顔合わせ 後
待たせたな byかやのすねーく
いや、本当なら火曜日ぐらいに投稿できたんですけどちょっと気に入らなかったので書き直してたんですよ、そうしたらあら不思議時間が経っていたって感じです。
よろしくお願いします
「お嬢さん方、もうすぐ着きますぜ」
僕以外のメンバーが全員轟沈してしばらく。特にすることも無かったのでスキルの付け替えをして遊んでいると御者さんから声がかかった。
そうか、そんなに時間が経っていたのか。
とりあえずニアさんたちを起こそう。
「みーなさーん、もうすぐ着くそうですよー」
「ん?ああ、ありがとう」
真っ先にニアさんが覚醒したのを皮切りに次々と現実に意識を戻していく。
あ、そういえば……。
「馬車で中に入るってことはあの大名行列に並ぶって事かな?」
「待ってくださいユウさん、何ですか今の不吉なセリフは」
「いや、まあいろいろあるんです。知りたかったら外を見たらどうです?もうじき着くって言ってたから見えるんじゃ無いですかね?」
僕の言葉に全員が窓に取り付く。
が、窓が小さくて全員が見ることが出来ず男性陣は馬車の屋根に登らされていた。
「見えましたか?」
「あ、ああ。なあユウ?もしかして商都に入る時って毎回アレに並ぶのか?」
「いえ、流石にそれは非効率が過ぎると言うことで一般利用用の勝手口があります」
「そっか、そうだよな」
「ですが、本当に勝手口といった具合で馬車が通れるような物じゃ無かったですよ?サイズは人用でしたし」
僕の回答にどこか絶望した顔をしているニアさんとネルネルさん。
上の方では男性陣がはしゃいでいるのがわかる。多分僕の声が聞こえてないんだろうなぁ、聞こえてたら落ち込んでたはずだし。って言うか楽しそうだな屋根の上。僕も行きたい。
「まあ、あの行列になってる門は商用の門って言ってましたし、どこかに別の門があるんじゃ無いですか?ちょっと聞いてみましょうか」
そう言いつつも実は僕も気になっていたのでこれ幸いと便乗する。しばらく商都を拠点にしていた僕だけど各方角の勝手口しか使わなかったので馬車がどうなるのか知らない。
「御者さん御者さん」
「んお?どうしましたかいお嬢さん?」
「もしかして正面に見える行列に並ぶんですか?」
「いやいや、並びませんぜ?あの門に向かうことは向かいますがすぐ隣に小さい簡易門があるんでさ、そっちに入るんでさ」
ほぉー、そんな仕組みだったのか。確かにそれなら馬車の通れる道をいくつも整備する必要は無くなるのかな?
「でも、それだとあの行列に並ぶのが嫌でその門で出入りしようとする人も出てくるんじゃ無いですか?」
「ははは、問題ねぇだすよ?あそこの門を通れるのは事前に契約を結んでいる俺等ぁみたいな運び屋だけですし、その契約に人以外の輸送を禁じられてますから。契約を破ると隠せない紋様が刻まれちまうんです」
ふーん?なるほど?ここでも出てきたか契約。クエストや依頼の何やらだけじゃなくてこういうのにも使えるのか。現実でもこういうシステムがあれば犯罪率も下がるのになあ……。
「それじゃああと10分ほどで着きやすんで、上に登ってる方達に中に入ってもらってください」
それもそうだね、道中は兎も角街中で馬車の上にいるのは危ないからね。僕は自分のことを棚に上げて納得して男性陣を呼ぶことにする。
幸い彼らは呼んだらすぐに中に入ってくれた。屋根の上は普段よりも視点が高くてとても楽しかったそうだ。
全員が揃い、なおかつ意識があるので僕が受けた依頼の内容を共有しておく。改めて見るとだいぶ集めたなぁ。
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【納品依頼】
・依頼者 : ヒール商会
・代表者 : カイネン・クラバレス
依頼内容
『泥巨像の泥』400/400
『泥巨像の核』50/50
『泥鮫の皮』400/400
『泥鮫の胸ビレ』186/200
『泥鮫の尾ビレ』198/200
『疾風兎の皮』400/400
『疾風兎の刃耳』319/400
『隠匿蜥蜴の尻尾』270/300
『隠匿蜥蜴の皮』173/200
『隠匿蜥蜴の頭角』31/100
『剣牙猪の鋭牙』173/300
『剣牙猪の毛皮』249/400 の納品
依頼報酬 : 『複合猛毒矢』×1000 『銀の矢』×100 『金の矢』×100 『鋼矢』×250 『分裂矢』×500 『槍矢』×100 『封魔結晶矢(空)』×400 『魔力噴射式加速矢』×200
『魔弾:大和砲』×50
備考 : 1.依頼期限はないが出来るだけ早い方が望ましい
2.封魔結晶矢のうち200本に『エクスプロージョン』を付与する
3.封魔結晶矢のうち50本に『エアロピアース』を付与する
4.封魔結晶矢のうち50本に『スタブカレント』を付与する
5.封魔結晶矢のうち上記三つを満たしたのち余ったものには付与者、研究者の自由に魔法付与をして良い
6.ヒール商会は封魔結晶矢の生産ラインを構築する
7.ヒール商会は上記の報酬にある矢を定期的に調達する
8.ユウはヒール商会から矢弾を一定額以上購入し続ける
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「今回みんなで行くのは兎のところか猪のところにしようと思ってます」
まあ、これは単純な消去法だ。泥巨像はもう終わっている、泥鮫のところはパーティー行動に適してないし、蜥蜴はそもそもみんなが足手纏いになる。そうなると乱入の激しい猪か最高難易度の兎しか残らなかったんだ。
「まあ、ここら辺を一番知ってるユウがそう言うなら良いけど。一番進みの遅い蜥蜴に行かなくて良かったのか?」
「問題ありません、むしろそっちに着いて来られると足手纏いです。もし着いて来るのならギリギリネルネルさんだけですね。他の人は……失礼ですが邪魔にしかなりません」
「へえ、言ってくれるじゃねえか」
ニアさんが当たり前と言えば当たり前の疑問を投げかけてきたので、失礼とは思いながらもバッサリ切り捨てることにする。ルーレットさんが噛み付いてくるけど仕方ないんだよ。
「……ここら周辺で私が戦う時はスローターが基本になります。勿論この後の実技交流ではちゃんとした戦い方をしますがそれ以外の戦闘は素材の回収が最優先なのです。そうなると貴方がたは着いて来られますか?正直MP回復を待っている時間もないし、わざわざ近づいて一匹づつ殴って倒すなんてそんなチマチマしたことに付き合ってられないんです。特に蜥蜴の出る密林地帯はMP消費の激しい上に敵が散発的に襲ってくるし非常に時間のかかるエリアなんです」
「ふむ、効率を求めるのなら道理だな、ルーレット君諦めたまえ」
「ちっ、はいはいわかりましたよ」
こんな感じの話をしていると馬車が止まった。
いつの間にか街の中に入り、ギルドの降車場に着いていたようだ。
「あい、ご利用ありがとうございました。またの機会には是非俺等をご指名くだせぇ」
御者さんの定型文に見送られて久しぶり、いや数時間ぶりのディオンのギルドに入る。そう言えば馬車の代金はニアさんが一括先払いをしてくれていたようだ。なんでも主催者としての嗜みだそう。
「それじゃあここからの案内はユウにバトンタッチだ」
「了解です。えーと、皆さんアイテムの補充とかメンテナンスとか大丈夫ですか?大丈夫ならこのまま向かっちゃいますよ」
全員が問題ないと言うように首を振る。うん、流石トッププレイヤーの中のトッププレイヤーだね。常在戦場、如何なる時も最高のパフォーマンスを発揮出来るようにしているんだろう。
先ずは東の勝手口に向かう。そこから外に出てモンスターを倒しながら最終的にはお仕置きモンスターに立ち向かうのが僕の考えた予定だ。こういった予定を立てるのが得意そうなバウアーさんと教授さんに『いいんじゃないか』とお墨付きももらった計画だったりする。
なお、意見を聞いた時にはお仕置きモンスターの事は伏せてあるけどね?
「さて、外に出たわけですが、これから一匹づつモンスターを釣るので順番が決まったら教えてください」
さてさて、近くにいるモンスターは何だろうね?
「じゃあ、俺が行こう」
最初はアポロさんが行くらしい。
じゃあ、早速釣ろうかな。久しぶりにやるから腕が鈍ってないといいけど……。
『人外観測眼』『臨界観測眼』起動っと。
色が無くなり、すべてのものが極端にスローモーションになった世界で矢を番える。
「見つけた、『チャージ』『ペネトレイト』」
ステラと弾幕曼荼羅を除き現状最長射程を誇る『ペネトレイト』で狙撃する。
時間が元に戻る。
僕の眼は正確に矢を捕らえ続けている。そして……
「hit、『ソードボア』が釣れました。接敵までおよそ30秒」
「了解、それじゃ行きます」
アポロさんが前に出る。その両手には前のイベントの時に僕が渡したセスタスを装備している。
「先ず事前情報として俺の職業は『仙術士』と『魔纏拳士』、それぞれ拳に仙気や魔法を乗せて戦う職業だ。そして、その真骨頂は!『炎嵐混色【火焔嵐掌】』!」
説明中に目前まで迫ってきていた猪に掌底を繰り出した。
圧倒的な体格差に吹き飛ばされるかと思ったが、激突の瞬間アポロさんの掌底から爆炎が吹き出して逆に猪を吹き飛ばしてしまった。
「これが魔纏拳術の基礎にして奥義、魔纏の効果です。所有している属性魔法を融合させて様々な効果を生み出します。それから俺のもう一つの主力、仙術をお見せします。『縮地』」
アーツを使った瞬間アポロさんが消え、次の瞬間吹き飛ばされた猪の目の前に立っていた。
「『重気功』『金剛体』『発勁』!」
アポロさんの拳が振り下ろされ、まだまだ元気だった猪が一撃で倒された。
えぇー、その猪ある程度強化された僕の弾幕曼荼羅でも倒しきるのに二桁前半程度の弾数が要るんだけど……。
「ふぅ、このように仙術では高速で移動したり一撃の威力を高めたりと身体能力を爆発的に増加させる事が出来ます。ただ代償としてMPの代わりにHPを消費するので長期戦には弱いのが特徴です」
それでも十分すぎると思うけどね?
続いて戦闘するのはニアさん、その次にバウアーさんと続いてネルネルさん。非戦闘職の3人は最後にまとめて一体の敵を相手にすることになった。
先ほどと同じ要領でモンスターを釣る。今度は『ランスディア』だ。
「さて、私の職業は『大剣騎士』と『守護騎士』特別なことは何もない。ただひたすらに頑丈で単純に強い。それだけの職業だ。だからこそこうやって!『ハァ!』」
今まさに突撃寸前だった鹿を盾で受け止め……いや殴り飛ばした。
「『獣化』『狂化』『自己改造【筋力倍加】』『神武東征』『ルナティックレクイエム』!『エンチャント:エンドレスバーサーカー』!」
殴り飛ばされ怯む鹿に向けて右手に持つ特大剣を無慈悲に振り下ろすニアさん。なにかのアーツだと思うけどその大剣は真っ赤に染まっている。そして効果が終わり白銀色に戻った大剣を振り上げ……再び真っ赤に染まった大剣を振り下ろした。
……はい?再使用までの待機時間は何処に?
そんな疑問も置き去りにしてニアさんは大剣を振り下ろし続ける。8発入ったところで鹿が砕け散り大剣が空を切り、そこでようやくニアさんが動きを止めた。
「こんな感じでパワーイズジャスティスで進むのが私の戦い方だ。それから途中で挟んだ『神武東征』の効果でアーツ、スキルの再使用時間が30秒間0になって、効果時間中アーツの消費MPが大幅に削減される。エンチャント:エンドレスバーサーカーでクリティカルが出るたびに自身に掛かっているバフの効果時間を1秒延長することが出来る。狂化と獣化はクリティカル発生率の上昇効果があるな。これらを組み合わせて一方的にアーツを打ち込み続けるのが私の戦い方になる」
それに『神武東征』は特にデメリットも無いからな。そんな爆弾発言をしつつニアさんの実技演習は終わった。
お次はバウアーさんだけど始める前に一通りの紹介をしたいらしい。
「私はアーツを使いませんので先に紹介しておかないとややこしくなってしまうんですよ。先ずは私の職業ですがメインは『勇者』サブは『聖者』を持っています。両方ともユニーク職ですね、β時代に手に入れたユニーク称号から発生した職業になります」
いきなりぶっ込んで来た!?
「先ほどアーツを使わないと言いましたが正確には使えないが正しくて、勇者の職業効果でアーツを介さない攻撃の威力アップと全武器種への適性を得る代わりにアーツが封印されるんです」
まだ来る!?と言うか今の発言地味にスキル無しで武器が扱えるようになるって聞こえたんだけど!?僕の持ってる称号の一つが息しなくなっちゃう!
「それから自身の通常攻撃に光属性が付与され、引き換えに攻撃魔法が使えなくなります。回復や自己強化をすることはできますが効率はあまり良くありません」
あ、良かった。これで遠距離魔法攻撃までできるようだったら僕の立場が無かった……。
「それでは実演します、ユウさんお願いします」
はい、承りましたっと、うーん、見つけたけどちょっと遠い?行けるか……あ。
「えーと、どうしました?」
「……装備の効果が発動して即死してしまいました」
うん、この事は考えておくべきだった。この距離から攻撃すれば確実に奇襲になるだろうしそうなれば装備の効果で攻撃は確実にクリティカル判定になる。そしてクリティカル判定になるとまた装備の力で即死が極低確率で発生するんだ。
「もう一度呼び寄せます」
取り出すのは鏑矢、音でモンスターを呼び寄せる事が出来る特殊な矢だ。クレセートで買って以来ずっと使ってなかったのを引っ張り出してくる。
さて、この鏑矢。実は呼び寄せるモンスターの数はランダムのようで一匹の時もあれば何十匹も現れた事もあるらしい。運良く一匹だといいなぁ。
「よし、一匹だけです。バウアーさんよろしくお願いします」
日頃の行いが良いお陰か呼び寄せられたモンスターは一匹だけだった。
遠くに呼び出された猪の影を見つけたバウアーさんは腰に剣を差したまま魔法使いの使いそうな杖を取り出した。
「まずは自己強化からです『ストレングスアップ』『バイタリティアップ』『アジリティアップ』『インテリジェンスアップ』『マインドアップ』『スティールラック』『フィジカルブースト』『リジェネーション』『エンチャント:ヴォーパール』『エンチャント:ヴァーミリアン』『クリティカルシンキング』『ダメージカット』『フォートレススタンス』『テンヨクキショウ』『勇者賛歌』『聖者の行進』『精霊の加護』」
数えるのも馬鹿らしくなるほどの圧倒的なバフの数々。正直一般mobに対して過剰すぎない?
「勿論過剰戦力ですが現状で単独で出来る最高の状態がこれです」
そう言いつつ杖をしまい、腰に刺した剣を引き抜く。
「では、最後に『ブレイクウェポン』」
何かのアーツを使い一瞬だけ剣がバラバラに砕けたように見えたけど、瞬きをした後には何も変わらない剣があった。どういうこと?
「疑問には後で答えることにしてまずは敵を倒してしまいましょう」
バウアーさんはそう言って無造作に進み猛突進してくる猪に向かってタイミング良く突きを放つ。
すると冗談のように猪が消えた。一撃で体力を超えた攻撃を貰った証拠だった。
「さて、最後私が何をしたのか気になる人もいると思います。使ったアーツは『ブレイクウェポン』。武器を破壊してその武器の攻撃力を次の攻撃に加算するというスキルです」
「ふむ!?まさかあの!?」
僕は聞いたことないスキルだったけど教授、というか割とみんな知ってるみたいだ。こっそりアポロさんに聞いてみると、どうやらただ武器を壊すだけなのにアーツではなくスキルで、そのためスキル枠を一つ食いつぶす上に威力の上昇率も微妙という、残念すぎるスキルとして有名だったようだ。でもそれだとなんでバウアーさんの剣は壊れてないんだろう?
「実はこの剣、耐久値無限の初期装備なんですよ。それにこの武器だけじゃなくてさっき持っていた杖もショートカットに入っている他の武器も、今着ている防具も全部初期装備です」
縛りプレイじゃないんですけどね、と笑うバウアーさんが印象的だった。
全員が終わった後に実演する僕を除いて最後の純戦闘職のネルネルさんの番だ。
「私は基本的に固定砲台、一切動かないで砲撃をするだけ。職業も『大魔導師』と『大妖術使い』。大魔導師はスキル欄に9種類以上の魔法をセットしている時にだけ有効になる職業」
そう言って『後は私の魔法を見て判断しろ』とばかりに敵に向かって魔法を放つネルネルさんは、とても美しかった。
僕の純白の弾幕も良いのだが、ネルネルさんの魔法は質が違った。
僕の弾幕がアニソンやボカロなどの元気で明るいタイプだとするのなら、彼女の魔法は連綿と受け継がれた重厚なフルオーケストラといった具合だ。炎が踊り、氷が煌めき、風が吹いては大地が跳ねる。光が刺せば、闇が覆い尽くす。その中で雷が轟いて木が敵を拘束する。
まさに彼女の魔法は芸術だった。
「これが私の魔法、『九重羽織』の由来。もう少し敵がタフだったら妖術や八個の属性魔法を入手して初めて解放される魔法、結晶魔法や先日手に入れた遺失魔法を使って『真・九重羽織』を見せれた」
わずかにドヤ顔をしながらこちらを振り向くネルネルさんに思わず飛びついてしまったのは仕方ないことだと思う。これは綺麗と可愛いのギャップが大きすぎたから、ネルネルさんが悪いと思う。
「んで、俺たちだよな。っても説明することなんか無いし」
「うむ、こればかりは見て判断してもらうしかあるまい」
「……んむ」
ガン爺はどうやら無口ロールプレイに突入しているらしく『うむ』『ん』『見事』『承知』しか喋らない。
「では、行こうか『アナライズ』!」
教授がメチャクチャ渋いイケボで横ピースをキメ。
「『デバフ選択』『1d100ロールスタート』『54』ちっ、失敗か『デバフ選択』『3d6』『6/6/6』『おめでとうございますクリティカルです』よし……」
分厚い本を片手に地面に座り込んでサイコロを振りながらブツブツと呟くシルクハット。
「…………うー、む!!」
地面に這い蹲って一心に何かを探し、結構な大きさの石を見つけて喜んでいるエセドワーフ。
なんだこれ混沌としすぎ……。
だけど効果はあったようで……?
「ふむ、あの猪の種族は『ソードボア』レベルは42、ステータスはそれぞれ上から………………」
「これくらいで良いか?『猛毒』『漏洩』『出血』『火傷』『拘束』『石化』『凍結』『発狂』『麻痺』『感電』『沈黙』『暗闇』『中毒』『裂傷』『爆破』『脱力』載せれるだけデバフ積んだからあとよろしくな」
「行くぞ」
詳細すぎる情報をつらつらと言う教授、圧倒的なデバフをかけて猪を封殺したルーレット、先程見つけた大きな石をハンマーに作り変えて殴りかかったガン爺。
ルーレットさんにデバフで雁字搦めにされた猪は無抵抗のままガン爺に殴り倒された。
なんと言うか、非戦闘職ってエゲツないなぁ。
最後の最後、大トリは僕が務める。とは言えいつものようなスローターをすると参考にならないので今回は最初に戦った時のように色んな戦い方でやってみようと思う。
「これで全員の戦闘が終わった訳だな」
「うむ、なかなかに全員が興味深い戦い方であった」
「俺としてはバウアーさんと戦ってみたいな」
「ええ、いいでしょう。解散した後でやりましょうか」
「俺は早く賭博エリア探したい」
「むん」
「ところでユウは何してるんだ?さっきから弾幕を張り続けてるけど」
あ、気づかれた。でもMP回収量からするともうすぐだと思うけどなぁ。あ、きた!
「せっかくなので東エリア最強の敵と戦ってみないかなぁ?とお誘いしようと思いまして」
「はい、東エリアのお仕置きモンスターこと」
「いやイイ、呼ばなくてもいいから」
「良いなんてそんなに喜んで貰えるなんて嬉しいです」
「いや、そう言う意味じゃねぇ!呼ぶなよ!?」
「あ、すでに呼んだ後です。ほらもう見えてきましたよ。このエリア最強のモンスター『堅牢剛体の破城猪』さんです。ちなみに逃げるとどこまでも追いかけてくるので確実に討伐することをお勧めします」
「チクショウメェ!総員戦闘態勢!突然だがパーティー戦闘の演習だぁ!?」
うん、フィールドでのハプニングはつきものだよね。
「ユウー!後でお説教だからなぁ!」
おっと、飛び火した。
さて、僕も戦線に加わろう。現状この猪とは5戦中2勝3敗と負け越してるんだ。だから仲間と一緒にやらせて貰います。
「曼荼羅展開!」
あぁ、みんなと遊ぶのもとても楽しいな。
実はネルネル『九重羽織』とか言ってるのに9属性を持っている訳じゃない。