バウアーさんは?肉と肉……やっぱり肉が届く。
ネルネルさんは違うよね、女子力見せて?
…………肉づくしでした。
いや、一人くらい山菜とかハーブとか取ろうよ、みんな主食も肉なの?
まあ、肉しかないならそれで作るけどさ?
リビングに併設されているオープンキッチンに移る。
へぇ、ここに調理道具一式を組み込んだんだ。昔風のアンティーク調のキッチンになっている。
さてさて、ファジーの中でははじめての料理だけど、スキル無しで淹れた紅茶が美味しいと言われたんだ、現実世界の技術を持ち込むことも可能なんだろう。
うーん、何を作ろう?とりあえず一番量が多くなった鹿肉を使ってステーキを焼こうかな、どれぐらい『出来る』のかの確認も含めて。
「それじゃ、れっつ、くっきんぐ♪」
結論、なんとかなる。調理道具一式に料理スキルが付与されていたことも要因の一つではあるだろうけど、やはり現実世界のスキルがここでも通用するっていうのが一番だと思う。むしろTECステータスの補正で現実世界よりもやり易かった。
結局あの後鹿肉だけではみんなの食欲は治らず猪肉、謎肉のステーキや香草焼きなども作ることになった。
明日はもっと大きなフライパンやオーブンにしてもらえるようにガン爺に頼んでおこう。
食事が終わり再びリビングに集まって話をする。
「それじゃ、夜の見張りのローテーションを組みたいと思うのだが」
「?いるんですか?見張り」
ルーレットさんの獣除けがあるから大丈夫だと思うけど?
「確かに獣に関しては大丈夫だろう。ただユウ、襲ってくるのは獣だけじゃ無いんだ」
そう言ってニアさんはメニューを開きあるページを見せる。
「ほらここ、この文を見てみな?」
ニアさんが開いたのは運営から送られてきたメール、イベントページ、生存戦略に関する内容だった。
あー、なるほど。
「今回の敵はモンスターだけじゃ無い、プレイヤーも潜在的な敵だ」
ーー本イベント中は倒したモンスターやプレイヤー、集めた素材ごとにポイントが加算されていきますーー
確かにこれは来るな。
多分プレイヤーが最も簡単に物資を手に入れる方法、それは略奪だ。
「そんなわけで夜間の見張りなんだが、どうする?」
「儂はいつでも良い、鍛治をするのに昼だの夜だの関係ェねぇからな」
「同じく、むしろ賭け事は夜が本番だ」
「私はなるべく朝の方が良い、遅くまで起きてるの無理」
「俺は空いた時間にでも入れてくれ」
「同じく」
みんな夜に強いなぁ。ネルネルさんはここにいる廃人たちとは違ってちゃんと生活リズムがあるみたいだけど。
「そうですね、私も本領は夜ですね。そう言うスキルも有りますし」
夜天骸や魔狼の誓い、あと夜天の魔核もそうだと思う。暗視も有るし心眼も暗闇どころか有る程度の障害物まで透視できる。
……あれ?むしろ僕、昼間だと弱くなってないか?スキルや称号の効果も少なくなるし…………。ま、まあ気にしない!うん!気にしたら負けだと思うな!
夜の見張りは二人一組で2時間ごとに交代する事になった。
1組目はネルネルさんと教授。
2組目は僕とニアさん。
3組目はアポロさんとガン爺。
4組目はバウアーさんとルーレットさん。
1→2→3→4→1……とローテーションをすることになる。この組み合わせの理由としては遠距離殲滅と索敵看破、遠距離災厄と近接の悪魔、装備の消耗が激しい人と装備の回復が出来る人、自己バフ山盛りマンとデバフ山盛りマン。それぞれの長所が組み合わさるように組んだらしい。
全く、誰が災厄だって?精々突発的にお仕置きモンスターを召喚しただけじゃ無いか、本当の災厄は猪と戦っていたらいつのまにかエリアの端まで来ていて流れ弾でお隣のエリアもスローターしてしまい追加でうさぎのお仕置きモンスターも登場しちゃった時のことを言うんだよ。アレはどうしようもなかったなぁ、敢え無く死に戻りました。
「あ、ニアさん、ちょうど良かった」
「お?もう時間か?」
キッチンのことでガン爺にお願いがしたかったから探しているとニアさんに出会った。ちょうどいいニアさんはパーティーリーダー権限みたいなのでメンバーの位置が分かるから教えてもらおう。
「実は、かくかくしかじかで?」
「おう、まるまるうまうま」
「で、何かわかりましたか?」
「いや、全く分からん!」
「ですよねー」
「「はっはっはっは」」
僕の知ってるごく僅かなネタの一つなんだけど、これどう言う意味なんだろね?多分なにかの意味があるのだと思うけど……実は何も意味は無いのかもしれない。
「で、どうしたんだ?」
「ニアさんってメンバーの現在地を確認できるじゃないですか、それでガン爺の居場所を教えてもらおうと思いまして」
「なんだ、そんなことか。それならこの家の勝手口から外に出て直ぐにある小屋にいるぞ、ちょうど武器の修復を頼んだところだったんだ」
へぇ、そんなんだ。
じゃ、時間になったら呼びにきてくれリビングにいるから。そう言ってニアさんは去っていった。
さて、外の小屋だったね。
「こんばんはー、今大丈夫です?」
「うむ」
小屋は簡単に見つかった。そうだよね、鍛治で火を使うから母屋から離したとはいえそこまで遠くにする筈もないし。
小屋の中では火の入った炉の前で鍛治士モードになっているガン爺がいる。どうやらニアさんに頼まれた装備の修繕直前だったらしい。「うむ」しか言わないが『なるべく手短にしろ』と雰囲気で語っている。
「えーと、キッチンのことなんですけど出来ればフライパンとか鍋とかを大きくして貰ったりオーブンを大きくして貰ったりとか出来ます?」
「……出来ないことは無いが」
あ、若干めんどくさいなと思ってるな?
「んー、無理そうなら大丈夫ですけど、ただオーブンが大きくなったり鍋やフライパンが変わればそれだけ料理のバリエーションが増えるなぁと思ったんですけど……」
「む……」
んー?もうひと押しかな?
「それにこれからのイベント中も同じ量を食べるなら若干生産速度が足りないですねー。一度に作れる量も限界が有りますし……」
「わかった、明日の日中に万全に仕上げて置く」
交渉成立。あ、そうだ。
「出来れば、で良いですけど燻製機とかって作れますか?」
「……なんとかしよう」
やった!言ってみるものだね。
『ひじょーにこーど』な交渉が終わり、そろそろ良い時間なのでニアさんを呼んで警戒に行こう。
リビングに行くと先ほどの発言通りニアさんがソファーに座っていた。
「ニアさん、そろそろですよー」
「りょーかい」
外に出るとネルネルさんたちは拠点のすぐ前に木箱から出てきたテントを張り、焚き火をしながら警戒をしていた。
「む、もう交代の時間かね?」
「ああ、教授たちは休んでくれ。ネルネルが結構限界だぞ」
「……ねむ、もうねる」
そう言ってネルネルさんはフラフラと家の中に入っていった。夜に弱いって本当だったんだな。
「では交代してありがたく休ませて貰うよ」
教授も拠点の中に入った。
さて、夜警だけど……うん、よく見えるね。暗視の効果もしっかり効いてる。これならなるべく高いところから俯瞰視点で見たほうが早いな。
あ、そうだ。
「ニアさん、私屋根の上に登りますけどどうします?」
「んー、私もついてく」
屋根には普通にジャンプして登る。元々ディオンの街壁と同じ高さまで跳べるんだから、高々家一軒程度わけもない。
ニアさんは少し苦戦していたので僕が鎖で引き上げた。
それにしても綺麗な夜空だなぁ、周囲に光源が無いので月も星もよく見える。
月ももう少しで満ちるだろう。殆ど満月に近い月だ。おそらく5日程度、イベントの6日目辺りに綺麗な満月になると思う。
そんな綺麗な夜景を見て感動していると、視界の隅に不粋なモノを見つけてしまった。
「はぁ、ニアさん早速賊が来ました」
「お?マジか?よくわかったな?」
「暗視と心眼、あと遠見系のスキルのおかげですね」
現在進行形で監視を続けているが、やはり襲う準備を進めているようだ。
「それにしてもなんで私達に変わった瞬間にバカが湧くんだ?」
「えーと、見た感じ結構前から居たみたいですね」
「ん?」
「チラッと見えたんですけど賊の一人が望遠鏡みたいなの持っていたので、遠くからこの拠点を見つけて襲う準備をしていたものの、警戒しているのが遠距離最強と名高いネルネルさんと戦闘力は皆無な代わりにサポートに特化した教授の組み合わせで、すぐ襲うのは危険だと判断して様子を見ていた。ってところだと思います」
「で、そのネルネル達が引っ込んで代わりに近距離しか能のない私とよく分からないユウが出てきたからこれ幸いと襲いに来ると……」
最初から見ていたわけでは無いので憶測になるが、多分これであってると思う。さて、『条件』は揃っているかな?
「敵対状態では無い……一応今は隠密状態……月は出てるけど暗さは充分っと」
「うん?どうした?」
「いえ、アーツの使用条件の確認です」
さて、何気に初めて使うアーツなんだよね。でも『暗殺』にこれ以上特化したアーツもなかなか無いだろう。使う矢は……複合猛毒矢は少し勿体無いな。大人しくふつうの毒矢にしよう。
「『音無』」
放たれた矢は即座にその存在を薄れさせ風切り音も消える。
放った本人も矢の弾道を把握することが出来ないという思わぬ欠点が発覚したが、まあ問題はない。視認こそできないが、心眼の効果で目に見えずとも感じることはできる。素材提供者のロロや加工担当のイザベラさんに深い感謝を。
矢は夜空に舞い上がったのち、緩やかに重力に従って落ちてゆく、緩やかに加速しながら、しかし確実に対象へと死を運ぶ。そして……。
「HIT」
狙い通り、望遠鏡を所持していたプレイヤーへと突き刺さった。っと、どうやら奇襲ボーナスとクリティカルで体力を一撃全損する事に成功したみたいだ。
改めて彼らを確認すると、突如として仲間が倒れた事で混乱しているみたいだ。何者かの攻撃なのはわかっているがどこから攻撃されたのか分かってないみたいだ。
まあ、そうだろうね、遠距離攻撃の代名詞ネルネルさんもこの距離で攻撃することはできないだろう。命中精度うんぬんではなく魔法の射程距離的な問題で。
さてさて、彼らの混乱が収まらないうちに追撃をしようかな?ってあれ?敵対状態になってない?ふーん?まさか残っているプレイヤーに姿を見られていないのと見たプレイヤーを排除したから?へぇ、いい事知った♡
「『十華』『音無』」
弾幕曼荼羅に合わせて名称の変わった『十華』だが、実は名前が変わっただけで中身は殆ど変わっていないのだ。つまり旧弾幕魔法や元魔弓術にも対応している。
さて、どれだけの間敵対状態にならずに攻撃できるのかな?
「うわ、ユウめちゃくちゃ悪い顔してる」
聞ーこえなーい!ユウさん集中してるからニアさんの声なんて聞こえなーい!
その30分後、イベントエリアから6人のプレイヤーが離脱した。
うーん、一応敵対状態にはなったけど、あの距離から彼らが僕を視認することは難しいだろうし……だとすると鍵になるのは攻撃された瞬間の目撃?それとも攻撃手段の目視?そこら辺が関わってると思うな。
ガン爺は今回のイベントの為にストレージに生産素材や建築資材をスタック単位で持ち込んでます。
本作においてユウくんがリアルチートを発揮するのは料理においてのみ。正直低スキルレベル故の理不尽失敗も考えたけど過去に紅茶を淹れていたことを思い出したので今イベントのみのチート技能です。まあ、リアルで努力したことがチートと呼ばれるならプロゲーマーは全員チーターという事になるので正直リアルチートって言葉使いたくないんですけど。
ニアさんが装備を修繕に出したのに夜警にそのまま参加したのは予備の装備を持ち込んでいたからです。メインには劣りますがそれなりに高品質な装備を予備として二つ、計三つの装備を持ち込んでます。
とりあえず感想で聞かれそうなのはこれくらいかな?二、三日ほど、場合によっては一週間以上こっちを弄れないかもしれないのであらかじめ回答を貼っておきました。
あ、そういえば『かくかくしかじか』ってどう言う意味何ですか?言葉自体は知ってますが本質を知らないんです。知ってる人教えてー。