プロローグ
よろしくお願いします。
「ふぅとりあえず完成か・・・」
深夜3時、俺はある装置の試作品12号を完成させた。
机の上にあるコーヒーの残りを飲み干し、装置を起動させた。
そして次に目を開けた時俺は見知らぬ野原の上に立っていた。
「や、やったぁ成功だ!」
とりあえず人が住めそうな場所に着き、喜びがこみ上げてくる。
苦節2年、あらゆる所に転送された。
砂漠だったり、マグマだったり、真っ暗な世界だったり人が住めそうな場所は無かった。
俺はここで新しい生活をスタートさせるのだ。
とりあえず、部屋にある必要な荷物を運ぼ・・・・・う
あ、あれ?
辺りを見渡し、嫌な汗が頬をつたう。
「・・・・・そ、装置がない。」
俺は財布と携帯と修理道具だけの状態で見知らぬ場所に取り残されてしまったのだ。
俺、瑞生 多磨は天才だった。
小さい頃から神童と呼ばれ、8歳の時にアメリカに留学。
そのままアメリカの学校に通い15歳の時に、アメリカの某有名大学を飛び級で卒業したのだ。
普通だったら日本で天才少年だと話題になってもおかしくないはずだった。
だが俺は運が悪かった。
なぜなら、俺の同い年に俺よりも天才がいたからだ。
一宮 香梨愛
そいつは、13歳の時におれと一緒に大学入学、そして俺より1年早く大学を卒業していった。
そいつと俺の違いは単純な頭の出来の違いもあるが
そいつは美人なのだ。
綺麗な黒髪、色白な肌、整った顔立ち、誰にでも愛想が良く、常に笑顔を崩さない。
俺もアメリカから帰ってきた時にテレビに結構呼ばれたりしていたけど、俺の役目は香梨愛の引き立て役だった。
ただ、勝負は常に俺の負け、引き立て役の役目にもならず、特別人気者になれる要素も無い俺がお茶の間の人達にすぐに飽きられるのは目に見えていた。
そんなこともあり、俺はテレビの出演オファーがなくなる頃には天才としてのプライドをズタズタに引き裂かれていた。
そして香梨愛は2年経った今でもテレビに公演に引っ張りだこだそうだ。
俺は俺のことを知らない世界でやり直したいと必死の思いでこの転送装置を完成させたのだ。
帰れないという事実を受け入れるのにだいぶ時間がかかり、辺りは既に暗くなり始めていた。
「ま、まずい!」
俺は急いで建物が見える方に走り出した。
読んで頂きありがとうございました。