第2話
これからイラストも追加していくつもりです。
楽しんで読んでもらえると嬉しいです。
俺が何でも屋を始めた理由は無駄な詮索をされたくないのと、この街での人脈確保の為だ。
俺はよく分からない揚げ物の定食を食べながら隣でだいぶ出来上がっているイケメンのお兄さんオルカと話していた。
「ねぇねぇ君って何歳?」
「えーと、今年19歳です。」
「僕、今年で30歳」
「さ、30歳!?」
ぜ、全然見えない。せいぜい俺より1つか2つぐらい上かと思っていた。
オルカは机に突っ伏し
「はぁ、結婚したい。」
声に凄い重みを感じるな。
「でも、オルカさんイケメンじゃないっすか?それなのに結婚してないって事はもしかして誰か好きな人がいるってことですか?」
「・・わかっちゃった?・・・あぁ僕のことはオルカでいいよ。僕、花屋のクリアさんが好きなんですよぉ。だから親の持ってくる見合いの話とかずっと断ってたんだけどもう諦めるしかないのかなぁ」
唇をとがらせながらお酒をコップにつぐオルカ。
「告白したんすか?」
「・・・・ううん。」
「ど、どんな人なんすか?」
「すっげぇー美人なんだぜー!明日にでも一緒に見に行こ・・うよ」
ん?と俺が料理からオルカに目を移すと突っ伏してねてしまったらしい。
・・・ど、どうしよう。酔っ払いの介抱なんてしたことないし、とオロオロしていると
「どうかしたのかい?」と店員さんが声をかけてくれた。
そして横の人の状態を見て、あぁと言いながら手際良く飲み終わっているジョッキを下げている。
「あのー店員さんこの人って?」
「ああ、街の外れにある魔道具工場で社長しているオルカだよ。よく、1人で飲み潰れてるよ。」
「あぁそうなんですか。あの・・こうなったらいつもどうしてるんですか?」
「強引にたたき起こす!」
「おーい起きろ!オルカ!」
おばさん店員がやり過ぎではと思うぐらいオルカをビンタして、文字通りたたき起こした。
その後、お詫びとして奢ってくれたオルカを家まで送ると店員に伝え、店を出た。
「と、遠い・・・」
俺はオルカと肩を組みながら歩いていると
「なぁ 多摩くーん、聞いてくれるかぁ」
と半分寝かかっているオルカが話しかけてきた。
「どうしたんすか?」
「ぼくさぁずっとさぁクリアさんのことが好きだったから女性と付き合ったこと無いんだよね。」
「そうなんすか?」
「うん。だからさぁ実際会うとさぁ緊張しちゃってしゃべれないわけ・・・」
「まぁわからなくは無いですね。」
俺も異性と話すの苦手だし、緊張するってのは凄くよくわかる。
「それに、友達もいないし・・・」
と話す声が段々小さくなっていくオルカ。
自然な形で友達がいない俺にも大ダメージがくるので止めて欲しい。
「なら俺が協力しましょうか?」
「ん?何か言ったか??」
「俺が協力してあげますよ。」
「ほ、ほんとに!?でもどうやって?」
オルカの顔がパァァァと明るくなった。
「まぁそれは後で考えますよ。」
「考えないんかーい!」
急にツッコんできたオルカさんにびっくりしていると目の前にでかい工場が見えてきた。
「・・・おお、ここまで来れば大丈夫だよ。あ、ありがとう」
と言うとフラフラしながらも自分の力で立つ。
「そうですか。あ、今日は奢ってくれてありがとうございました。それじゃあ」
と俺が元来た方向に引き返すと
「ま、また、今度一緒にご飯しようね!!」
「それは勘弁して下さい」
俺は言われてからすぐにきれいに90度のお辞儀をして断った。
その後、ええっ!と言う声が後ろから聞こえたが気にせずキャンプ場に戻った。
さっき店員に聞いたことによるとオルカはこの街のありとあらゆる魔道具を作っている工場の社長らしい。
なら関係を持っておいて損は無いだろう。
今の俺の所持品は財布、携帯、バイト代、修理道具。
でも、1日で社長2人と知り合うとは・・・もしかしたら俺は、中々運が良いのかもしれない。
でもとりあえず
「疲れた。寝よう。お休み。」
テントに入った途端、睡魔に襲われ倒れるように眠りについた。
「いてて・・あー動きたくねー」
翌日、寝床の変化による影響で体を痛めて動く気力を失ってテントでゴロゴロしていた。
30分後、俺はある物を見つけ、テントから出た。
そして、キャンプ場の管理人にノコギリを借り、山から木を切り、ある物を作った。
地図とある物を持ち、街のある場所に向かう。
「・・・ここか。」
俺の地図を握る手にも自然と力が入ってしまう。
ここで説明しておきたいことが2つある。
1つはこの世界は日本よりもかなり技術が遅れている。
もう1つは俺は童貞ということだ。
俺は高ぶる気持ちを抑え、真顔で何事も無い通行人感を出しつつ、建物の裏に回る。
「「・・・あっ」」
こんなことあるのだろうか・・・・
ばったり遭遇。
言葉は一緒なのだが今の状況は、街で同級生と遭遇したとかそういうレベルとは訳が違う。
ハシゴを持った男2人が銭湯の裏で遭遇。
「「・・・・」」
「あ、あなたもですか?」
気まずい雰囲気を紛らわせるため、話を切り出す。
年齢は中学生ぐらいだろうか?短髪で中性的な顔立ちの子だった。
「う、うん?」
「まぁ、お互い・・ね」
会話しようと思っても言葉が詰まる。
俺はとりあえずハシゴを立てかける。
気まずいとはいえ、お互いここに来てすることと言ったら1つしか無い
はずだった。
女湯を覗きこもうと窓に手をかけたその瞬間、
隣のはしごから不審な動きを察知し、目線を向ける。
そして、隣で女湯に何かを投げ込もうとしているのを瞬時に腕を掴み止めた。
「おい、お前は何をしようとしているんだい?」
俺は中の人に気づかれないように小声で尋ねる。
「何ってこれは新作の煙玉だよ。これを入れれば中の人は間違いなく困惑するよ。」
と言って不敵な笑みを浮かべている。
こいつの言葉に、俺の脳は旋律が走った。
こ、こいつは一体何を考えているんだ。
そして俺は異世界に来て二日目なのに何しているんだ。
こいつの行動は俺の理解を超えていた。
大体どの漫画やアニメにおいてもお風呂の覗きの敵と言われるのは湯気だ。
一体どれくらいの人間があの不自然な湯気に怒りと落胆を覚えたことだろうか・・・。
だが、隣の男はその湯気の中にあえて煙をたしていくスタイルを提唱しているのだ。
いや、でももしかしたら、そこに新たな可能性があるのかも・・・
「ってなわけあるか!!おい止めろ!!!」
湯気+煙とかもはやそこが女湯かどうかもわかんねーよ。
そして俺が玉を取り上げようとした瞬間、バキッという音と共にそいつのハシゴが壊れた。
その音で、中にいる人と俺の目が合った。
そしてきゃぁぁと中から悲鳴が聞こる。
「誰かいるのか!!そこを動くな!!!」
クソッ誰かこっちに向かってきている。
まずい!早く逃げないと・・・と急いではしごから降りていると
「何してんだよ!」
「い、いや今落ちたときに足を捻っちゃったみたいで・・・」
くっ速く逃げないといけないのに!
「なぁさっきの玉貸してくれるか?」
「え・・」
俺は足をおさえている所を抱きかかえて、建物の裏にある塀をこえて、林に逃げ込む。
「くっ逃げるな!」
と黒い服を着た女が俺達を追ってきた。
おらぁぁ
俺は女に向かって玉を投げつけた。
「クッ何だこれは!!見えん!!!」
煙がかなりすごく俺も走らないと煙に追いつかれそうだ。
「はぁはぁはぁ、なんとか逃げ切ったな。」
俺達はなんとか、テントのあるキャンプ場まで戻ってこれた。
「た、助けてくれてありがとう。」
「ん?ああ別に助けたわけじゃ無いよ。怪我は俺の所為でもあるしな。まぁ言いたいことは沢山あるんあけど・・・・」
とそれから覗きとはどういうものかと言うのを何時間か語ろうとしたところ
「ま、まあちょっと落ち着いてよ。」
「・・・・何だよ」
「あそこの銭湯っておばさんしか行かないし、損しか無かったと思うよ。」
と言うのに確かにそうだったな、とさっきの中の様子を思い出して納得してしまった。
「だからさ!君ってこの街に来たばっかりだよね?助けてもらったお礼に私も協力するからさ一緒にコンヨクーって街を目指さない?」
「コンヨクー?なんだそれは?」
混浴だと、そんな夢みたいな街があるのか・・・
「え、知らないの?まあ私もそこまで詳しくは無いんだけど、温泉の街だよ!若い可愛い女の子が沢山温泉に入りに来るんだって!」
こ、混浴?温泉?だと・・・・
しかも若い可愛い子だと・・
「よし分かった。じゃあこれからよろしく頼むぜ、えーと、誰だっけ?」
「ああ、私?私はレイラ」
「俺は多摩だ。これからよろしくな」
「うん、よろしく。」
「あ、あと男のくせに私とか言うなよな!何か違和感ある。」
「え?ああ、う、うん。わ、わかった。直すよ。」
俺とレイラは目的が決まったところで、がっちりと握手を交わし俺とレイラの新しい生活が始まった。