復讐こそが我が人生
感想にて沢山の弓不遇の原因説明ありがとうございました。ぶっちゃけ一人か二人ぐらい反応してくれたらいいなぁと思っていたんですが、まさかこんなにもレスポンスがあるとは……。
それと感想が100を越えました。わぁ、目出度い!
PVが60万を超えていました。嬉し泣きで脱水症状になりそう
これも本作を応援してくださる皆様のおかげですありがとうございます。
では、本話もよろしくお願いします。
現在、僕は走っている。
大量のモンスターに追われながら!
「またか!また君なのか!吠え猿ぅ!」
はい、どうも王都に行こうとすると吠え猿に絡まれる運命にあるようです。そんなのいらないから……普通に通してくれれば良いから……!
「……方角よし」
マップの端っこに小さくだけど王都が表示されている。そこに真っ直ぐに向かう。
「装備……よし」
右手に巻き付けてある鎖もいつでも使える。
「スキルよし!」
大跳躍。神技・八艘飛び。人外観測眼。鎖術・巻き付き、引き寄せ起動!
近くにあった比較的太い木の枝に鎖を巻き付かせ、引き寄せる!この時思いっきり地面を蹴り飛ばしてさらなる加速を……!
「……っ!こ・こ・でぇ!」
巻き付き解除!体を支えていた鎖が無くなり一気に不安定になるが既に起動している人外観測眼で冷静に『空を蹴る』!
…………飛行機ってなんで飛べるのか知ってる?
速いからだよ!!
装備によって超強化された脚力とスキル大跳躍、神技・八艘飛びで重力を引き千切る!
空中を駆ける事が出来る歩数は実質6歩、着地姿勢を整えるのと落下エネルギーを相殺するのに2歩使用するからね。でも、それで十分!
「死んでたまるかぁぁあ!」
今は背後のモンスターの群れを引き離す事が大事だから。
「はぁ、はぁ、よっしゃ!着いたぞー!」
ははは!どうだ逃げ切ってやったぞ……あ、ごめんなさい大声出して……。そんな「美幼女が……なんて言葉遣い……」って言う目で見ないで!
その後無事に王都内に入り、転職場を目指す。
前に来た時にはほとんど人がいなかったけど今は結構人が並んでる。それもそうか、前に来た時は僕たちを含めほんとうに少数の精鋭たちしか来てなかったもんね。
順番が来るまで最近統廃合の激しいスキルを整理しておこう。
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・征竜弓術(二枠消費)
・矢弾回収
・臨界観測眼(二枠消費)
・人外観測眼(二枠消費)
・神技・八艘飛び
・弾幕曼荼羅(三枠枠消費)
・震脚
・魔力増加
・立体機動
・王威lv1
・特異弓術・鏖ノ型(二枠消費)
・MP超速回復
・異質物射出
・大跳躍
・魔血鎖術
・夜天骸(二枠消費)
・奇襲
・隠密
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結構ごちゃごちゃしてきたなぁ。
スキル枠が10個もあってレベルが五つ上がるごとにスキル枠が1つ増えるなんて多過ぎないか?と思ったけど2枠消費や3枠消費があるならそこまで多くは無いのかな?
っと、順番が回って来たみたいだ。
「転職をお願いします」
「はい、今回も上位転職ですか?」
お?僕のことを知ってる?見た目変わっているけど?
いや、今はそのことはどうでも良いや。
ちなみによく見たら前回担当してくれた人でした。
「上位転職?なのかな……とりあえずこれを」
そう言って『転職権利【復讐者】』を手渡す。
「これは……失礼致しました。特殊転職ですね、どうぞこちらに」
その言葉と同時にカウンターの一部が開き中に案内された。どこに行くんだろう?
案内されるまま受付のお姉さんに着いていく。
階段を上がり何処と無く豪華な廊下を歩き、ある1つの扉の前で立ち止まる。
「失礼します、ギルドマスター。特殊転職の方をお連れしました」
「……入れ」
「失礼します、さあ、中に」
中に入ると一人の男性が黙々と書類仕事をしていた。
「マスター、こちらです」
「……ご苦労、下がっていいぞ」
「失礼します、あ、えーと」
「ユウです」
僕の名前がわからなくて困っていたので助け船を出す。
「ありがとうございます。ユウ様、あとはこちらのギルドマスターが対応いたしますので」
「わかりました」
僕が頷くと受付のお姉さんは静かに退出した。
「……とりあえずそこのソファーに座ってくれ、もう少しでこの書類の切りがつく」
「はい」
お、テーブルに色々あるじゃん。久しぶりに自分で紅茶でも入れてみようかな?
「すまない、待たせたな。どうしても終わらせなければならない仕事だったんだ。俺がこの転職ギルドのマスターだ」
「大丈夫です、私もテーブルの上の物を色々と弄ってましたから。あ、どうぞ紅茶です」
「ああ、これはどうも。申し訳ないな、本来なら俺が用意すべきなのだが」
「お気になさらず」
「そうか、そう言って貰えると……ウマッ!?なんだこれ!美味すぎる!君 「ユウです」 ユウは『奉仕の極み』を持っているのか?」
「? いえ、戦闘系のスキルしか持っていませんが」
「…………そうか」
何か物凄く納得できない顔をされたけど持ってないものはしょうがない。
しばらくお互いに紅茶を飲むだけの時間が過ぎる。
「ふぅ、さて、本題に入ろうか。特殊転職だったね」
「はい、【復讐者】に」
「わかってる、だが本当に良いのか?特殊職にはごく一部だが一度転職したら二度と変更できない職業がある。おそらくコレもその1つだ」
「問題ありません」
「本当に良いんだな?」
「勿論です」
「やるぞ?」
「どうぞ」
僕の決意が固いことを確認したのか少しくどいほど聞かれた。復讐者が当たりにせよハズレにせよ今の拳闘士よりかは確実に強いはずだ。
ギルドマスターが転職権利を取り出し何かの詠唱を唱えるが『耳に入らない』。そう、聞こえないではなく耳に入らない。ギルドマスターは確かに詠唱をしているのに、声に出しているはずなのに僕の耳に入る前に声が撃ち落とされているように感じる。なんだかとても気持ち悪い。
「…………よし、これで転職が終わったはずだ。どうしたそんな変な顔して」
「いえ、ちょっと……」
「……ああ、そうか。俺の声が聞こえなかったんだな?」
「ええ」
「それはしょうがないな。あの詠唱は神秘神によって保護されていてな。俺のように特殊転職を行えるものにしか聞こえないようになっているんだ」
またお前か神秘神!
「それよりどうだ?転職しているな?」
ステータスメニューを開く。
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PN:YŪ
LV:50
種族 :混血種(獣人族・魔狼/森人族)
JOB :魔弓術士
SUB :【復讐者】※転職する事が出来ません
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「はい、無事に転職する事が出来ました」
「そうか、おめでとう」
「ありがとうございます、それでは……」
「ああ、そうだ」
まだなにか?
「その、紅茶をもう一杯入れて貰えないだろうか?」
「……ふふ、ええ良いですよ」
転職場をお暇して、全速力でクレセートに戻る。
(途中で制御をミスして木にぶつかったのは内緒だ。奇跡的に減速中の事故だったので死にはしなかったけど)
装備の耐久値回復と消耗品の補充、それに小休憩も含めてイザベラさんのリーフヒールに立ち寄る。
「もう、装備を新しくしてから耐久値の減りが早すぎない?もう少し丁寧に扱ったほうが良いわよ?」
「あはは、気をつけます……」
そんなお小言も貰いながら耐久値回復を待つ。
そうだ、復讐者の効果を調べないと。
えーと、確か……こうして……こう?
あ、できた。
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【復讐者】
汝、喪に服する事なかれ、我ら復讐者、憎悪によって生きる者なり。
・自分のHPが0になった時35分間全ステータス30%up
・プレイヤーを倒した存在をマップに表示
・パーティーメンバーが倒された時一人につき全ステータス5%up
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なんだろこの微妙に使えない感じ……死んだ後に強化とかデスペナルティがあるから強化されるのは実質5分間だし。復讐対象がマップに表示されても仕方ないし。そもそも僕パーティーとか組まないし。
……あれ?まだ下がある。
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対応称号確認
称号【復讐者】
・復讐者の執念
復讐者のHPが0になった時一度だけHP10%で復活する
この効果で復活した場合デスペナルティは発生しない
・復讐の呼び声
復讐を宣誓することにより自身のステータスを向上させる
・復讐の撃鉄
復讐者の執念発動後30秒間自身の攻撃に与ダメージ増加、防御力貫通、耐性貫通を付与する
・終撃
復讐者の執念を使用しても復讐を成し遂げる事が出来なかった場合に自動発動する
復讐者の執念使用後自身のHPが0になった場合、自身を中心に半径10メートルを道連れに自爆する。【デメリット : デスペナルティ二倍】
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……控え目に言って最高では?
一撃で死んでしまうって結構なプレッシャーだったんだよね。それが一撃までは受けることが出来るようになった。余裕があるのは大きいなぁ。
「装備の修復終わったわよ?ってどうしたの変な顔して」
「ええ、余裕があるって良いですよね」
「何言ってるかわからないけど……はい、装備」
イザベラさんから装備を受け取り、いざ国境を越えん。
「あ、隣国に行くなら先ずは七栄教の教会に寄ったほうが良いわ。あそこ色々と便利だから」
「そうなんですか、ありがとうございます」
よし、一騎駆けだ。
「さて、あの子に教会に行くよう勧めたし、あいつらがあの子を見逃すようにも思えないわ」
「ワンバックに頼んだ店番が来たら私も出発しましょう」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
久しぶりの沼地、前回は足を取られないように常に動き続けてたんだよね。
足装備についてる悪路走破すごい、泥に全く足を取られない。このまま敵を撃破しながら進んでも良いけど大量のゴーレムに群がられるのはもう良いかなぁ。
というわけだから、一気に走り抜けよう。
「おんゆあまーく、せっと……」
真っ直ぐ前を向き、障害物の位置を確認する。
「……ごー!!」
障害物競走楽しい。
ゴーレムを無視して走り抜けていると体が何かを通過した感じがした。
……ボスエリアかな?
その割にはボスが見えないけど……
そう思ってボスを探してあたりを見回していると。
僕の正面、20メートルほどの場所が爆ぜ、中から何かが飛び出してきた!?
『神乃瞳』改め『臨界観測眼』で確認。実はこれ攻撃予測がメインの能力だけど、統合前のスキルも使うことができるのだ。さてさて、ボスは……
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泥鮫土竜
lv35
_______
なんだろこの微妙に違う感じ。先ずお前鮫なの?土竜なの?いや多分どっちも何だろうね。肺呼吸兼鰓呼吸みたいな感じで。
見た目は鮫の頭、鮫の胴体、鮫の背ビレ、鮫の尾ビレ、土竜の手足。つまり鮫に胸ビレの代わりに土竜の手足がくっついた感じ。丸いお目々がつぶらで可愛い。
「まあ、それでも攻撃するんだけどね」
弾幕曼荼羅、展開。僕を中心にして8門の砲身が展開される。
「斉射」
速攻で片付ける。
事件が起きたのは開始から5分ほど経った時だった。
明らかに弱っているという調子でフラフラしていたボスが突然吠えて地面に潜ったのだ。
今までの地面を滑って突進してきた動きとは明らかに違う。
何が起きても対処できるように足を止めてしっかりと周りを警戒する。
しかし、どこにも『臨界観測眼』による攻撃予測は出ない。
おかしい、と思った時ふと、下の方に灰色の線が……これ攻撃予測線?いや、線って言うかもう面だよね…………っ!?
頭が状況に追いついた時、全力で上に飛び上がる!間に合え!
……なんとか間に合ったようだ。飛び上がった僕のすぐ後に鮫土竜が地面を爆散させながら飛び出してくる。
ここで決める!
「曼荼羅展開!『十華』」
秒間80発の暴力を鮫土竜の大きく開いた口の中に叩き込む!
……ちょっと高度が足りない、もう一歩空を踏む。
そして、僕の下で鮫土竜が飛び上がった姿のまま動きを止め。無数のポリゴンになり爆散する。
よし、討伐成功っと。
ただ、この時少し気が抜けてしまった。
「……あ」
落下
僕のHPは0になり……復活する。
「最後の最後で締まらないなぁ」
まさか最初のお披露目が落下死とか……なんかごめん。
さて、気を取り直して国境を越えよう。
「貴様!この先に何の用だ!」
「国境を越えたいだけなんですけど」
「そうか!ならば貴様の装備、荷物、金、全てを没収する!」
めんどくさいなぁ……!
さて、今回でようやくやりたいことの4分の1が終わった。しかし新しくやりたいことが増えたから実質プラマイ0だと言うのは気にしてはいけない。
そうそう、最近誤字報告を大量にしてくださった方々、本当にありがとうございます。自分だとなかなか気付かないので誤字報告してくださる人は本当にありがたいです。
次は閑話になるか掲示板になります。そのあと軽く登場人物の整理をしてようやくタイトルの回収に向かいます。長かったぁ。でも新章に入ってからもイベント挟むので実際に回収できるのは結構かかるんですけどね。