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飛行機で
「ご搭乗の皆様に……お知らせいたします!」
抑えている風で、その実かなり上擦ったアナウンスが響き渡った。
ありゃ、どうも、おかしいぞ?
マーロンは思わず顔を上げて辺りを見回す。
何だって、みんな、さっきのアテンダントの女まで、ジェットコースターに初めて乗ったガキみたいな顔してやがるんだ?
「当機はただ今より、緊急着陸態勢に入ります」
周囲のざわめきと機体の揺れが連動する様に大きくなる。
マーロンは思わず写真ごと胸に両手を当てた。
一体、どうなってんだよ?
「係員が誘導いたしますので、緊急脱出口のスライドから、速やかに避難して下さい」
マーロンは寝入る前に座席のモニターで夢うつつに目にした映像を急速に思い出した。
それは、飛行機からだだっ広い滑り台が出てきて、そこから顔のないたくさんの人影が滑り降りていくものだった。
「ちょっ……」
この飛行機専用の滑り台から降りろっての?
三万フィートの高さから?
一体、どこに向かって滑るんだ?
それで、今まで助かった奴って本当にいるの?
頭の中を疑問符が駆け巡り、体の芯から力が抜け、全身から血が引いていく。