計画とかまじ無理www
とある日、雫はある計画を立てていた。
(今日はむに、遊びに行ったりしないって言ってたからね……!
やるんだ…!あの計画を実行するんだ……!)
そんなことを思いながら夢弍羅の家へ向かう。
ピンポーン…!
雫がインターホンを鳴らすと、夢弍羅が出てくる。
「しーちゃんおはよ!」
「おはよ!」
夢弍羅は9月ということもあり、まだまだ露出度の高い服を着ている。
そして今日の服は、部屋着だ。
だるっとした黒の半袖Tシャツに、ピンクの短パン。
対して雫は、隣だとしても一応外出なので、部屋着ではなく、だるっとしたアニメの半袖Tシャツに、これまただるっとした長いズボンだか、
正直部屋着と大差はない。
足を出してるか出してないかぐらいだ。
2人は夢弍羅の部屋へ行く。
夢弍羅の部屋は、わりと簡素というか、レイアウトに興味がないような部屋で。
モニターやキーボードなどを置いても広く使える大きな机と、簡単に寝返りをうてそうな、これまた大きなベッド、そして壁に付けられた横長いポールに洋服がたくさんかかっている。
2人はベッドに座り、壁を背もたれにして喋る。
「なにして遊ぶ?」
夢弍羅がそう問うと、雫は計画を実行に移す。
「愛してるゲームってなに……?」
この計画はズバリ、夢弍羅に雫を意識させようというものである。
「限りある命を君だけに」を見たことで、雫の中ではもう、夢弍羅は女同士に抵抗がない、という認識になっている……つまり、告白しようと思えば出来る状態。
がしかし、雫は、希望的観測にしろ、女同士がOKになったからと言って、まだ夢弍羅に好きだということを伝ることはできない。
これは雫が、夢弍羅は恋愛的に私を好きではない、と思っているからで、
だからこその意識させる計画なのだ、
意識させて惚れさせようということなのだ。
そして今回の計画の名前は、
「告白まで後一息!愛してるゲーム作戦!!(名前は雫がつけたもの)」
計画の内容は、自然な感じで愛してるゲームに誘導、そして愛してるゲームをする。
これだけである。
これだけで夢弍羅が惚れると思っているのである。
さて、計画の全てを話した上で、先程のやりとりに戻ろう。
「なにして遊ぶ?」
こんな夢弍羅の問いに雫はまさかの、
「愛してるゲームってなに……?」
と、自然な感じとは?なんてことを問いたくなる不自然さである。
勿論この不自然さに夢弍羅も疑問を抱く。
「いきなりだね!どした?」
雫はその問いに意表を突かれたかのように驚くが、
「え……!?あっ……いやさ……なんかどこかしらで聞いてさ……むになら知ってるかなぁって思ったからさ……!」
せんばやまのたぬきがちらつく感じで、なんとかごまかす。
「なるほど~!うん知ってるよ~……!
しーちゃん…!私の目みてね~!
そんで、私がなに言ってももう一回って言って!」
「え!?う…うん!」
雫はまさかのカウンターをくらう。
知らない体で聞いた都合、断るわけにもいかず、雫は夢弍羅の目をしっかり見る。
そして夢弍羅も雫の目をしっかり見つめて言う。
「しーちゃん…愛してる♡」
「ウッ…!」
雫はベッドに頭を落としてうずくまり、
(やられた……これは効く……間違いなく効く……うぅ……好き……うぅ……うぅ……)
心で一人、夢弍羅の愛してるがリピートされ、悶え苦しんでいる。
そんな雫を見て夢弍羅が言う。
「あれ?恥ずかしくなっちゃったw?
しーちゃんは恥ずかしがりやさんだねぇ、可愛いねぇ……♡」
煽り口調でそんなことを言う夢弍羅だが、
(危ない!!!!!!
ベッドの上で愛してるとか!!
抑えきれなくなっちゃうよ!!!!!!
3回言ってたら終わりだったね……
危ない……!
しーちゃんが恥ずかしがりやさんで助かった……
でも……ちょっと勿体無い…………!)
夢弍羅も夢弍羅でかなりくらっていた。
少し経って、雫がなんとか復帰する。
「むに……愛してるゲームはやめよう。」
「そうだね!しーちゃんにはちょっと難しいかもね!」
こうして計画は失敗に終わり、この後は普通にゲームをした。