はじめてのPvP《後》
よろしくお願いします。
あ、誤字脱字報告受付始めたのでそちらもお願いします。
待つこと数分、彼が仲間を連れて戻ってきた。
「お前ら、おれが勝ったらおれの作るギルドに入れ」
なんか、さっきと言ってることが変わってるなぁ…。
「所詮は色物枠、いくら有名とはいえ一極化した奴らが勝てるわけないしな!」
ああ、なるほど仲間がいる事で自尊心とか色んなのが回復したわけだ。子供だなぁ。
「よく考えれば近接オンリーの脳筋やどっちつかずの中途半端なビルド、クソザコ弓使いに負ける訳が無い!」
「……言いたいことはそれだけか?」
「は?いやいや、テメェら負けるんだぞ?何余裕かましてやがる!」
「もういい、とっとと始めるぞ。ルールは1v1の勝ち抜き戦、俺らが勝ったら今後一切の干渉をやめてもらう、お前らが勝ったらお前らが設立させる予定のギルドに俺らが加入する、でいいな?」
「おお!手間掛けさせんじゃねぇよ!テメェらは俺の言う事を聞いてればいいんだよ!」
「うるせぇ!誰がお前みたいなのの下になんか着くか馬鹿らしい」
あ、一度落ち着いたニアさんがまたキレた。
「レギュレーションは完全決着、回復アイテム、ドーピングアイテムの使用は禁止、わかったな?」
「「おお!」」
あ、やっぱり僕の意見は無いんですね…あれ、このウィンドウなんだろう?『掛け金の選択』?へぇ、なんで僕だけ…あ、アポロさん達はギルドの加入、今後一切の不干渉を設定してるのかな?で、何も言ってない僕は何も設定されてない、と、色々いじって見よう♪
へえ、なるほどこんなこともできるんだ、特に欲しいものが無い僕としては嬉しいなぁ。これで決定っと。
……そういえばアポロさん達はどうなってるんだろう?弄るのに夢中で全く見てなかった。
……えっ?
「くそっ、テメェらメタりやがったなぁ!」
ニアさんが負け、今アポロさんが押されてる?
「ニアさん、状況の説明お願いします」
「…ユウ、見てなかったのか?」
「はい、色々と弄っていて見てませんでした」
「……簡単に言うと私たちがメタられて……あー、完全に対策を取られていた」
「はぁ?」
「例えば私だと魔法防御が低いから魔法使いに遠距離から一方的に攻められて負けた。アポロは魔法使いを倒したけど今の相手に弱点、リーチの短さを突かれて負けそうになってる。ごめんユウ、私たちの問題に巻き込んだ」
うーん、マジかー、軽い気持ちで掛けちゃったなぁ、負けたら一文無しなんだけど!
「チクショゥ!」
アポロさんが負けたみたい、ここで僕も負けると二人と遊べなくなるんだよね、それは嫌だな。
「ユウさん、ごめん俺らの問題に巻き込んだ」
「あ、そこら辺の事はニアさんに謝られたんでもういいです」
「いや、それでもごめん」
「…何悲壮感出してるんですか、私が二連勝すれば良い話でしょう?」
「無理だ、いや、無理じゃ無いが相当厳しいと思う」
うーん、ネガティブになってるなぁ?
「ま、やれるだけやってみますよ、私も友達と遊べなくなるのは嫌なので」
じゃ、行ってきまーす!
ーーーーーーーーーー
YŪの掛け金
110,048,002ギル
要求
掛け金に相当するアイテム、装備
ーーーーーーーーーー
前に出ると自動で闘技場のような周りをバリアみたいなもので囲まれた場所に出た。
ーー3ーー
「マジかよ、メッチャ可愛い子じゃん相手にするのキツいなぁ」
「なんなら負けてくれてもいいんですよ?」
「いや、それは無理かな。だってここで勝てば君もギルドに入るんでしょ?メッチャ美味しいじゃん、連絡先とか教えてよ」
ーー2ーー
うーん、リアルの詮索はゲーム的にどうなのかな?あとで『跳弾』のみんなに聞いておこう。
確かルールは回復アイテムの使用禁止、プレイヤー相手にどれだけMPが回復するかわからないからキツイなぁ。
そろそろ始まる。
ーー1ーー
ーーBattle Start!!ーー
開幕と同時に弾幕魔法の四属性を『オクタプル』で放つ、計32本の牽制用の弾幕だ。
この隙にとある矢を番える。
「っはぁ!びっくりした!見掛け倒しの弾幕じゃん!楽しょ…ぬあー!?」
僕の弾幕に威力があまり無いことがわかればそのまま突進しようとすることは予想できる、僕ならそうするだろうし。だからこそ『泥沼の矢』を使い気づかれないように彼の足元を沼にしたんだ。
「『チャージ』『火』『風』『土』『水』『オクタプル』」
すかさずもう一度弾幕を用意する、今度はしっかりとダメージを与えるようにチャージをして。
…おっと、もう沼を脱出しそうになってる。まあ、足場を悪くするだけの嫌がらせだしね。軽業があったりAGIが高いとほとんど意味はないだろう。
「『オクタプル』『影縫い撃ち』」
だからこそ追加の足止め。
この影縫い撃ち、成功率は低いけど少し変わった効果がある。なんと命中した数だけ敵に強制する行動不能時間を延長できる。一本につき五秒づつ、さて何本当たったかな?
彼の体に絡みつく楔は三本、十五秒の追加拘束。
僕の準備はほとんど終了した、欲を言うともう少しチャージしたかったんだけど仕方ない。
「っテメェこのアマァ!やって……」
聞くに耐えない、解放。
いつか見た『槍』よりかは小さいが矢の範疇からはかけ離れた規模の矢モドキが彼に殺到する。
着弾
彼の体力はあっけなく尽き。
ーーyou are winnerーー
先ずは一勝。
お?決闘で使用した矢の消費が起こってない?いいこと見つけた、これで消費が怖くて試せなかった色々ができる!
そして最終戦。
「ーーーーーー!」
僕たちに絡んで来たモノが何か言ってるようだけど聞こえない、いや、聞かない。
いくら温厚で女神のようだと言われる僕でも我慢と限界がある。
だから、アレはイラナイ。
ーーBattle Startーー
開幕と同時に弾幕を張る。
「ーーーーー!ーーーーー?」
アレは後ろに下がって避けたようだ、聞き取れなかったけど恐らく一度見たものに引っかかる訳ないとでも言っているのだろう。
別に構わない、むしろアレが沼を警戒して後ろに下がることが目的なのだから。
「ーー!?」
アレの頭上から青紫色の矢の雨が降る。
毒矢による『オクタプル』『アローレイン』だ、矢を雨のように降らせるアローレイン、それを八重にして発動した。もはや雨を通り越して暴風雨と言った方が相応しいだろう。
「ーー!『ー』!?ーーーーーー!」
どうやら毒が中ったようだ、それに久しぶりに見た審判者による状態異常付与、こっちは……中毒?どんな効果なのかはあとで調べよう。
「ーーー!!」
体力を大幅に失い、毒のスリップダメージで完全に後がなくなったアレは矢の雨を強引に振り切り僕に突撃してくる。多分近づいて仕舞えば何もできないとでも考えているのだろう、浅はかだなぁ。
弓術士は格闘戦ができない訳じゃないんだよ?
「ーー!『ーーーーーー』!」
振り上げられた剣が赤い光に包まれる、が、胴体がガラ空きだよ?
「『鎧通し』」
近接距離になった事で使えるようになった特殊なアーツで吹き飛ばしタタラを踏ませアーツを中断させる。
あ、少し体力が残っている、放置しても毒で死にそうだけどせっかくだ、僕が手を下そう。
彼の懐に飛び込みあるアーツを使う。
「『最期の抵抗』!」
弓術系アーツでも異端中の異端、矢を使わずに弓本体を使う禁じ手。莫大なMPと長大な再使用時間の架せられたアーツ。
矢が尽き存在意義を失った弓術士が使う文字通り最期の手段、絶大な威力を誇るが外せば待っているのは死。それが『最期の抵抗』。
それはアレに迫り、過たず彼の額を打ち抜いた。
ーーyou are winnerーー
よし、勝った!
なお、この決闘中ユウくんは無表情で淡々と相手を追い詰めるマシーンになってます。マジ怖い。
一応DQNくんやその仲間たちは弱くはありません、トップ層とは言えないけど上位層ではあるぐらいの実力です。敗因は立ち止まったり後ろに下がったりした事だよ、ぶっちゃけユウは最初の方の攻撃を全部無視して本体を直接殴れば簡単に倒せます。
中毒について、正式にはポーション中毒、HPポーション、MPポーションでの回復量が七割減する悪魔のような効果、普通に出そうと考えたら一分あたりダース単位でポーションを飲むとかかる可能性が高くなる。かからない可能性もある。鍵は短時間での大量摂取。