お前はオレが護る!
「くっ……なんて強い力なんだ……!」
オレの眼前には巨大な怪物が立ちはだかっている。ここへ来るまで次々と襲い掛かって来た怪物たちがこいつのたった一度の咆哮で震え上がり姿を消してしまったことといい、そこに居るだけで強く感じる威圧感といい、恐らくこの怪物はこの洞窟を統べるボスなのだろう。
オレの後ろには修。その身体はボロボロに傷付き、地に伏せたまま顔だけをこちらに向けている状態だ。そんな修を庇い怪物の重い一撃をオレが造り出した防御壁で受け止めているのだが、それもいつまで持つか……
「み、御崎……!」
「心配するな、オレが必ず護る……っく!」
ピシッ、と防御壁に亀裂が走る。持って後数分といったところだろう。今ここでオレが持つ全ての力を解放すれば目の前の怪物を倒すことが出来るのだろうが、そうすれば間違いなく……いや、そんなことに構ってはいられないな。オレは誓ったんだ、修を……たった一人の仲間を護ると!
「ここはオレに任せて先に行け!」
「御崎……なにをする気だ……!」
「(オレは決めたんだ、お前を護ると。)ほら、立て! 走れ!」
「お前を置いて逃げるなんて、俺には出来ない! 俺も一緒に、」
「……まだ分からないのか? お前にはもう、戦う力なんて残ってはいないだろう! ……足手まといだ、早く行け」
「み、御崎……」
よろよろと立ち上がった修は悔しげに唇を噛み締めると踵を返し走った。
……これで良いんだ、そう、これで。
「さぁ化け物、これでオレとお前の一騎打ちだ。……これで終わりだけどなぁッ!」
光り出す御崎の身体。呻く怪物。徐々に大きくなる光は御崎と怪物を包み込み、その光に気付いた修が振り返ると、
「み、みさ、き? ……御崎イィィィイイッ!!」
「という夢を見たんだ」
「結局お前は最後どうなったんだ? あれか? 自分を犠牲にしてまで俺を護ろうとしたのか? その気持ちは称賛に値するがな、勝手に人をRPGじみたイタい夢に出すな」
「……という夢を見たんだ」
「夢の中の俺はお前に言いたいことを全て言ってくれたんだな。よくやった、夢の中の俺」
お粗末様でした(´・ω・)ノ