決死強行軍
第一志望は潰えたが第二で拾い上げられた、うん、いろいろ考えると第一受かるよりもこっちの方が条件いいかも?
よろしくお願いします。
さてさて、ログインっと……。
初の大型イベント、そして、大規模メンテナンスという事で丸一日ログインが出来なかったんだよね。
おっと、メールが来てる。差出人は……運営?
えーっと、いくつかあるみたいだね。先ずはメンテナンスに伴う一部称号の下方修正について。あぁ、アリスお姉ちゃんが言ってたのかな?うん、流石に攻撃力が無制限に上がり続けるのは問題だよね。あ、でももういくつかあるね、『鏖殺の暴君』も?こっちも下方修正か、まさかこれも無制限だったなんて事ないよね?他は『被虐趣味』のダメージカットの不具合調整、『博愛主義者』の野生モブへの好感度調整。へぇ、変わったものもあるんだね。
話を戻して、『審判者』と『暴君』は修正されてそれぞれ倍率上限が付いた。審判者の方は最大10倍、暴君は最大15倍。高いのか低いのか判断に困るけど使い勝手が変わるかもしれないから注意をしよう。
次は、課金システムの実装か……。なになに?買えるようになるのは『名前変更権』『異空間倉庫』『アバターガチャ券』か、うん、ゲーム進行の直接的な手助けになるようなものは無いと。
先ず『名前変更権』調子に乗って変な名前をつけてしまった人への救済かな?一つ三千円。
『異空間倉庫』ギルド、もしくはプレイヤーギルドにアイテムを預けることができるようになる倉庫。この中に入れておけば死んでしまった時にランダムロストから逃れることができる。一個買うと1ヶ月間使えてその人がログアウトしている時は使用時間がストップする。うん、なんらかの事情で長期間ログインできなくなっても安心だね。価格は千円、ただし容量は100種×99個だから油断してるといっぱいになっちゃいそう。
『アバターガチャ券』そのままの意味、アバターガチャを回すことのできる券。二つ種類があって単発券と10連+おまけ一回の11連券がある。どうやらロールプレイ勢や生産職、商人プレイヤーの要望で実装したらしい。ロールプレイにあった服装は重要だよね。ただこのアバター自体には防御力も特殊効果もないらしい、つまりただのおしゃれアイテム。これに伴い添付アイテムで11連券が配布されてる。後で引いてみよう。単発券は百円、11連券は千円。
ここの運営はお金を稼ぐ気はあるのだろうか?
続いて、プレイヤーオークションの開始、好きなものを出品して落札された額の五%を手数料として徴収される。在庫処分が捗りそう?ああ、アバターガチャで出た物もここで売れるから良いお小遣い稼ぎができるね。
最後はイベントに関して、初の大型イベント『獣鬼戦線』の詳細だった。開催地は『クレセート』の北、謎のバリアで守られた砦。内容は獣鬼によって奪われ、敵前線基地と化した元砦の攻略、ないしは破壊。非常に激しい戦闘が予想されるという主旨だね。イベント開始時間は今日の正午から、つまりあと3時間ほど。
さて、クレセートまで行こうか。
……あ。
そうだ、これがあったんだ……。ソロでの侵入を妨げる森!ニアさん、アポロさんが居た行きとは違うんだった。
ちなみにあの二人は転職が終了した後、すぐに向こうに戻っている。
さて、ちょっとギルドに戻って考え直そう。
うーん、野良のパーティーに参加すればそれで済む話ではあるんだけど……知らない人に話しかけるの怖いな。でもなぁ、いっそのこと一か八かに賭けてみようかな?
その前にガチャ回そう。今のうちに回さないと忘れそうだから。
えっと、手元にガチャ券を取り出して、真ん中で破る!以上。ガチャ券の使用方法、本当にこれで良いのかな?って破った券が光り出した!?そこから11個の光の玉が飛び出して、手元に戻ってくる。この玉を手に取ればいいのかな?
先ずは1個目銀の玉、中身は『鉄の胸鎧』。
2個目銀の玉、中身は『銀のグリーブ』。
3個目銀の玉、中身は『指貫グローブ』。
4個目お?金色の玉、中身は『純白のドレスアーマー』
5個目銀の玉、中身は『鉄の胸鎧』被った。
6個目銀の玉、中身は『金のヘルム』
7個目金の玉、中身は『帝国の軍靴』。
8個目金の玉、中身は『アキバ系メイド服』。
9個目銀の玉、中身は『銅の剣』。
10個目虹の玉、中身は『戦姫一式』?あ、パーツでは無く一式全部入ってるんだ。
11個目銀の玉、中身は『ひのきの棒』。
これらは手に取るとすぐにストレージに収納された。とりあえず一通り装備してみよう。
鉄の胸鎧はダメだね、周りの高級感溢れる装備と浮いてるね、同じ理由で銀のグリーブもダメ。指貫グローブはいい感じだけど正直あってもなくても変わらない。ドレスアーマーは結構好き、だけどどうせなら全身揃えたいなぁ。金のヘルムはとても気に入った、これはいいものだ。帝国の軍靴、一つだけ装備の時代感が変わっちゃうから要らない。アキバ系メイド服はとても目新しいね、メイドさんは毎日見てるけどあっちはクラッシックスタイル。可愛さ、あざとさとは無縁の実用一辺倒の服装だからね。まあ、目新しいと言うだけで欲しいか要らないかで言ったら要らないんだけど。銅の剣、装備不可、オークション行き。戦姫一式は後回しにして、ひのきの棒、何故か弓ではなく矢の方になった。何故だ…。でも見た目があまり良くないから要らないかな?
さて、本命の戦姫一式。『戦姫のピアス』『戦姫のバトルウェア』『戦姫のガントレット』『戦姫のアーマースカート』『戦姫の戦靴』『戦姫の大剣』の六つからなるアバター装備、見た目はがっしりとした鎧の下半身と比較的軽装、と言うかがっつり下着みたいな上半身、腕には無骨ながらどこか美しいガントレット、とかなりアンバランスな感じになっている。少し暗い緋が基本色で所々金のラインが走り、とてもカッコいいです。
『戦姫の大剣』は装備できないのでニアさんにあげよう。あの人大剣使ってたから装備できるはず。他のは金ヘルムを残して売ってしまおう、プレイヤーオークションに出品っと。売れれば儲けものぐらいに考えておこうか。
よし、覚悟は、出来た。
森を走り抜けよう。出てくる敵は全部無視、HPポットを使って常時回復して細かいダメージも無視、戦闘もしない。ただただ真っ直ぐに走り抜けるだけ。
まあ、それが一番難しいんだけどね。
そろそろ体感的に道程の半分ほどを消化した筈だ。いまのところであった敵からは全て逃走し振り切った。幸いなことにハウリングエイプとも会敵していないので、なんなら行きよりも快適かもしれない。
だけどそれもここまでのようだ、先程から背筋がゾワっとするような奇妙な感覚に襲われている。僕はこれを知っているような、知らないような……。
「あ、危機察知か……!」
あるスキルを思い当たった時、全力で前方に飛び込む!
直後に僕の頭のあった場所で巨大な顎門が空を切った。
「っ!悪いけど君と付き合ってる時間は無いんだ!」
バーストアロー、弾幕魔法を地面に放ち即席の煙幕を製作。全力で逃走を再開する。逃走する直前チラリと見えた彼の毛は黒く、しかしどこか血に濡れたようにしっとりとしていた。
クレセートまであと、半分。
その後は再び彼が襲ってくることはなく、なんとかクレセートにたどり着くことができた。
「ニアさん、アポロさん置いてくなんて酷じゃ無いですか!」
「いや、その、悪い」
「ごめんなさい、でもユウさんなら大丈夫だと信じてました」
「……二人ともお土産持ってきたけどあげない」
街に入って直ぐに僕が強行軍をする事になった元凶を発見したので抗議しておく、あまり誠意を感じなかったので少し意地悪をする。反省するがいい。
まあ、頃合いを見て渡してあげよう。
イベント開始まで、あと30分。神の瞳で確認した砦では何か動きがあり、なにやら見覚えのない『何か』が、集まっていた。
三月後半、四月前半の更新は難しいかもしれません。
設定
先日めんど…厄介な宗教関係を終わらせたのでその流れでほかの面倒なやつを書いておきます。
種族の設定
当世界における種族の定義
ファンタジスタ世界にいる全ての種族は「元々一つの種族」です。ぶっちゃけるとあらゆる種族の因子が体内に存在していますがどれがいくつ覚醒状態にあるかで種族、見た目の違いが出てきています。なので後々出てきますが種族変更、転生などで種族を変えることができるようになっています。混血種の場合はこの因子が二種類覚醒状態にある状態な訳でどちらの因子が強いかで見た目が変わります。なので『なんらかの刺激』があり因子の力関係が逆転すると後天的に見た目を変えることもできます。ぶっちゃけアバターメイクは因子覚醒の応用で作ってます。一番最初のアバターメイクで素のアバターが出てきた時集まってきた光の粒、あれが一番純粋な形で全ての種族はアレで構成されています。あと若干蛇足ですが混血種の二種類の因子同士が全く同じ力で均衡していてもエルフ耳とケモミミが同時に存在することはありません、必ずどちらかの見た目になります。
元々一つの種族だったのにどうしてああいう変化が生まれたのか、は、黙秘します。一応設定は練ってあるんですけど色々と盛大なネタバレをかますので……。ひ・み・つ。
まあ、こんなに長々と書きましたが最終的には『種族の違いはルビーとサファイア程度の違いしかない』と覚えてくれれば問題ないです。