表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ヒロインなんてやってられるか!

作者: さくらりん

「おねぇちゃーん!もう、やだ!なにあの宇宙人!まじ、きもい!ほんとむり!なんなのよ!もうやなの!鳥肌止まんないの!」

「はいはいはいはい。今日はどうしたの?」


わたしは、この世界のヒロインだ。別に頭が沸いたわけではない。そして、夢でもない。

ある日、隣の猫に餌をあげてるとき、その横にうずくまる人影を見つけて、声をかけたときに、気がついたのだ。ここが前世でやった乙女ゲームの世界だと。そして、これが、お忍びで街に来ていた第一王子との出会いだと。だって、王子が顔をあげた瞬間、まわりに花が飛んだんだよ?!あり得る?!いくらこの世界に、魔法があろうが、目があったとたんに花がまわりに撒き散らされたらたまったもんじゃない!

ダッシュでうちに帰り、おねぇちゃんに相談したんだ。「わたしヒロインかもっ!」って。そしたら、がっつり叩かれたよね。お盆で。おねぇちゃんいわく、頭沸いたかと思って、一思いにやってあげたって。石頭だからよかったものの、ひどいよね。下手すりゃ死ぬよ?

そう、そのあとも、なぜか攻略対象と思われるメンバーがよく出没し、出会いイベントをこなしていく。いやぁ、マジ要らない。場所を避けるはずなのに、なぜか起こるキラキライベント。この前は花じゃなく星が飛んでた。「どうせなら肉飛ばせや。」は、おねぇちゃんの言葉。うん、激しく同意だ。

ちなみに、おねぇちゃんも前世持ちそして、同じ日本だった。でも、この乙女ゲームは知らないみたい。お互いチートなんてないけど、町の食堂で家族と楽しく暮らしている。

それなのに!

「今日は、この乙女が恥を忍んでおならをしてみたのよ!」

「「ぶはぁーっ!!」」

「あんたたち、ちゃんと拭いてよ。きったないわねー。」

「「その前に、お前の妹なんとかしろ!!」」

「だから、恥を忍んでって言ったじゃない!」

「「「食堂で叫んでる時点で忍んでねーよ!」」」

もう、おねぇちゃんまでひどいわ。ほんと、今日は頑張った。王子の前であえて、あえて、ぶちかましたのに。がんばって、ひかれようと、嫌われようとしたのに!

「『小鳥のさえずりかと思ったよ?』だって!なによそれー!小鳥に失礼だわ!」

「小鳥ときたか。」

「さすが王子さまだな。」

「ねぇ、それってイベントってやつなの?」

「んなわけあるかー!!」

この食堂にいる人は、わたしの性格も、今の状況も知ってる。もともと、顔はいい。ゲームヒロインなだけに。ただ、中身をしっかり知ってる常連さん達は、あそこの姉妹は見てるだけが一番だとぬかしている。解せん。

「この前は、ツマヨウジだっけ?」

「騎士団長のまえで、しーしーってやってみせてやったわ!なのに、『画期的なものだな!これ考えたのか?素晴らしい才能だ』だってさっ!!」

「…これ、結構前から庶民に広がってるわよね?」

「あぁ、お嬢ちゃんたち産まれる前からあるわな。」

「ね、自分が無知なだけじゃんね!てか!乙女として口許を、手で隠さずに歯に挟まってるいかをとろうとしてるとこにひけよって!突っ込めよって!」

「「いか食ってたのかよ。」」

「いかのどこが悪い!美味しいじゃん!」

「…ねぇ、めんどくさいから、誰かに決めちゃえばいいんじゃない?うちにはなんかお金くれるらしいし?」

めんどくさいっていうな!てか、金で売るつもりか?!あ、そういりゃ、おねぇちゃんに頭思いっきり叩かれたわ。お盆で。うん、売られる。条件次第で喜んで、妹を差し出す。




「だって、だって、皆イケメンなんだもん!!!」

「「「あー、はいはい。」」」



そう、わたしはブサ面が好きなのだ!前世でも、かっこいいひとより、「え?ちょっとわからない。」といわれる人が好きだった。この世界とそっくりな乙女ゲームだって、友達に「きっとかっこ良さがわかるよ!」って進められたやつだもん。でも、わっかんないんだもん!



「はぁ、ゴブリンとかドワーフいないのかな?」

「いるけど、結構かっこいいよ?かれら。」

「そうなの?!えっ、じゃぁ、どこにいるの!?わたしの王子さまは?!」


「ここにいるよ??」

「ぎゃーーーーー!きたーー!!」

「今日も可愛いね。それは歓迎してくれてるのかな?」

まじで、ゴキブリより恐怖なんだけど、こいつら。



ヒロインなんて誰にでも譲るから!

誰かブサ面つれてきてっ!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ