顔合わせ 終
今回は次回から始まる予定のイベントに繋げるための話なので短いです。
よろしくお願いします。
『堅牢剛体の破城猪』討伐チャレンジ終了ー!討伐タイムは34分25秒。誰も死に戻る事なく全員で完遂することができました。
いや、パーティーって凄いね。手数どころか戦略が増えるって言うのかな?破城猪を押しとどめる盾、常に猪の状態や私たち味方の状態を確認して的確な指示を出す指揮官、破城猪を弱体化させる事ができる占い師。この3人がいるだけでかなり戦いやすかった。いや、この3人が居なかったら負けてたかもしれない、それほど大きな存在だったんだ。
ちなみに、僕の単独での最高討伐タイムは1時間22分が最速タイムだったりする。
「はぁ〜〜ん、終わったぁ」
「つら、むり、もうやりたくない。でも楽しかった」
「なんと、私たちで倒し切れてしまったのか……。それにこのドロップアイテム……掲示板が賑わいそうだ」
「ああ、教授さんお疲れ様でした、指揮凄かったです」
「怖かった、2トントラックが突っ込んでくるみたいでとても怖かった」
「うむ」
みんなおもいおもいの格好で休んでるね。けどここって一応フィールドなんだよね。休むのはまだ早いかな?
「えーと、お休み中のところ申し訳ないのですがお仕置きモンスターを討伐し終わるとフィールド内のモンスターの数を元の水準に戻そうとポップ速度が速くなるんです。なのでここでまったりしていると第2回戦が始まる事も……」
「よし!みんな移動するぞ!目的地はディオンのギルドだ!急げ!」
よほどこれ以上戦いたくなかったのかみんな元気よく立ち上がり全力で街に向かって走り出す。じゃ、僕も追いかけるとしましょう。
ギルドに戻ってきました。みんな凄いね、走り始めてから町の中に入るまで一回も休憩を挟まずに走り続けてたからね。行きとはまるで違う様子だったよ。
「えー、はい、これで実技交流は終わったわけだけど、まだ何かある人いる?」
「あ、はいはい!猪のドロップアイテムのなかで牙と毛皮があったら私に売ってください!一つ……いくらぐらいで買い取りましょうか?」
「まあ、クエストに必要なアイテムだからな、私は牙が一つと毛皮が二つドロップしている。て言うか買取額知らないのかよ」
そういえばこの街に来てすぐに受けたクエストがカイネンさんのやつだから……一回もギルドでクエストを受けてないし素材の売却をしていないような……?
「えーと、じゃあちょっと買取額を聞いてくるのでその間に取り出しておいてください」
そんなわけで一週間以上ぶりにアイテムの買取窓口に行く。あー、そうだ。どうせ素材集めの周回をするんだったら一緒に討伐系のクエストも受ければ良かったのか。視界が狭くなってたなあ。
「戻りました、どうやら牙一つあたり450ギル、毛皮は600ギルだそうです」
そう知らせると同時に複数の取引窓が開いた。それぞれに個数にあった金額を入力してアイテムを受け取る。これで牙が184個、毛皮が262個イベントまでには確実に間に合うね。
「はい、ありがとうございました。私からは……あ、ネルネルさんこの後から周回って手伝ってもらえますか?」
「大丈夫、MPポーションの補充が終わったらいつでもいける」
「じゃあよろしくお願いします。今度は密林の方に行く予定で、そこのトカゲの素材が集め終わったら返済完了って事でいいです」
これで大丈夫なはず……他の人に特に用事はなかった筈だし。
「よし、じゃあ今日はこれで解散!イベントまでは各自好きに過ごして、イベント当日は開始時刻15分前を目安に此処に集合。全員が万全の状態で挑めるように体調を整えておくこと!以上解散!お疲れ様でした!」
「「「「「「「お疲れ様でしたぁ〜」」」」」」」
「ユウ、補充が終わったよ。いつでもいける」
よし、僕もストレージ内の整理が終わった。
「それじゃネルネルさん、行きましょうか」
「うん、でも後衛二人だけで大丈夫?」
「問題無いですよ、道中に襲われなければ大丈夫です。今から行く密林では敵は基本的に隠密奇襲しかしてきません。それに出現位置から基本的に動かないので最初に焼き払ってしまえばその範囲は確実に安全地帯になるんです」
「なるほど、そういう事だったんだね。それを繰り返して高速周回をするわけだ」
「はい、でもお仕置きモンスターにだけは手を出しちゃダメです」
「そうなの?わかった出てきたら放置しておく」
「あれ、結構素直に頷きましたね?」
「うん、だってあんな巨大な猪に喧嘩を売るようなユウが手を出すなって言ったもん。何かあるんでしょう?」
あー、なるほどそう言う判断の仕方か。まあ正しいと言えば正しいのかな?
「一応情報共有だけしておきます。此処のお仕置きモンスターは『深淵に烟る神秘の狩人』、身長180cmほどの人型モンスターです。現状ではこのモンスターを倒すことは不可能だと思います」
不思議そうにこちらを見つめるネルネルさん、あ、めちゃくちゃ可愛い。
「ん、理由は簡単です。こいつ僕より速いんですよ、しかも攻撃が範囲攻撃とか遠距離攻撃ばっかりですし、そのくせ密林の木を透過して追いかけてくるんです。それに……」
たとえこいつを捕らえられるレベルまで成長したとしても僕たちに、特にネルネルさんの討伐が不可能な理由を告げる。
「こいつ、魔法無効の敵なんですよ」
ただ、攻撃しなければあちらも何もせずにしばらく経つとどこかに消えてしまうので無視してしまえば大丈夫です、と伝えて密林に向かって曼荼羅を展開する。
「さて、構えてください。密林高速周回を始めます」
さあ、今日中に終わるといいな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
三日後
「ようこそいらっしゃいましたユウ様、会長が二階でお待ちです」
僕はいま、ライトヒールに来ています。
そうです!ついにアイテム回収が終了しました!いや長かったです。ネルネルさんと一緒に密林に行った時にトカゲの素材が集め終わったのが大きいと思います。
「こんにちはカイネンさん、約束のアイテムです」
「おお、ユウ様。随分と早く集め終わりましたな」
「ええ、少し頑張ってしまいました」
契約書を手渡す。どうもアイテム本体は『不思議な力』で自動的にあちらに渡っているらしい。まあ確かにあんな量のアイテムを此処で取り出したら大惨事になるよね。
「ええ、確認しておりますよ。そしてこちらがお約束の品です」
カイネンさんからクエスト報酬が送られる。
さ、開封開封っと。
うん。
「確かに確認しました、それで封魔結晶矢に込められた魔法のことなんですが」
「ええ、勿論一覧を用意してあります、こちらをどうぞ」
カイネンさんから手渡された一覧にはアイテムの名前とそれにどんな魔法が込められているか、またそれがいくつあるのかが記されていた。
ザッと目を通しておく。
「……自由にしてもいいと言いましたが、これはすさまじいですね」
「ええ、どうやらこちらの付与術師たちが大いに遊んだらしく……ただ実戦に耐えうる効果は保証いたします」
「ええ、ただ適切に使い分けられるか不安だっただけです」
ええ、本当に。込められる魔法全部試してみたって言われても納得してしまいそうだ。
「では、今回は良い取引でした」
「ええ、またのご利用をお待ちしておりますよ」
それじゃあ結晶矢以外の試し打ちと行きましょうか。相手は勿論『先生』にお願いして。
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封魔結晶矢一覧
・封魔結晶矢《爆裂》×200
『エクスプロージョン』が込められている。解放時に大爆発を起こす。
・封魔結晶矢《風貫》×50
『エアロピアース』が込められている。解放時に敵を貫通する風の槍を発射する。
・封魔結晶矢《雷貫》×50
『スタブカレント』が込められている。解放時に敵を貫通する雷の槍を発射する。
・封魔結晶矢《光爆》
『ダイレクトレイ』が込められている。解放時に敵を焼く光を照射する。高確率で火傷状態を付与。
・封魔結晶矢《小夜霧》
『小夜霧』が込められている。解放時に闇属性を持った霧を放出し敵を暗闇状態にする。
・封魔結晶矢《障壁》
『マジックウォール』が込められている。解放時に魔法の障壁を作り出す。
・封魔結晶矢《重爆》
『グラビティバースト』が込められている。解放時周囲の重力を増加させた後範囲内の地面を爆破する。
・封魔結晶矢《氷結》
『アイシクルブレス』が込められている。解放時に超低温の風を放出し敵を氷結状態にする。
・封魔結晶矢《虚界》
『秘奥・虚数世界』が込められている。解放時に対象のステータス二つをランダムに選び0にする。
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クーラーつけたまま寝落ちしたら風邪ひいた。
一人暮らしの風邪はマジメにキツイですね。マムたん狩りながら大人しくしてます。
もしかしてお仕置きモンスターとの戦闘とか期待した?ネルネルの魔法とか見たかった?残念!全部イベントに持ち越しです!
裏設定はお休み