邪道征くものに光あれ
よろしくお願いします。
はい、やってきました第二の街の武器屋!
サービス開始から数日経っていますが実はチュートリアルと装備の耐久値回復以外で訪れたことのない施設だったりします。
ちなみに武器屋と言っているわりに防具も売っているので装備屋と名乗った方が適切なのではないか?とおもってます。
まあ、とりあえず入っていきましょう。
「おう、らっしゃい、また修復か?」
この街の武器屋の利用はまだ二度目だが店主は僕のことを覚えてくれていたようだ。
「今日は武器とか防具を買いに来ました、先に防具を見せてもらって良いですか?」
「ほう?別に構わんがお前さんが着とる弓兵一式より良いものはそんなに無いぞ」
「ええ、ですが私の欲しいのはINTやTECが上がる装備なのです」
「……。ほう、なるほどな、ところでお前さんの武器は何だ?」
ちなみに初心者と名前のつく武器や防具は耐久値が減らないという特性がある、だから、武器を修復に出したことが無いので、店主は僕の武器を知らない。
とはいえ別段隠すようなことじゃ無いし普通に教える。
「一応、魔導弓を使っています」
「やっぱりな」
「知ってたんですか?」
「いや、だが予想は出来ていたからな。武器によって必要となる力は決まってくる。例えば剣だと筋力が大切だ、盾であれば持久力、魔法なら知力、弓なら器用さと言った具合にな。だが器用さと知力両方が必要な武器は少ない、そしてお前さんの今の装備は弓兵一式だ。となれば魔導弓、もしくは魔弓という所になるってわけよ」
「凄いですね」
「これぐらいのこと武器屋なんぞやってれば誰でも身につく普通のとこだ」
「それでもやっぱり凄いです、僕もいい加減初心者武器から卒業したいので新しい武器や防具が欲しいのですが」
「無理だな」
「え?」
「ウチには無理だ、お前さんの使ってるその武器はな、かなり特殊な武器なんだ。弓でありながら杖の役割も熟せるそういう武器だからな、悪いがウチには置いてない。それから防具も無理そうだな、一応魔法使いのローブやほかの防具から組み合わせれば出来ないこともないが、それだと中途半端になるし今の弓兵一式より確実に弱くなる」
「そうですか……ありがとうございました」
なんとなく残念な気持ちになって帰ろうとすると、店主が続けて言った。
「まあ、まて、ウチじゃ揃えられないって言っただけだ。
他に当てがある」
「詳しく教えてください!」
瞬間、踵を返しカウンターに飛びついていた。
「あ、ごめんなさい」
「お、おう、いいぞ?それでその当てなんだが『リーフヒール』って店わかるか?」
「知らないです」
「そうか、裏通りにある高級雑貨店なんだがな」
ん?
「あ、もしかして毒矢とか高ランクのポーションを売ってる所ですか?」
「なんだ知ってるじゃねぇか、そこの店主に『卵を見つけた融通してやりな』って言えばわかるはずだ」
「わかりました、行ってきます!」
「おー行ってこい」
まさかいつも使ってる雑貨屋に欲しいものが全部揃ってたなんて…!
軽業や遠見を駆使して最短経路(屋根上)を通っていく。
「こんにちはー!」
「おや、いらっしゃい」
半ば扉を蹴り開けるように店に入る、相変わらず店内には誰もいない。
「えーっと、武器屋の店主さんから『卵を見つけた融通してやりな』だそうです!」
「…そう、ついてらっしゃい」
そう言ってカウンターから続くバックヤードに案内される。
「それで、どれを目指しているの?」
「えっと?」
「ちっ、あのクマ親父私に説明を投げたわね、いいわ、説明してあげる。私はね邪道を行く子達を応援しているの、例えば魔法使いだけど剣で戦いたいと言った具合にね。そういう子達は一般の武器や防具が使いにくいと感じるの。だから私はそんな子達が活躍できるように特別な装備を用意しているの、わかった?」
「はい」
「よろしい、じゃあ最初の質問に戻るけど貴女はどんなものを目指しているの?」
「ぼ…私は魔導弓、魔弓を使えるのを目指しています」
「あぁ、魔弓術士ね。なるほどクマが私に寄越したのもわかるわ、少し待ってて」
そう言うなり、店主さんはさらに奥に行ってしまった。
まさか装備一つでこんなことになるとは…。それにしても魔弓術士用の装備かぁどう言うのだろう?かっこいいのかなぁ、それとも可愛いのかなぁ、騎士服のようなコートも憧れるけど魔法少女みたいなのもいいなぁ。
「待たせたわね、それでも貴女が魔弓術士志望で助かったわ、他のならば数日かかったもの」
「ありがとうございます、そうなんですか?」
「ええそうよ、私たちみたいな邪道支援者は一つの街に一人はいるのだけど、それぞれ取り扱っているものが別々でお客にあったものを取り寄せているの。私は魔弓術士のものを取り扱っているわね。さあ、どうぞ?」
店主さんから手渡された装備を識別する。
「え?いいんですかこんなに凄いものを…」
「いいのよ、むしろ私のお古で申し訳ないけれどね、手入れや修繕はしっかりしてあるからまだまだ前線で戦えるわ」
いえ、そう言うことじゃないんですが……。
とりあえず識別した結果です。
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夜襲のイヤリング
MP最大値+50 INT値+20 MND値+20 VIT値−10
消費MP削減5%
魔力を蓄積する夜襲蜘蛛の結晶核で作られたイヤリング、消費MPを削減する効果がある。
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夜襲のハーフプレートアーマー(上)
MP最大値+50 INT値+10 AGI値+20 VIT値+30
消音効果
魔力を蓄積する夜襲蜘蛛の外殻で作られたハーフプレートアーマー、消音効果があり静かな行動を可能とする。
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夜襲のグローブ
MP最大値+50 INT値+10 TEC値+10 STR値+10
器用補正
魔力を蓄積する夜襲蜘蛛の糸で作られたグローブ、手先がとても器用になる効果がある。
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夜襲のハーフプレートアーマー(下)
MP最大値+50 INT値+10 AGI値+30 VIT値+20
消音効果
魔力を蓄積する夜襲蜘蛛の外殻で作られたハーフプレートアーマー、消音効果があり静かな行動を可能とする。
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夜襲のグリーブ
MP最大値+50 INT値+10 AGI値+30 VIT値+10
脚力補正
魔力を蓄積する夜襲蜘蛛の外殻で作られたグリーブ、脚力に補正があり素早い動きを可能とする。
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まあ、ここまではいい、いや全然良くないんだけど次のにくらべたら全然問題ない。いや両方ともすっごい問題だらけなんだけど……!
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魔弓フェイルノート
MP最大値+70 INT値+80 TEC値+50 AGI値+30
VIT値−150
回収自動化 消費MP削減10%
かつて栄華を誇りし亡国の大英雄が扱った魔弓、そこから放たれる矢は必ず敵を屠ることから無駄なしの弓とまで呼ばれた。
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はい、あかんヤツぅ!これぜったいだめなやつだとおもいます!!
それに絶対高いし一千万とか一億とか絶対するやばいヤツですし!
「そうねぇ、未来への投資も含めて三百万っていうところかしらね?」
「買います!」
は!気づいたら手が勝手にメニューを開いてお金を払っている?!
ああ、買ってしまった、身の丈に合わない装備だとわかっているのに……。
でも、うへへへぇなんか嬉しいなぁ。
「はい、即金で三百万いただきました。凄いわねこんな大金ポンと出せるなんて」
「はい、色々な縁がありまして…それではありがとうございました!」
「あ!言い忘れてたわ、その装備の修復とかは普通の武器屋じゃあ出来ないわ。私のところに持ってくるか他の街だったら裏通りの雑貨屋に行って『邪道に光あれ』と言いなさい、それで通じる筈よ」
「はい!今度こそありがとうございました〜!」
「はあ、元気のいい楽しい子だったわね。でも素質はあった、いえ、ありすぎる程だったわ。どうか彼女が武器聖なんかに選ばれませんように」
私は自分の予感が外れることが半ばわかっていながらそれでも願わずにはいられなかった。彼女には聖の素質がある。だけどあんな酷な運命に囚われないで欲しい。彼女は自由に飛び回る姿がよく似合うから。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
さあ、レベルアップの時間です。
本日は『沼』に来ていますが、ここも誰もいません。よし、周りを気にせずに攻撃が出来る!
多分敵はマッドゴーレムでしょう。そうなると普通の矢は役に立たないので弾幕魔法でいきます。
ここの沼地は前の沼地のように比較的歩きやすい場所はなく、全体が完全な沼になっていてとても歩きにくい、と思います。普通なら。
僕の場合、軽業と強化されたAGIで足が沈む前に次の足を出すことができるのです。
っとマッドゴーレム発見。まずは『火』を試してみましょう。
「弾幕『火』」
すると以前より小さな火でできた矢が放たれた。え?
もしかすると規模は小さくなったけど威力は上がっているかもしれないと着弾を見守るが威力も変わったように見えない、いや、逆に弱くなってる!
だけど何か変わった筈だ。そう思いながらもう一度弾幕魔法を使おうとし、一つ気がつく。
もう、『火』のリキャストタイムが終わってる。
「なるほど、そういうこと…!」
一撃の威力を求めずに手数で勝負する。そういうことか、だから『弾幕』なんだ。
あとは周りを走り回りながら弾幕を張るだけだった、幸いにも僕には攻撃するたびに攻撃の威力が上がっていく称号がある。
決着はすぐに着いた。そして、
後ろから殴り飛ばされた。
「はぁ?!」
幸いにも即死はしなかったものの現在防御力ゼロの僕の体力はほんの数ミリしか残っていない。
振り返った僕が見たのは……。
群れをなし、津波のように襲いかかってくるマッドゴーレムの集団だった。
「はは、これは無理かなぁ」
そういえばアポロさんがどうしようもなくなったら決めポーズを取るって言ってたっけ?よし、じゃあこうしよう。
泥の津波に押しつぶされ僕の体力はあっけなくゼロになる。
「くっ、プは!何してるんですかユウさん!」
「あ、こんにちはアポロさん」
ギルドホールにて女豹のポーズをする僕の姿がありましたとさ。
ついにチートや無双に走ったか?と思った皆さんごめんなさい。装備がどんなに強くなっても作者の都合で夕は死ぬのです。
それに今回の強化は数話後に始まる予定のイベントに向けた物ですので活躍するのはもうしばらく待ってください。
ちなみに夕の手に入れた装備は裏通りの雑貨屋で手に入る各職業の初回特典みたいな感じです。まだ数パターンあって、魔弓術士装備は大体中の上あたりの性能です。一番やばいのは魔纏拳士(仮)です、自身のステータスそのものが戦闘力に直結するので倍率補正が凄まじいことになってます。一番おとなしいのは殴りアコ。
あ、でも一応夕の真価が発揮されるのは集団戦ですのでよろしくお願いします。最前線無双しない予定だけど雑魚無双は許してくれるとありがたいです。
それから、グローブはグローブでも野球のグローブではなく総合格闘技系のグローブを想像してください。
あと、現在の夕の装備の外見はMHWのドラケン女のトゲトゲとかそういうのがなくなって顔が見えてる感じです。
ちなみに普通に買おうと思ったら夜襲シリーズ部位一つにつき百万、フェイルノート一つで億単位になります。割り引かれた理由は色々とあるのですがおそらく順調にいけば三章あたりで紹介できる筈……多分…あまり期待しないでください。
それから夕のステータス
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PN:YŪ
LV:21
種族 :混血種(森人族/獣人族・狼)
JOB :弓術士
SUB :拳闘士
HP :610
MP :690 +270
STR :40 +10
VIT :16 -100
AGI :45 +130
TEC :60 +60
INT :60 +140
MND :25 +20
LUC :16
残SP:0
種族固有スキル
・大器晩成
・魔眼・魔力視
・孤狼の誇り
・(隠し特性・神製の筐体)
後天性スキル
・魔弓術lv1
・矢弾回収
・遠見lv1
・軽業lv1
・弾幕魔法lv1
・蹴撃
・魔力増加
・鑑定
・識別
・狂気耐性
・恐怖耐性
・隠密
・気配察知
・勇猛果敢
控えスキル
・鼓舞
・一念岩穿ち
・採取
・奇襲
装備
・武器:魔弓フェイルノート
・頭:夜襲のイヤリング
・胴:夜襲のハーフプレートアーマー上
・腕:夜襲のグローブ
・脚:夜襲のハーフプレートアーマー下
・靴:夜襲のグリーブ
・その他1:隠密のタリスマン
・その他2:七栄教のクロス
・その他3:疾風のリング
称号
・一流の弓兵
・非情なる審判者
・職業に反抗する者
・復讐者
・初心者弾幕魔
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これを見て思ったこいつじつは鎧が本体なんじゃ…?