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お妃さまの物語  作者: 野分
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明かりが灯されました。


水辺に浮かぶ今日の宴の場は

初夏の夕暮れ時には 例えようのないほどの

幽玄さが あります。


緩やかな音楽が流れる中

朝臣たち

成人されている公子 公女 に続き

妃たちが お出ましになりました。


華やかで艶やかで

皆 柔和な微笑みをたたえております。

柔和なのですが わたくしは この 微笑みが

どうも 苦手でございまして、、

いつも伏せ目がちに なってしまいます。


王と王后のお越しの声がかかりました。

皆 一斉に立ち上がり

お迎え致します。

お二人 揃って こちらも 柔和な微笑みで

お席に お着きになりました。


宴の始まりです。


美しい音楽 舞姫たちの舞 剣舞、、

みなさま 歓談なさりながら 飲み 食しながら

宴は進んでいきます。


今回 お披露目となる公女さま方の

お母上の妃たちが 順に 王と王后へ

感謝を述べております。

もちろん ご自分のお子の売り込みも

忘れておりません。

公子公女の婚姻は 王の一言で 決まってしまう

ものですから。


王は 美しく賢く成長しているらしい公女たちの

事を 伝えられ 大変 お喜びのご様子です。


王が内官になにやら 促しております。

いよいよ 今宵の主役 公女たちの

お披露目と なりそうです。


お一人ずつ お名前を呼ばれ 王と王后の前に

進み 拝礼します。


瑤公女 環公女 當公女 聆公女 暎公女 樺公女


みなさま

これからの群舞のために

同じお衣装を着ております。


華やかな容姿のご姉妹の中の

瑤公女は やはり 平凡で。

瑤公女のことが

ずっと気になっております わたくしは

とても みじめな気持ちになり

また 伏せ目がちになってしまいました。



ひと通りの ご挨拶のあと

公女たちの 詩楽となりました。


人々のさざめきの中

清らかな声が響き渡りました。

鈴を振ったような 清らかで しかし

はっきりと意志を感じる お声、

あの お声です。


顔を上げ 声の主を 探しました。


瑤公女は宙を見上げ 朗々と詩を

謳っておられました。


白い喉を すぅっと 伸ばして

宙を見上げ 朗々と 朗々と 謳っております。

皆 我を忘れたように 見入ってしまい

目が離せないでいました。

公女の 声だけが ただただ響きわたって

おりました。


ほんの 一節の 詩で

まもなく楽器が鳴り 群舞となり

一気に華やかになりましたが

みなさま

しばらくは 瑤公女から

目が離せなくなっていました。


見事 謳い終えた瑤公女は

ほんの少し 頬を染められ

ほんの少し微笑みながら ご姉妹の

群舞を ご覧になっております。


瑤さまの 微笑みは なぜか

苦手では ございませんでした。





































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