事の始まりその導入
よろしくお願いします
技術の進歩は目覚ましい、とはよく言ったものだと思う。世界初のVRゲームが発売されて早五年、ついに全人類の夢『フルダイブ型VRゲーム』が発売された。
…いやこの場合は『技術の進歩』と言うよりは『ジャパニーズオタクの執念と底力』と言った方が正しい気がする。
ともかく、かくのごとくフルダイブ型VRゲームは発売された。タイトルは『fantasista online』。略称は『ファジー』(ふつうに略してしまうと某人気炭酸飲料と被ってしまうため見送られたとの事)。剣と魔法の王道ゲームにして五感を完全に再現し『現実で体験できる事は基本的に出来る、現実で体験できないような事も出来る』と言う売り文句。βテストは驚異の倍率を叩き出し、尚且つ一切のバグ、不具合も検出される事なく終了した。前評判は最高、これで評判にならない訳がなく発売日には長蛇の列、徹夜組は当たり前、テントを張り前日、前々日から並ぶ猛者も出る始末。
そんなゲームに僕はログインする。別に僕は徹夜で並んでもいないし、そもそも買ってすらいない。ただ少し縁があっただけだ。
ああ、そうだ言い忘れていた。このゲームは大手企業が開発したわけでは無い。寧ろ無名のベンチャー企業が開発し、『大手企業の力を一切借りずに量産まで漕ぎ着けたバケモノの様なゲーム』である。
今でこそそれなりの規模になっているが初期の頃、基礎理論の構築を成功させ、プロトモデルを作ったのはたった6人の天才と+αだと言うから驚きだ。
いや、うん、まあ…引き伸ばしてもいい事はないと思うから言おう、+αは僕だ、いくつかの偶然の産物が積み重なり+αになり、彼等から『貴方のお陰でここまで辿り着く事が出来た』『このゲームは私達が一緒に作り上げた物だ』『運営の息抜きに俺たちもプレイする予定だから気楽に楽しんでくれ』と渡されたのだが……正直に告白しよう、僕は生まれて此の方ゲームをした事がない、2Dであった頃はもとより携帯端末でのゲームもした事がないのだと。
まあ、ゲームは不安しかないけど、楽しんで行きたいと思う。
だが、そうだなぁ、もし語るとしたら全ての始まったあの日から語るとしよう。『両親が死んだ』あの日から。
ここでは本編中で絶対に紹介しないであろう設定とか人物像を紹介するつもりです