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お詫びとお礼

この物語は予約投稿分となります(7月12日現在)。

もし、この予約が解除される事なく掲載されていれば、恐らくもう小説を書く事は止めていると思います。

最後まで書けずに申し訳ない。

一応軽く最後までの話の流れは書いておくべきだと、このような話を載せる事にしました。

本当は最後まで書きたかったのですが、書けなくなった事をお詫びします。

そしてありがとうございました。

こんな事をしても無責任の謗りは免れませんが、せめて逆月が考えていた話の終わりまでを載せます。もちろん『そんなのもういい』という方は回れ右で。

もう感想や連絡を頂けても返事は出来ません。

それも重ねてすみません。そして今までありがとう。


来週には最終五部を載せます。

これも本当は流れだけでも最後まで書きたかったのですが、最後の最後、その手前までにしておきました。

ラストは未完のお詫びに、好きな結末をお考えください。

それがエピローグで、ラストエネミーとの戦いの結果です。


逆月








圧倒的な領域殲滅能力を持った《灰色》を模造する研究機関として設立された《学園》。

人体にメスを入れ、精神に人の手を加え、脳を切り開いた死者の学舎の跡地。

その妄執を解放し、南下する北陸長尾の勢力と中国の漣一派、黒鉄による三勢力同盟を結成させた後、元新皇二人と縁の深い紅の少女は東の地へと向かう。


強襲する濃紺の軍と野盗たちを退け、始まりの地にて向かい合う濃紺と灰色。


「なぁ、今のお前は……前を向いてるのか」


そう問いかけながら力を解放していく親友に、灰色は自らの意思で世界を拡げながら言った。


「さぁな。俺が向いてる先が前かどうかはわからねぇよ。ただ、目を瞑ったままうずくまるのを止めた。後ろを見れるようになった、それだけさ」


ぶつかりあう二つの色は辺り一帯を荒野に変え、現実を侵す二色の世界は、たった二人の意地のぶつかり合いでありながらあらゆるものを微塵に変える。


「お前はすごいよ、何年も……俺がいなくなってからもずっと間違ったままであり続けられた。ずっとずっと間違いを見据えていられた。俺には出来なかった事だ」


「でもな、もうそれを《すごい》と感心して、憧れてなんかいられない。例え間違いだと分かっていても、あいつの未来とその命を守る事がお前にとっての全てなら、今の俺の願いは《あいつの心を守る事》だ。俺たちが知っている前向きで、本当に好きだった少女の誇りを汚させない事だ」


「全力で来いよ、濃紺の皇。全力で間違いを肯定するつもりなら、俺の歩いている道も全力で否定してみせろっ」


 第三の灰色世界――それは記憶の中にある力の一点特化。

 一つの能力が行き着く先を具現させる力であり、《記憶にある最高》を呼び起こす力。

 深紅の炎は大地を焼き、破壊の音源は空間を砕き、不可視の刃は全てを切り裂いて。


「Set ――Glay-to-Fool-Dead」


 偉大なる死者ではなく、愚かなる灰色の死者。

 そう名付けた世界は、ありとあらゆる力の到達点を一つずつ顕現する。

 一つずつしか出来ずとも、状況によって切り替わっていく能力は、その切り替わりにより《相性無視》という特性を持つ。

 炎……つまり熱が効力を発揮しなければ音源。

 音源が無効とされる能力が相手であれば真空の刃。

 真空が無理であれば電撃。

 たった一つの能力しか同時に現せずとも、それらは記憶にある中から最強のものが現れる。

 しかし相手も濃紺の皇。破壊の皇。一点必殺の重力の支配者。

 それら全てを真っ向から相手に回しても怯む事はない。


「我が名は暴食の皇。全てを喰らいて破壊を為す」


 そのワードは伊達ではない。

 全てを喰らい、全てを飲み込む。

 二人の決着の時はすぐに来る。


「終わりだ、《灰色》。お前じゃ俺には勝てねぇ」


「終わりだよ、《央》。やっぱりお前の間違いじゃ俺は止められないみたいだ」


 灰色と央。

 俗称と個人を現す呼び名。

 そこに大した違いはなくとも、濃紺はその顔を歪めた。


「お前が守りたいものはあいつじゃない。お前が守りたいのは、お前がすがれる存在だ」


「《あいつがいればそれでいい》? 《あいつの為ならまだ頑張れる》? 逃げんなよ、お前が間違う理由にあいつを使うな」


「もう言いたくなんかないし、そろそろこの言葉も飽きてもきたんだけどな……《お前じゃ俺には勝てない》。迷いなく間違い続けられたお前はすごく強いけれど、今の俺はもっと強い」


 Set――。

 そう告げて、辺り一帯に残る第三世界の残り香たちに告げる。

 《刃になれ》。

 《お前たちはまだ戦える》。

 《あらゆる力よ、刃となれ》と。


 全ての暴食世界の力を集めた破壊の力。

 それは数百メートル――下手をすれば数キロに渡って全てを飲み込むほどの力だっただろう。

 たった一つの破壊点は空中に集められ、ゆっくりと落下していく。

 しかし、それは全てを飲み込む事なく消え去った。

 向かい立つ刃の群れ。

 あらゆる力を凝縮した刃の群れに、その世界の核は貫かれ異界に沈んだ。


「行ってくるよ、央。俺を恨んでくれて構わない」


 そう言い残して、全てを出しきって倒れ付した親友の前を後にする。

 かつての最愛の人。

 狂える絶対毒の皇さま。

 孤独にまみれて対の存在を求める少女を止める為に。




「やっとここまで来たよ、りぃ」


「うん、やっと会えたね」


「待たせてごめん」


「ほんとだよ」


「お前を止めるよ」


「どうしても? どうしてもわたしとはいられない?」


「うん、大好きで、本当に大好きだけど、だから止める」


「そっか」


 再会した二人は世界を広げなかった。

 そんなものは必要なかった。

 ただお互いの言葉だけを求めていた。


「ごめん、本当にごめん。弱くてごめん。逃げちゃってごめん。好きなくせに目を逸らしちゃってごめん」


 男はやはり泣いていた。

 勝てないと知っていて――でも自分なら止められると知っていたから泣いていた。


「いいよ。もういい。ユウは弱くなんかないよ。時間が必要だっただけ。わたしも大好き。だから――」


 少女は笑っていた。

 自分なら負けないと知っていて――誰にも負けない事を知っていて、それでも男の考えを受け入れるかのように、寂しそうに笑っていた。


「だから、ユウがわたしを本当に止めるつもりなら、止められてあげる。ユウが世界のせいにしてわたしから逃げたりしていないなら……うん、いいよ。わたしは止められてあげるよ」


 ――わたしを止めて。もうわたし自身でも抑えきれないわたしを、ユウが止めてあげて。


 そう言って。

 この国にて真なる最強であり、最高の少女は目を瞑る。

 ゆっくりと歩み寄ってくる愛している少年の全てを受け入れるように、その手を柔らかく広げながら。

 自分でも止められない自分を……誰も殺せない自分を唯一殺せる対となる少年を抱き締める為に。

 その手に握られた刃が自らの胸を貫き、その鼓動を止めるまで笑顔を絶やす事なく。


 こうして唯一にして無二、最悪の呪いであり最高の祝福であったはずの《新皇・無色》は笑って最期まで歩きぬいたのだ。






四部までにマルス、ヨツバ、アゲハ、メメが亡くなっています。

抜粋。

マルスは反乱にて、ヘルメスの精神感応能力を用いてヨツバを殺します。

ヨツバは精神防壁の具現化能力。

相性は誰が相手でも問題ありませんが、唯一苦手としうるのは《他者の感情に変化をもたらせるヘルメス》です。

それによる揺さぶりで弱体化、マルスに敗れています。


マルスはネームレスシックスに敗れます。

楔はセブンスの能力。以下でそれを説明しています。

ヘルメスは反乱を起こしたマルスに言います。

「私は生き残る事だけを望んでないっ。私は私らしく生きていけたらきっとそれでよかったっ。この街ならそれが出来ると思ってたっ。

 あなたが望んだ事、マルスが望んだ事に私を理由にしたりしないで」

マルスはヘルメスの為だけに力を鍛え、ネームレスを殺しうるだけのものを持ちました。

それがやがて、己の力に対する自信となり、やがては過信となって、《ヘルメスにいい生活をさせる為》《ヘルメスを生き残らせる為》→《それに付いていく自分もよりよい生活を》《自分の力ならそれぐらいは出来る》と変わり始めていたのです。

それにマルスは優秀であった為に……優秀だったからこそ気付けなかった。ヘルメスという大きすぎる理由があったからこそ、気付けなかったわけです。


最後には自分の行動にヘルメスを巻き込んで、その力を使い戦力が低下していた三班の盾となった不貫を死闘の果てに打ち倒し、シックスと相討ちの形となって死亡します。


「あぁ、ヘルっち……麻百合、俺が間違ってた。やっぱりお前が正しかったんだ。俺みたいなチンケな三流野郎は思い上がってただけだった。

 お前はさ、俺に出来なかった正しさを――自分らしさを貫いてくれよ」


そう言い残して。


アゲハは学園で死亡します。

学園へ赴くメンバーはカーリアン、オリヒメ、サクヤ、ヒナギク。頭脳としてカクリ。

隠れて……アゲハとスイレンがスイレンの力で外観を誤魔化して付いていきます。

アゲハはシャクナゲと分かたれたカブトが、やはり三班とは戦えないという意向を示した事により、スイレンに接触を図り、学園に対して手を貸す事を条件に受けます。

学園とは《人造灰色世界》を造る機関。

そこには、人体実験で死んだ者となんとか生き残った者が共存しています。

学園統合委員長……ヴァルゴ(乙女座)の委員長の世界は《人体のデータを呼び起こす事》。

復元に基づいた世界。

学園そのものが彼女――眠り続けている女性――が造り出した箱庭です。

そこで、肉体を持った死者のデータと戦う事。最高の戦争兵器に成りうる灰色世界を作り出すという妄執に囚われた者を解放する事が学園編。

中には派閥があり、何百にもわたる死者のデータを読み込み続ける女性を、眠らせ続けて学園を守ろうとする派閥、その女性を解放しようとする派閥があり、それに巻き込まれます。

メインは女性の解放と、葛藤につけこまれ仲違いをさせられたオリヒメとカーリアンの対決。


「今のあんたを見てるとさ、本気で腹が立つのよね。いつまでそうやって昔ばっかり見てるつもりよ?」


「あんたには……あんたには分からへんっ。ウチかて直接話を聞かされてたら――」


「直接話を聞かされてたら何っ?それで今の状況は変わってたって?あたしとあんたの立場は逆転してたとでも言いたいの?甘えてんじゃないわよ、こんのすっとこどっこいっ」


「そやろ、だってそうやんかっ。あんたは連れてって貰えたからええっ。でもウチは!アオイに教えられるまで、あいつが光都に行ってた事すら知らんかったねんでっ!?」


「確かにあんたとあたしじゃ立場が違う。経過が違う。それは認めるわよっ。でもあたしだって散々悩んだ、散々苦しんだ、何回も考え直した。でもそうやって悩んで、苦しんで、やっと今の立場を手に入れてんのよっ。そうやって手探りで歩いて今の場所まで来てんのよっ!」


「じゃあ、あんたにはわかんのっ?外側から話を聞いて、そんなものを理由にして、立場に日和って、あいつに駄々をこねてるだけのあんたなんかにっ。話を聞かされて、でもなんの言葉もかけてあげらんなくて、本当ならあいつが泣いちゃいたいはずなのに強がってさ、自分は最悪の罪人なんだって蔑んでいるあいつの前で、逆に泣いちゃって宥められたりしたあたしの事があんたにわかるっての?」


「っざけんじゃないっての!それにねっ、あんたは勘違いしてるみたいだけど、あたしも最初からあいつに話されたわけじゃないわよ。坂上に……将軍に聞かされて、無知を嘲笑われて、騙されてたんだって言われて……それでもあたしは自分で考えてこっちに付いたのよ」


「オリヒメ、あたし達の力は《共に感情から溢れた力》よね。なら今のあんたにだけは絶対に負けてなんかやんない。あんたみたいに悩んで悩んで悩み疲れて、結局楽な立場に逃げたヤツなんかより、悩んで悩んでずっと悩んで、それでも前に一歩でも歩いたあたしの方が絶対に強い」


「言っとく。あたしは命を賭けてる。本当の意味で笑ったりなんか出来ないあいつが、もう一度笑えるように絶対にしてみせる。

 ウダウダ悩んでんじゃないわよ、このバカオリヒメっ。あんた、このあたしのライバルなんでしょうがっ!」


「あたし達は本当によく似てる。力の質とかだけじゃなくてさ、色んなもんがちょっと似すぎてるぐらい。共に大事なもんを奪われて、復讐に生きた過去があって、あいつに拾われて――そして二人ともあいつが好きになった」


「うん、あんたにだけははっきり言っとくね。あたしはさ、あいつが好き。本当に好き。大好き」


「今のあんたはさ、あたし相手にでもはっきりそうは言えないんでしょ?ならあんたは、やっぱりあたしには勝てない。自分の気持ちすらはっきり言えないヤツの感情が、あたしの好きって気持ちに勝てるもんかっ!」


「あいつの過去なんて関係ない。あたしにだって……それにあんたにだって、誰にも知られたくない過去はあるでしょう? あたし達は同族殺しの人殺しなんだからさ。

 だから、あたしはあたしの見たものを信じる。あたしが信じると決めたものだけを信じる。そしてあたしは誰かに信じてもらえるように頑張るんだっ」


で、オリヒメと本当に仲直りを……まぁ、微妙にして、さぁ解決かというところで、学園の眠り姫の世界を守る派閥により、その世界は暴走を始めます。

倒しても、倒しても出てくる委員。

いままでは、夢の中でも矛盾をなくす為にあった理――例えば、殺された相手は殺した相手が世界から出ていかない限り甦らない――といったルールまで消えて、追い詰められたり。

そこでオリヒメとカーリアンを守る為に、アゲハは死亡します。

彼女の能力は《ドッペルゲンガー》。質量も存在感もある自分を作り出す事なのですが、その産み出す限界まで自分を作り出していき、盾として、やがて限界がきても作り続けて。

強制的に自分たちを消去し、それが受けた攻撃全てのフィードバックを一気に感じて、死亡します。

彼女の望みは

《カブトの望みを叶える事》

《多重の自分を持って、既存種でありながら変種に歩み寄ろうとする人間の助けになる事》

不気味を気取って、不吉を気取って、不死を語った彼女は、多分黒鉄の創設者の中でも最も弱かった相手……自分とは違うカブトに惹かれていたんじゃないかな、と。

その辺りは描写する予定はありませんでしたが、そんな気がします。

結局は最後までその存在を隠し続けてきたスイレン……幻影という有名な名前を持った《よく分からない能力を持つアゲハ》に隠れていたスイレンが、学園の姫を起こして……幕は閉じます。

この辺りは描写で隠して、アゲハ辺りまでは気付かせながら――誰かいそうな雰囲気――スイレンを隠す、という形で書く予定でした。

ちなみにカクリは、最後の暴走部分で片腕を無くす事に。


スズカは、黒鉄内乱において、三班側の指揮をします。ナナシやアオイ、残されたネームレスを指揮して、各地方都市からの侵攻や六班の相手をします。

ヨツバは本部にてマルスを。

セブンスの仇と狙ったマルスを追ってシックスが。

アオイも恋人を使い、部隊を率いて水都の手勢と。

ヌエとシュテンは戦都の相手、スズカはその他の全て。

ここでナナシを庇ってメメ死亡。




ではシャクナゲは?

最大の脅威であり、自分に相性のいい相手……つまり長尾の軍の相手をすべく北陸勢の前に。


「動くな、誰一人動くんじゃない。俺はそう言っているんだ」


「どういう事かしら?あなたはわたしと戦いにきたんでしょう?」


「違うな、それは違う。俺はお前達を止めにきたんだ。はっきり言うなら、俺は止める為だけにきた。今お前達に関西に来られたら、きっと俺たちでは勝てないから」


「だから動くなと言っている。俺たちじゃお前たちには勝てないけど、俺だけならお前たちに勝てるんだ。俺とお前の軍勢が戦えば勝てる自信がある。俺は数で戦ったのなら絶対に負けないからな」


「俺とここにいる北陸の軍勢が争えば……そうだな、ひょっとしたら最後に立ってるのマリアなのかもしれない。俺が倒れてマリアだけが立ってるって結末に至る可能性はそんなに低くないんだろう。本来の俺ならこんな勝率じゃ戦わないんだけど、そうも言ってられないんだ」


「でもな、例え俺が負けたとしても、それまでにその軍勢のすべてを潰せる自信はある。マリアの力が俺を討つ前に、せめてマリア以外の全員を潰してやるよ」


「でも、そうなったらお前は困るんだろうな?俺にはなんとか勝てたとしても、その軍勢全部を引き換えに潰されたとしたら、あまりにも割にあわないんじゃないか?たとえ長尾まりあであれ、北陸を一人じゃ維持出来っこないんだからな」


「だから『動くな』と言っている。これはお願いじゃない。警告だ。部隊を引かせようとしたら俺は即座に世界を広げる。一人でも離脱を図ったら開戦だ」


「お前とやりあうつもりなんか俺にはさらさらないんだよ。わかるか?俺はお前の仲間しか攻撃しないつもりなんだ。そしてその上でお前とは絶対に戦わない。逃げさせてもらうよ。手足だけもいでやる。どうせ長尾まりあの戦力が弱まった北陸は荒れに荒れるだろうからな。疲弊するまで待つ事にするさ」


「だからこれは警告なんだ。もしお前が軍勢を一歩でも進めたら――あるいは一歩でも退かせようとしたなら、その報いは即座にくれてやる。あっという間にお前の部隊を殺してやろう。俺の世界ならそれが簡単に出来る事ぐらいは知ってるだろ?」


「ただ動くな。その場に留まっていろ。俺がいる場所に大部隊を率いてきたのがそもそもの失策なんだ。不服なら好きに動けばいい。すぐにこの周囲一帯ごとお前の軍勢を飲み込んでやろう」


「俺にそんな真似は出来ないと思うか?何年も逃げてきた俺、関東から逃げ出した俺なんかにはもう戦えないと。本気でそう思ってんのならそんな考えは棄てた方がいい。俺は幼馴染みの為だけにたくさん殺した、殺して殺して殺しすぎたぐらいだ」


「俺は《新皇と呼ばれた五人》の中でも一番殺した男だって事は知ってるだろ?たしかに一番国を壊した皇は《毒の皇》さ。一番高い攻撃能力を持ってるのは《重力の皇》だろうな。でも一番の人殺しは《灰色》たる俺。圧倒的に広大な世界を持つ俺なんだよ」


「そんな俺にもさ、今は仲間がいるんだよ。そいつらの中にはさ、俺の頭を強引に抑えつけて謝罪を強要したり、俺が管理する資材をちょろまかしてやろうと虎視眈々と機会を狙ってたり、仕事を頑張ったから頭を撫でろと無言の催促をしたりするヤツらがいたりいるんだ。昔の俺を知るお前からは信じられないだろ」


「でも、そいつらの為なら俺はここでお前達を殲滅してやる。誰一人として生かして帰さない。俺の世界で飲み込んで一人残らず皆殺しにしてやる。その後で混乱する北陸まで出向いてもやるさ。お前に属するやつらは全員後を追わせてやるよ」


「これで最後だ、長尾まりあ。俺はお前とは戦わない。負けるかもしれないから戦わない。片手間に逃げる事だけに専念して、お前にとって必要な軍勢だけを殺してやる。それが嫌ならそこに全員座らせろ。俺も座って話し相手をしてやるよ。不服ならそれでもいい。俺の言葉に嘘はないと教えてやる」


こんなやり取り。

話としては、ここにグライが顔を出し、シャクナゲを抑えようとしたり、それに力を得て長尾までが戦おうとしたり、押されまくっていた時に坂上が手を貸してきたり。


「よぉ、長尾。わがまま女。久しぶりじゃねぇか。半年前の古都防衛戦以来か?相変わらずいい女だけどよ、欲の皮が突っ張ってんのも変わらねぇな、ああっ?」


「隻腕の負け犬に容姿がどうとか言われても嬉しくないわね。欲の皮が突っ張ってる?美しいものが色々と手に入れるのは自然の摂理でしょ?」


「力ずくでとか、混乱に乗じてってのが美しいやり方ってか?笑えるな、いつからギャグなんて言うようになりやがったよ?」


「あら、あなたの美意識では、敗北して全てを失う事は美しい事なのね。わたしの美意識では、勝って全てを得れば結果的には美しいのだけど。そんな考えだから片腕なんて無様な真似を晒すのよ?」


「はん、万年高望みで男日照りの牝犬がキャンキャン吠えてンなよ。ぐちゃぐちゃになった場所に顔を突っ込んで、残飯漁りって辺りはてめぇにゃお似合いだけどな」


みたいな感じで。

シャクナゲにも散々絡みながら、『借りだけは返してやる。次の機会には殺すけどな』と、まだまだ諦めてない会話も。

結局はちょろっとやりあって、片腕なのに強くなっている坂上とか、長尾まりあの紹介とかを。

長尾まりあは、《女王様。王様は許してあげるけど、女王は自分でなければ許さない。男は女に劣る……つまり王様は女王様より下》みたいなタイプ。

この辺りが三部ですかね。

ちなみに二番、三番は関東まで。

四部、五部の伏線で山吹に会いにいってます。


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