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ヒール商会『ライトヒール』

未だ設定ノートは発見できず……。

最早新しく設定書いた方が早い気がしてきた。




よろしくお願いします。





商都の裏雑貨屋さんは簡単に見つかった。

と言うよりもほとんど裏じゃ無かった。むしろ表側を侵食してきていて『半裏の』と言った具合だった。


……まあ、『商都』だしね、清も濁も商売の前には小さな問題なのだろう。ただ、それで路頭に迷っている人たちが身内にいるので感じるものがないこともないのだけれど……。ま、そこら辺は自分で責任を取るでしょう。一利用者たる僕が関与することではないかな?


じゃ、早速入って行こう。

あー、でも誰に合言葉を言えばいいんだろう?

とりあえずそこの店員さんでいいか。


「こんにちは、ちょっと良いですか?」

「ああ、はい。何か?」

「『邪道に光あれ』」

「……少々お待ちください、店主を呼んできます」


僕が合言葉を言った瞬間僅かに青ざめて店員さんはどこかに行ってしまった。

待っていてって言われたし大人しく待っているか。


それにしても活気があるなぁ。クレセートやグランベル(王都)に比べて何倍の規模なんだろう?あっちは五人も人が入れば十分なスペースなんか無くなって窮屈だったのにこっちはざっと見た感じ店員さんを含めて常時15人以上はいる。しかもまだまだ入りそう。

警備員が立っていて入ることは出来なさそうだが二階もあるみたいだし、とても繁盛しているようだ。


「お待たせいたしました、貴女が当店のオススメを求めた?」


しばらく店内を観察しているとイザベラさん達とは違った、なんと言うか『the・商人』!って感じの恰幅の良いおじ様がやってきた。


「はい、イザベラさんからの紹介で」

「それは結構。では二階で商談と行きましょうか」


なるほど、一階部分は他の町の表側の雑貨屋として機能しているのか、そして本来の姿、裏の雑貨屋としての機能は二階部分に……。





警備員さんが守っていた階段を上り、二階に入る。

そこは一階部分や他の町の雑貨屋の比べ物にならないほどの高品質なアイテムで埋め尽くされていた。


「う、わぁ……」

「ははは、驚きましたかな?ヒール商会が誇る品々に」

「ええ、イザベラさんやワンバックさんのところはこれほどの品は無かったので」

「そうでしょうそうでしょう!ですが本当に価値のあるものはこれらではない、そうでしょう?」


貴女なら分かるでしょう?そう言いたげな顔で話を振られた。まあ、分かるんだけどさ。


「ええ、では改めて『邪道に光あれ』」

「『邪道に光あれ』、ようこそユウさん、我が『ライトヒール』へ」


なるほど、アクアヒール、リーフヒール、フレイムヒールときてライトヒールか……。ってアレ?


「わたし、名前教えましたっけ?」

「いえいえ、しかし商人たるもの情報には敏感で無ければ!」

「おおー!」

「まあ、イザベラから貴女のことを聞いていただけなのですが」

「ええー……」

「ははは、いや、聞いていた通り楽しいお方ですな!ああ、申し遅れておりました、わたくしカイネンと申します」


カイネンさんね……って!遊ばれてた!


「いやはや、さてさて、おふざけはこれくらいにしてお話を聞こうじゃありませんか」

「……ええ、これからもお世話になりますが装備の修復と矢弾の補充、それから買取を」


先ずは装備を渡す。


「確かに受け取りました。本日中には出来上がるでしょう、しかし、原型はイザベラの夜襲一式でしょうがかなりの変質している……最早別物としか言いようがありませんなぁ」


そう言いつつ僕の方をチラチラ見てくる。

ふむ……。


「……商人さんですもんね、その情報にいくらの値をつけます?」

「むむ、そうですね。経緯に五万ギル、素材に八万ギルでどうでしょう?」

「うーん、もう一声?」

「ぬぬぬ、な、七万、十万」

「と言いつつ実は最初からその値段で取引するつもりでしたでしょう?」

「ぐぬ!?」

「ふふふ」

「…………私の負けですな。八万、十二万でよろしくお願いします。しかし、本気ではないとはいえ商人相手にはともかく素人の貴女に読まれてしまうとは……」

「……私の場合は少々特殊でしたので……」


そう言ってあの人達を思い出す、記憶の彼方に消えかけていた血が繋がっただけの愚物達を……


「……あぁ、すみません。少し意識が飛んでいました」

「そのようですね」

「それで……ああ、そうだ。装備が変質した経緯と素材でしたね」


何とか意識を戻してカイネンさんにロロの事を話す。




「……成る程、格上のユニークモンスターとの一騎打ち、そのモンスターの素材を丸々一頭分全てを使った。ですか」

「はい、他の事に使う予定も売る気もなかったので」

「そこまで言われてしまうと素材交渉も出来ませんねぇ」

「そもそも素材が無いんですけど」

「そこは、ほら同じような素材を手に入れた時に……」

「その場合も装備強化ですかねぇ、生命線ですし」

「そうですよね、私も理解しているのですがね、商人として……」

「どうしても動いてしまう、と言う事ですか?」

「ええ……あ、申し訳ない。約束の情報代です、八万ギルと十二万ギル、計二十万ギルです」

「はい、確かに受け取りました」


うん、確かに受け取った。そういえばお金って払う時は実体化させて取り出すけどしまっている時はどこに入っているんだろう?

まあ、今はいいか。また暇な時に跳弾に聞きに行こう。


「さて、あとは矢弾の補充と買取でしたな」

「はい、とりあえず買取を先にお願いします」


そう言って、僕が取り出すのはここに来るまでに倒したモンスターの素材と『ダグザ』の討伐報酬それに『捕獲の追加報酬』。


そう、あのあとメニューを見たら覚えのないアイテムがたくさん入っていたのだ。どうやらダグザの件は『強制依頼ミッション』扱いで討伐した時にはダグザ本人からのドロップアイテムと依頼達成報酬、捕獲時には本人からのドロップはないもののその時点でのダグザに掛けられた賞金と依頼達成報酬、さらに追加の報酬が得られるらしい。


僕が取り出したのは依頼達成報酬と追加報酬の分。そのほとんどが金や銀、玉などの換金アイテムだった。

もちろん装備の強化やアイテムの制作にも使えるらしいのだがロロの、夜天王の素材で装備を固めた僕には無用の品々だ。

他にもダグザが盗んだであろう素材や武器などもあったがそれは今は置いておく。


「……これは、少々お待ちください。これだけの数ですと直ぐには終わらないので」

「あ、大丈夫ですよ。装備の引き渡しと一緒に渡して貰えればそれで良いので。あと、装備は明日取りに来る予定です」

「ああ、ありがとうございます。それなら十分に時間があります」

「なんなら売却額から修繕費と矢弾の代金も払ってください」

「わかりました、それでは矢でしたね?こちらに……」


話しが纏まるとカイネンさんが辺りに積み上げられているアイテムのとある場所に案内した。


「さて、確かこうすれば……!」


カイネンさんが棚の一部を引き出した?

そんなことしたらアイテムが崩れ落ちそうだけど……。


「……これでよし。ユウさんこちらに」


カイネンさんが僕に指し示したのは……コンソールパネル?


「これでこのアイテム群の中から望む物を引き寄せることが出来ます、また在庫の確認や値段の確認も可能なのです」

「それは、凄いですね」

「ええ、古代文明の遺産、所謂アーティファクトと呼ばれるものですね」

「おおー!」


初めて聞く単語だ。なんか凄そう……。


「ですが便利なものにも欠点がありまして、設置した建物内にしか効果が発揮されないのです」

「つまりこれを用いた輸送は出来ないと……」

「ええ、残念です」

「機能制限があるとはいえ貴重なものなんでしょう?それに二階部分にも価値のあるものが沢山あるみたいですし……防犯とか大丈夫なんですか?」

「ははは、ええ、ここに最高の防犯システムが居ますからね」


そう言った一瞬だけカイネンさんの雰囲気が変わった。

穏和な人当たりのいい商人ではなく、研ぎ澄まされた剣のような戦士の雰囲気に……。


「……そう言えばイザベラさんも元々は戦士って言ってましたね」

「ええ、今でこそ商人として大成しましたが元々はイザベラたちと共に戦場を駆け回ったものです」


成る程、それは勝てないや。


「さて、少々話し込んでしまいましたが早速使ってみましょうか」


カイネンさんが場所を譲ってくれた。どうやら自分で入力してもいいようだ。


とりあえず検索で『矢』とだけ入力してみる。

すると目の前のアイテムが自動的に移動してスペースを空ける。そこに何種類もの矢が召喚された。


とりあえず識別だね。


『複合猛毒矢』

『銀の矢』

『金の矢』

『鋼矢』

『分裂矢』

『槍矢』

『魔力噴射式加速矢』

『封魔結晶矢(空)』

『魔弾:大和砲』


とりあえず初めて見たのはこれくらいだった。全部が品質A以上で揃っているのが凄い。物によっては最高品質のSもある。




『複合猛毒矢』

品質 : S

・鋼矢に複合された数種類の猛毒を染み込ませた矢、鏃は細く長く緩く螺旋を描くように捻れている。

矢自体が回転することにより安定した挙動で飛ぶため矢羽が不要となり風切り音が無くなったためより隠密性を増した。


※命中時敵に『猛毒』『麻痺毒』『出血毒』『壊毒』の状態異常をそれぞれ20%の確率で付与



『銀の矢』

品質 : A

・当たった対象を狂化し周りに存在する敵を無差別に攻撃させる特殊な矢。


※初撃のみ有効

※最大所持数3発



『金の矢』

品質 : A

・当たった対象に周りの敵愾心を集める特殊な矢。


※初撃のみ有効

※最大所持数3発



『鋼矢』

品質 : A

・矢全体を鋼鉄で作った矢。矢自体がとても重く取り回しには慣れが必要だが一撃の破壊力はとても高い。


※必要STR50以上



『分裂矢』

品質 : A

・放つと複数の矢に分裂する特殊な錬金矢。品質 : Aでは6本に分裂する。



『槍矢』

品質 : A

・鏃を含め全体が槍のようになっている特殊な矢、手に持ち槍としても使えるが本来は固定弩弓バリスタの弾として使う矢。生半可な弓では使うことが出来ない。


※必要STR70以上



『魔力噴射式加速矢』

品質 : S

・魔法科学分野の結晶。射出前に魔力を込める必要があるが、射出した後チャージされた魔力を後方に噴射することで爆発的な加速を実現した。さらに回転することによって挙動の安定を図りつつ空気抵抗の削減でさらなる加速を求めた意欲作。



『封魔結晶矢(空)』

品質 : S

・封魔結晶と呼ばれる魔法を記憶、保持する能力を持った鉱物で作られた特殊な矢。その性質上一度封じられた魔法を放つと自壊してしまう。

この矢の中にはまだ魔法は封じられていない。

品質Sでは封じられた魔法を本来の威力の1.5倍の威力で開放する。



『魔弾:大和砲』

品質 : S

・武具の神が試験的に制作したアーティファクト : 『根絶招く46cm大和主砲』に装填されていた魔弾 : 『号砲放つ皆飛ばしの砲弾』を模して作られた劣化アーティファクト。

現在では本来の使い方をする為の武装が失われてしまったため弓で射出する方法で無理矢理運用している。




わぉ、想像以上にイイモノだね。

でも、全部は買えないから……『複合猛毒矢』と『金の矢』『銀の矢』『分裂矢』、あと『魔力噴射式加速矢』と『封魔結晶矢』を買おう。

さて、それぞれのお値段は…………。

……マジで?


・『複合猛毒矢』×1 : 800ギル

・『銀の矢』×1 : 1500ギル

・『金の矢』×1 : 1500ギル

・『分裂矢』×1 : 500ギル

・『魔力噴射式加速矢』×1 : 2500ギル

・『封魔結晶矢』×1 : 15000ギル


えーと、ちょっと待って?今の僕がメインで使ってる毒矢でも一本あたり100ギルなかった筈だよ?一気に八倍以上とか……。


「……カイネンさん、ここってモンスターの素材も買い取ってくれるんだよね?」

「ええ、ですが商店ですので少量を持ち込まれても困ります」

「……マッドゴーレムの泥とか買い取ってくれる?」

「大丈夫ですね、マッドゴーレムの泥は耐火レンガになったり優秀な建材にもなりますし、何より当商会の主軸たる錬金術の優秀な触媒にもなりますので。100あっても100を買い取りましょう」

「……他にも欲しい素材とかない?」

「では泥鮫の皮とヒレ、疾風兎の皮と刃耳、隠匿蜥蜴の尻尾と頭角などもお願いします」

「あればあるだけ買ってくれる?」

「勿論」

「今のを全部は300ずつ集めたらこの矢の値段を超える?」

「そうですね……少し足りないかと」

「わかった、500持ってくる」

「では、明日の装備受け渡しの時に商会の依頼として貴女に依頼します」


よし、これでこの矢達を手に入れることが出来る。


「ですが、矢の補充の為に来たんですよね?大丈夫ですか?」

「大丈夫、矢はあればあるだけ嬉しいけど本当の主力は矢じゃないから」

「それは……」


言わないよ。

あ、そうだ。


「カイネンさん、超過した素材の分でこの矢達の定期的な調達ってお願いできますか?」

「ええ、勿論、それでもまだ私たちの利益の方が大きいですから」


よし!定期的な補充方法が出来た!その分お金はかかるけど全く問題ないね。


それを上回るだけ稼げばいいのだから。


「カイネンさん、今日は有意義なお話、ありがとうございました」

「いえいえ、こちらこそ」

「それでは、また明日に」


そう言って『ライトヒール』を出る。


さて、明日以降忙しくなるぞ。






蹂躙の時間だ……!






カイネンさんは盾しか持たない攻城兵器として有名でした。


アーティファクトは住人(もしくはGM)専用のイベントアイテムです。一部は例外的にプレイヤーが一時利用もできますがそのまま持ち去ったり貸し与えられたりすることはありません。


毒矢の後には『猛毒矢』→『複合毒矢』→『複合猛毒矢』→『???』と進化していきます。つまりユウくんは間の部分を抜かしているので一気に高くなったと感じてしまったと言う事です。



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