事の始まりその結果
よろしくお願いします
僕が彼らの拠点に乗り込……訪問してから四年の月日が流れた。その間に彼らが起こした騒動を紹介しよう。
先ず、『跳弾頭脳』の拠点が変わった、これにより僕の支援がしやすくなり彼らの使っていた機材を一新した。次に彼らがした事は…どこかの無人島を購入した事だった。それも海岸が切り立ち、船での立ち入りが出来ない様な島を。僕には何がしたいのかさっぱりわからなかったけど、この島の購入は彼らが彼らの資金で行ったから何か言う事はない。ただ、面白そうだったから少しお金を落としておいたぐらいだ。
その後彼らの胎動は落ち着き、拠点に篭ったまま何かをしていた、何回か陣中見舞いに行ったが正直何をしていたのか全く理解出来なかった。
彼らが動き出したのは、二年後。現在から二年前だ、突如動き出した彼らは……世界最大手の精密機械製造企業を買収した。そして、そこの設備を使いフルダイブ型VR機を製作、そのまま全世界に公開し、『fantasista online』のβテストの募集を開始。世界初、前人未到の領域、全感覚没入型のゲームとあって世界は大いに湧いた。何やら頭の固い者たちが、『洗脳装置ではないか』『突然何かのトラブルで死人が出るのではないか』『デスゲームに変貌するに決まってる』などと言う陰謀論じみたものも出たが直ぐに駆逐された。恐らくなんらかの『おおきなちから』が働いたのだと思う。(と言うか一枚噛んだ。)そして、βテストも無事終了し、筐体の量産化が軌道に乗り、発売初日。初期ロットは十万台、その全てが各店舗開店と同時にほぼ売り切れ状態、二期ロット分も既に予約で一杯だと聞いている。
それから、彼らが購入した無人島だが、巨大データベースに生まれ変わった。これは僕もつい最近、具体的には3ヶ月前まで知らなかった。なんでも頭の固い融通がきかない完全自律型AIが防衛しているので、無許可で領空をフライトしていると交渉なしで撃墜されるらしい。日本国憲法はどこに行ったのだろうか。
まあ、その事はどうでもいいんだ。彼らにも秘密は有るのだろう、そんなことに一々目くじら立てるような狭量な僕ではない。そんな僕だが今日、突然彼らに呼び出された。
「ごめんくださーい、『跳弾頭脳』のお宅ですかー?」
彼らがここにいる事は分かりきっている、僕が用意した場所なんだし。それでもここを訪れる時には必ずこう挨拶する、多分ファーストインパクトが強すぎたせいだと思う。
「はいはい、鍵は開いてるんで入ってください」
「じゃ、お邪魔します」
気心の知れた感じで中に入る、そこはいつもとは少し違った雰囲気だった。具体的に言うと全体的に薄暗い。
「あれ?リーダー、どこにいるんですか?」
「あー、悪い。下まで降りて来てくれないか?渡したい物がある」
因みにこの建物、彼らに紹介したのち最上階付近を大改造したようで『跳弾頭脳』拠点一階、二階部には、最上階から個別に伸びるエレベータでしか移動する事はできない。
「来ましたけどなにかありました?
ってどうしたんですか。こんな所で寝るなんて風邪ひきますよ」
「あ?大丈夫だ、旧拠点で雑魚寝するよりもこっちの床の方が寝心地が良い。って、そろそろ起こすか」
浅井さんが床で寝ている他のメンバーを起こしていく。
「あー、夕さんおはようございます」
「あ゛ーあ゛だまいだい」
「………(ぽてっ)」
「も゛う゛ずごしねざしでぇ」
「幼女がいるここは天国だった……」
なんか寝起きすごいな。
「おい、いい加減起きろ、我らが姫様がドン引きしてるぞ」
その後、差し入れのエナジードリンクを渡して、辛うじて人間の範囲まで回復したのち改めて話す。
「さて、夕。今日は態々招待に応じてもらって感謝する、ついては贈り物があるんだが…古田」
「夕さん、それではこちらをご覧ください」
そう言って古田さんは背後にある暗幕を取り払った。
そこには、なんと言うのだろうか、とても奇妙な形をしたリクライニングチェアがあった、しかも頭を置く場所には非常に見覚えのある機械が取り付けられている。
「俺たちが贈るのはこの『姫様専用、業務用VRチェア“Princess Cradle”』だ。もともと『業務用VRチェア』の構想はプロゲーマー用としてのものだったんだが、折角だし姫様専用に特別版を作り上げてみようということで作った。座席部は低反発ビーズクッションで体への負担を軽減し、またこのチェア自体がマッサージ機にもなっているから、ゲーム後のコリなどの解消も出来る。さらに肝心のVR機は古田やアリス、宮姐ぇが特別に組んだ最高品。恐らく現行販売されている量産機の3、4世代先を行ってるはずだ、受け取ってくれ」
「うん…ありがと」
「どうした?歯切れ悪いが」
「いや、これ自体は物凄く嬉しいんだけど……僕、男なんだよね」
「は?」×6
「いや、だから男なんだって、こんな見た目だけど生物学的にはちゃんと♂だし、言って無かったのは悪いと思うんだけどさ」
「…ちょっとタイム」
(どうする?今最高にヤバイ訳だが)
(どうするもなにももう組んじゃったし、どうにもできないですよ)
(開き直るっすか?)
(謝るのが最適かと)
(今から組み直すとサービス開始に間に合わないよ)
(でも、本当に男なんですかね、見た目めっちゃ美少女じゃないですか)
(リアルオトコの娘っすね!)
(ああ、だがオトコだ)
(いや、まてよもう直さなくていいんじゃないか?夕の立ち振る舞い的に体の芯から染まりきってるみたいだし)
(それだ!)×5
「あー、すまん間違えたのはこちらだ、申し訳ない」
「いえ、お気になさらず、僕も偶に自分の性別がわからなくなりますから」
「そこでだ、この“Princess Cradle”、変更はせずそのまま渡すことが決定した」
「はぁ?」
「いや、なんだ。見た目や仕草は完全に女の子なんだし、もう女子枠でいいんじゃあないかと満場一致で決まってな。寧ろ性別反転してるけどそこが良いという結論に至った訳だ、改めて受け取ってくれ」
そう来たか、まあ今更部屋に男物っぽいのを置くと浮くと思うし。
「それじゃあ、貰って行きますけど、運搬はどうするんですか?」
「何、心配するな。既に手を打ってある」
そう言ってリーダーは、ポケットから何かのリモコンを取り出し“ポチっ”
すると天井が開いて行き、二階部、三階部も続けて開き空が見えた、そこには…
「何やってるんですか葛西さん!」
葛西さんの操縦するヘリがホバリングしていた。
「いや、ここ改造した時にお遊びで作った機能だったんだがそれの運び出しに使おうかと思ってな、多分メイドさんならヘリも操縦できると踏んで事前に頼んでおいた」
その後、無事チェアは運ばれて僕の部屋に設置された。
後はゲームのサービス開始を待つだけだ。
……なお、初期設定とか起動の仕方が全くわからなかったので『跳弾頭脳』拠点にとんぼ返りして、古田さんに来て貰ったことを追加しておく。
簡単あらすじ
二年経ったよ
さらに二年経ったよ
企業買収じゃー!島購入じゃー!
ちょっと来て、貢ぎ物あります
ハァイ来ちゃった♩
姫様にこちらを…
ごっめーん♩僕オトコ!
なん、だと…だがそこがイイ!
ごめん、設定とかわかんない助けて
しょうがないなぁ
こんな感じ
設定考えるの楽しすぎ、でも文字に起こそうとすると中々うまくいかなくてストレス溜まる。