第二話・生徒会メンバー(2)
体育祭について調べるとしたら、一番いいのは先生に聞くこと。
俺は生徒会担当の先生を探しに本校舎へと向かった。
第二話:生徒会メンバー(2)
「生徒会長!!」
「へ?」
呼ばれ、振り返ると、そこにはつい最近知り合いになった人の顔があった。
「青山先輩!」
「一寸、あたしは?」
「こんにちは。香坂先輩」
「なにその態度の違い!!」
「まぁまぁ。満、落ち着いて…」
「だって…!!」
副会長の青山比呂美先輩と、書記の香坂満先輩。
お二人とも、学校の先輩でもあり生徒会の先輩でもある。
「そうだ先輩!体育祭のことについて聞きたいんですが、今いいですか?」
先輩に聞けば、先生に聞くよりも手っ取り早い。
そう思った俺は、未だにぶーたれている香坂先輩をよそに、青山先輩に尋ねた。
「いいよ。何について聞きたいの?」
「一先ず全部…」
「会長の癖に、なんっもしんないのね」
「ほっといてください」
香坂先輩の野次を気にした様子もなく、青山先輩は初めての俺でもわかるように、簡単に説明をしてくれた。
そのおかげで、全く分からなかったことの、半分以上ではあったが、理解することが出来た。
「また、何か分からないところがあったら、いつでも聞いてくれていいからね」
「有難うございます!!」
「もうくんなバーカ」
「言われなくても、香坂先輩のところには行きませんよ」
香坂先輩の暴言に、俺は嫌味気に返してやった。
最初は本気で嫌な人だと思っていたが、悪態をつくのがこの人の『喋るときの癖』と、言うことに気づいた今では、なんとも感じない。
まぁ、時々腹立つときはあるというのも事実だけど。
先輩に頭を下げ、俺はもと来た道を戻り始めた。
「お帰り、会長」
生徒会室に帰ると、さっきまではなかった女の声が聞こえてきた。
こんな気の聞いたことを言ってくれるのは、ただ一人。山野美里。
俺とはクラスが違うけど、なにかと気を使ってくれるいい奴だ。
「ただいま。いつ来たんだ?」
「ついさっき。会長が出て行ってすぐぐらいじゃないかな?」
「そっか」
山野の了解を得てから、俺は彼女の向かいの席に腰を下ろした。
それと同時に、山野が口を開いた。
「で、最近どうなの?」
「どうって…何が?」
「彼」
いって、山野が指差した方向にいたのは雪野だった。
女の山野から見たら、『面白い話題の種』となるらしく、暇さえあれば聞いてくる。
女子ってのは、なんでこの手の話が好きなのか。本当に謎だ。
「別に、どうもねぇよ」
本当はどうもないことは無いのだが、俺の知らない場所で変な噂を立てられるのは御免だったので、適当にあしらうことにした。
すると山野は、俺の言葉を素直に聞き入れたのか『なんだ』と、残念そうに呟いた。
「そんなことより、お前のほうはどうなんだよ?」
「え…?」
一体何のことか分からないといった様子を見せる山野に、俺は意地悪く微笑み、言った。
「彼氏だよ彼氏。最近冷たいって嘆いてたぞ」
「えぇ!?」
「ま、精々振られないように頑張りな」
驚き慌てる山野を前に、俺はニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべた。
と、そのとき、校舎を施錠する放送が流れ出した。それと同時に、役員達は身支度を始めた。
「結局今日は、何もせず……か」
まぁ、明日から体育祭の準備を始めればいい。
まだまだ、体育祭まで日はあるんだしな。
俺は大きくため息を吐き、誰も居なくなった生徒会室の扉を閉めた。
−第二話・完−