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生存戦略 Part2

前話が50話目だった、今まで応援ありがとうございます。そして、これからも本作をよろしくお願いします。





全ての木箱を回収してニアさんたちのいる場所に戻る。どうやら手持ちアイテムの確認は終わっていたようだ。でも教授達が帰ってきて無いな。


「ただいまー」

「お、ユウおかえりどこ行ってたんだ?」

「アイテム拾いに少し先まで、面白いもの見つけたので教授達を呼びに行きませんか?」

「んー、わかった。教授達は…………あっちか、結構離れてるな」


どうやらパーティーリーダーにはメンバーの位置を把握する手段があるらしく、数秒ほどマップを見つめるとスタスタと歩き始めた。

その右手に未だにイジケているルーレットさんの首根っこを鷲掴みにしてズルズルと引きずりながら……。



「…………」

「はは、気にしたらダメですよ、ニアも多分何も考えずに動いてますから」


そっか、パートナーがそう言うのならそうなんだろう。なので気にしないことにして彼女達を追いかける。










数分ほど歩いたところで教授達と合流できた、けど何してるんだろう?砂浜の砂を集めてる?


「何してるんですか?」

「おお、ニア君達かね!丁度いい、君たちも砂集めを手伝ってくれ」

「はぁ、いいですけど何に使うんだ?」

「硅砂だ!ガラスの原材料だよ。ディオンでも少量しか確保できなかったんだ」


ふーん、どうしてそこまでテンションが上がってるのかわからないけどとりあえず手伝おう。



砂集めを始めて数分、教授達が満足する量を集められたので作業を終了する。


「それで、みんなしてどうしたんだね?待っていればあそこに戻ったのに」

「いや、ユウが何か面白いものを拾ったって言うから教授達と一緒に見ようって事になった。と言うわけでユウ、そろそろ見せてくれよ」

「わかりました」


ストレージから『木箱』を取り出す。


「ほうほう、これが……」

「あ、一応鑑定してみましたが念のため教授がもう一度鑑定してみてください」

「うむ……名称は『謎の木箱』効果は……『中身は秘密!何が入っているか開けてみるまでわからない!?貴方達に幸運を♪』だそうだ。一種のガチャアイテムのようだ」


うん、僕が鑑定した時よりも詳しくなっているけど大体一緒だ。


「なるほど?一応五つ有るんですが開けたい人……あ、全員ですね。話し合って決めてください」

「よし、ユウ以外集合!」


あ、僕は外されるんだね…………。やっぱり全員分あったほうが良かったよなぁ、は!まさかこれも跳弾の罠!?わざとパーティー人数よりも少ない数の木箱を用意して仲間割れをされる的な……なんて策士なんだ。


「よし、ユウ決まったぞ!先ずは発見者のユウ、それから私とネルネル、ルーレット、最後にガン爺だ」


あれ?僕入ってたみたい?

とりあえず今はワクワクした顔で両手を前に出す彼らに木箱を渡してしまおう。


「よし、みんなに渡ったな、せーの、で一斉に開けるぞ。せーの!」


開封っと、さて中身は……『調理道具一式』?うーん、調理と料理のスキルが付与されてるアイテムみたいだ。


「みんなは何が出た?」


とりあえず周りは何が出たのか聞いてみよう。

うん、ネルネルさんはキャンプセット、薪と三〜四人用の中サイズのテントのセット。

ニアさんは鉄製ナイフ、品質はB。

ルーレットさんは銛、急所突きのスキルが付いた逸品。

そしてガン爺は……なんか後ろを向いて震えている?笑ってるのかな?

そしておもむろに振り返り。


「みんな!丸太は持ったな!?」


僕以外の全員が噴き出した、ど、どうしたの!?


「ふ、ぶふ、ひぃ、あ、ユウさんじ、実はですね……」


ふむふむ、バウアーさんの話からすると、今ガン爺がやったのはとある有名な漫画の代表的なシーンで、気を抜いていたところにいきなりネタを突っ込まれたので思わず笑ってしまったとの事だ。

うーん、僕もそう言う『ネタ』とか勉強したほうが良いのかなぁ?知らないことをされてもどう反応して良いかとかわかんないし……。


みんなの笑いが収まったところで僕の調理道具一式を見せる。そう言えば今回のイベントって食事とか必要なのかな?満腹ゲージみたいなのとか特に無いし。


ってあれ?バウアーさんと、教授、それからアポロも少し顔が青ざめている?そう言えばこの3人はパーティーの中でも常識人枠だったよね。

少しの沈黙を挟みアポロさんが口を開く。


「あー、そのこの中で料理ができるのって……」


アポロがこちらに目を向ける、質問の意図がわからなかったので首を傾げておく。

ゆっくりと視線をニアさんとネルネルさんの方に移す。二人はサッと顔を背ける。

今度は男性陣に顔を向ける。

教授は「普段から家事などは妻に任せっきりでね」

ルーレットさんは短く「無理」

バウアーさんは「はは、コンビニって便利ですよね」

最後の望みとばかりにガン爺に目を向けるアポロさん「うむ……」

首を横に振られる。

アポロさんは絶望を体現したかのような顔で崩れ落ちる。いや、一体どうしたのさ?


「開始早々詰んだ……」

「どういうことですか?」

「俺たちに満腹ゲージとか無いだろ?でも救済アイテム枠で料理、それに銛という食材確保のためのアイテムが出現した。これは今回のイベントでは食事が重要だということだと考えても良いだろう。で、今聞いてみたところ誰も料理が出来ない……詰んだよ」


あー、なるほどそういう意味だったのか、それなら。


「出来ますよ?」

「へ?」

「いや、私料理出来ます。さっきは質問の意図がわからなかったので首を傾げましたが、料理ぐらい出来ますよ」


うん、実は一時期『花嫁(・・)修行』と称してウチのメイドたちに混ざって家事などの仕事を学んだ事があるんだ。流石にフルコースとか満漢全席なんかは作れないが、カレーをスパイスの配合から作る程度は出来る。と言うか『一般的な』料理は大体できるようになっていると思う。


「か、」

「ふぇ?」

「神はここに居た……!」


いきなりアポロさんに拝まれた!?ちょ、何ですか急に!


「やめて下さいよ、何ですか?」

「ああ、女神よ、我が救済の女神よ……!」


普段真面目なアポロさんがここまで壊れるなんて……相当ショックだったんだね。

……うん、落ち着くまで好きにさせてあげよう。



数分後、嫉妬したニアさんにアポロさんは引き剥がされようやく元に戻った。


「あ、そう言えば私が料理を担当するのは良いですけど材料はあるんですか?」


全員が逸らす、あ、無いんですね。


「じゃあ、今日は拠点を構える場所を見つけてから拠点作製する班と食材を獲ってくる班の二つに分けましょう。拠点班はガン爺、ルーレットさん、教授、護衛にニアさんアポロさんのどちらかを、残りは全力でハンティングです。多分普通に狩ればいつも通りお肉とかドロップすると思うので、ガンガン集めてください。一応、ジビエ系も料理できるので心配は要りません」

「「「「「「「はーい!」」」」」」」


……あれ?いつのまにか僕が仕切っている?うん、やっぱりどこの世界でも胃袋を握った人が一番強いのかな?










拠点は海岸から離れ、内陸部、そこそこ広い草原にある川の近くに建てることになった。何でも水のあれこれがドウノコウノトカ野生動物があーだこーだと言う事らしい。正直言っていることの六割ぐらいしか理解できなかった。

けど、教授やアポロさん、バウアーさん達がそう言うのならきっとそう言うことなんだろう!

拠点作製班の護衛は全員の位置を確認できるニアさんが務めることになった。










さて、僕は久し振りに森に入っている。ん?密林があっただろ?だって、いや僕はあそこは森だとはカウントしない。だって……。

おっと、獲物発見。臨界観測眼の識別機能で調べる。

『ワイルドボア』ね、散々戦ってきたから手っ取り早く締めちゃおう。


前もっていくつか拾っておいた石を手に取り木に向かって少し強めに投げて音を立てる。

うん、猪くんは素直にこちらに確認に来てくれた。後はじっくりと機を待とう。


少しして警戒心タップリの猪がやって来る。

うん、僕が投げた石のあたりを頻りに確認しているね、まだだ、もう少し待つ。


そして時は訪れる。

頻りに顔を上げて匂いを嗅いでいた猪が嗅ぐのをやめ、立ち去ろうとした。

僕は木の枝に巻きつけていた鎖を解き、猪の頭へと落下(・・)する。


「『鎧通し』」


直上からの不意打ち、しかも脳天にクリティカルヒットした強攻撃だ。

だけど猪のHPはまだ残っている、猪は己の命が助からないことを悟りながらも攻撃を仕掛けた存在に一矢報いようと暴れる。いや暴れようとした。

うん、遅い。猪が暴れる前に僕は頭頂に突き立てた毒矢、複合猛毒矢を力任せに引き抜き、そのまま猪の頬を殴って怯ませた(・・・・)

その怯んだ一瞬があれば充分。手に持った矢を再び番え、撃つ。


「『アサルトショット』」


眉間を矢で貫かれ、今度こそ猪は絶命した。よし!


「お肉ゲット……!」


いつもは換金素材でしか無い肉アイテムも今回は主戦力だ……!


猪肉美味しいよね、鹿肉も良いな、兎は……いるかな?居たら狩ろう。


クマもイけるらしいけど、こっちの世界だとどうなんだろう?


あぁ、頭上に鳥が飛んでるね、キジかな?


うん、漸く思い出してきた。やっぱり弾幕だけに頼ってちゃダメだね。こんなに楽しいことを忘れてたなんて。原点回帰、初心貫徹。始めたばっかりの頃、狼や犬と激戦を繰り広げた時を思い出そうね。


「うーさーぎー、おーいしいー、なーべーなーべー。子グマ狩ーりし、かーのーやーまー」


全く、ひどい歌だよね。神原に教えてもらった歌なんだけど、まさしく今の状況そのままじゃないか。さて、次はどんな獲物を見つけられるかな?






宝箱がミミックだったりするのは基本だよね、トカゲを追いかけたら下に落とされるのは当たり前だし、悪夢を攻撃したら上からガーゴイルに奇襲されるのもお約束だよね。最近だと門の前に陣取っている強モブを忍殺しようとしたらどの角度からも絶対に死角になる位置に別の敵がいたこともあったね。マジフロム許さん、もっとやれ。


あ、ちなみに前話でユウくんのセットスキルを公開しましたが落下耐性がセットされてないのは仕様です。耐性つければ確かにダメージは抑えられるんだろうけどオーバーキルかスーパーオーバーキルかの違いにしかならないしどっちにしても死ぬならわざわざ枠を潰してセットするほどのものでもないと言う発想です。




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