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先生再び

よろしくお願いします。

 


 今日のおやつはクレマカタラーナでした、パリパリのカラメルがとても美味しかったです。


 では、本日二度目のログインです。


「ダイブ開始」


 視界が暗転する。










 ーーーーーーーーーー




「最後にログアウトした場所から始まるのね」


 目を開けると冒険者ギルドのホールに立っていた。周りも何人かの人が白い光の中から現れている。時々変なポーズで出てくる人もいるし、彼らはどうしたんだろ?


 あ、aporoさんが荒ぶる鷹のポーズで出て来た、ちょっと聞いてみよう。


「こんにちはaporoさん」

「ああ、YŪさん。こんにちは、どうしたんですか」

「いえ、変なポーズで出て来たのでどうしたのかと思って」

「死に戻ってしまいましてね、実は死に戻りするときに最後に取っていたポーズのまま送還される謎の仕様があって、誰が始めたかわかりませんけどどうしようもなくなった時は自分の思うかっこいいポーズで死のうというのが流行しているんです」

「へぇ、面白いですねー」

「ええ、楽しいですよ。ところでYŪさんはどうされたのですか?」

「僕は少し休憩してきたんです、おやつタイムですね」

「もう、そんな時間でしたか。いやはや、ゲームに夢中になっていると分からなくなりますね。では、また会いましょう」

「はい、お気をつけて」


 aporoさんのおかげでなんとなくわかったけど、面白いことを考える人もいるんだなぁ。










 例の路地裏の雑貨屋さんで物資の補給は完了、装備の耐久も最大まで回復してもらった。あとスキル屋で新しいスキルも買ってメインに付け替えた。


 ーーーーーー

 ・蹴撃: 足での攻撃を強化する

 ーーーーーー


 選んだ理由は手を使わないから。戦闘時、僕の両手は弓矢で塞がる。だからこそ足という新しい選択肢を選んだ。それと何気に僕、格闘系のスキル持ってなかったんだよね。入れ替えたスキルは魔力増化、今までほとんど役に立ってないスキルだから替えた。レベルアップ時にMPを微量増加させるとか現状でなんの意味があると?長期的にみればいいかもしれないが、少なくとも今の僕にはいらない。


「まあ、レベルが5になったらまたつけるんだけどね」


 いまの目標は近接戦闘の取得。他の人みたいに最前線で敵と斬り結ぶまではできなくていいから、接近された時に対処できるようになりたい。


「そんなわけで、また、よろしくお願いします『先生』」


 僕の前には再びファングラビット先生です。先生は優秀なんですよ、犬よりも速く、犬よりも力が弱い。ある程度の耐久性があり、体が小さいためちゃんと当てないといけない。練習には最適の相手なんです。それに……。


「『先生』の動きはチュートリアルで見切っているんですよね」


 だから余裕を持って対処できる。


 先生は基本的に地表を這うようにして飛ぶ、上方向には体当たりの時だけ。スピードは速いが……。


「……シュート」


 ダイレクトキックで頭を蹴り飛ばす。単体での戦闘は確実に勝てる。僕が期待しているのは『先生が仲間を呼んだ』時だ。あの犬たちは倒れる間際に仲間を呼んだ、ならば先生もそれに近い状態になったら仲間を呼ぶのではないか?そう考えた僕は限界まで先生を甚振る。





 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 この時の僕は少し視野が狭まっていた、周りの事を見ていなかったし、aporoさんがかつて『ゲーム内で写真』を撮っていたことも忘れていた。


 この時のことを僕はいつまでも後悔している。


 どうしてもっと奥、もしくは人のいないところでやらなかったのかと。


 ーー【狂気】225ちゃんを見守り隊スレPart2【御乱心】ーー


 そんなスレを大爆笑と共に教えられるまであと少し。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「ん、来たかな」


『先生』が初めて見せる動作をする。


 現在『先生』の残存体力は一割を切っている、あと一撃でも入れば全損する、そんな状態。


 追加で現れた先生は……四羽だ。


「手も使わせて頂きます」


 構えるは弓矢、でも矢はつがえない。





 よく思い返してみると不思議だったんだ、あの時、僕が噛み殺される前に矢は彼に噛み砕かれていたはずなんだ。でも、街に戻って見てみたら何事もなかったかのように新品の矢としてストレージに入っていた。おやつ休憩中に掲示板(?)というところで『死亡時に武器防具の耐久値が0になった場合』を見てみると、『ストレージに『壊れた○○』として収納され装備することができなくなる』と報告させていた。ならば……。


『装備ではない消耗品の矢はどうなっているんだろうか?』





 一番最初の先生が決死の突撃を仕掛けてくる。


 それを踏み潰し、電子のカケラに変える。


 僕の背後から新しい先生が体当たりをする。


 それを『逆手に持った矢』で抉り殴る。




 ーーああ、やっぱりーー


「矢に耐久値って設定されてないんじゃない?」



 突撃を仕掛けてきた三羽目の先生を矢で受け止める。


『矢』は折れず、歪みもしない。



「これは新しいスタイルとして使えそうだなぁ」


 近接戦闘、やってみると楽しいです。


「……続き、お願いします『先生』」


 まだ『先生』は四羽も残っている、練習は沢山できそうだ。






 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 これが後に『変態弓術士』と呼ばれる第一歩であることを僕はまだ知らない。







書いていて思った。

「こいつ健気に寄ってくるウサギさんを蹴り飛ばし、瀕死になるまで嬲り、用が済んだら踏み潰し、仲間の危機を助けにきたのをまた嬲る、敵mobよりもこいつの方が質悪くないか?」

だけどそんな彼(彼女?)が主人公。






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― 新着の感想 ―
[良い点] 戦闘時の描写を読んだときはそこまで感じなかったんですけれど、あとがきに数行でまとめられた所業を見たら「ユウさん鬼畜ゥ…」ってなりました。いいぞ、もっとやれ(歓喜) [一言] 荒ぶる鷹のポー…
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