コミュニケーションとかまぢ無理2www
きれいになった黒板を背に、教卓で先生が意気揚々と話す。
「さぁホームルーム始めます!
まずは出席とりますね~!」
「先生……!」
突古見さんが世界においていかれたような顔で言う。
「どうしました突古見さん?」
先生は凛として聞く。
「いや……いっ…今何が起きたんですか…?」
「あぁ……簡単な話よ、ただ話数を重ねただけ。
百合海雫さん、川井夢弍羅さん。
ほら、ルピがふってあるでしょ?
これは話数が変わったから起こる現象よ。」
「ほ…ほんとだ……!」
突古見さんが状況を理解し驚いていると、
バァンッ…!
教室のドアが勢いよく開けられる。
「いや!メタいからぁっ!!!
ちょっとメタネタ長引かせ過ぎだからぁっ!!」
突然現れた女性がいきなりツッコミをいれる。
「お母さん!?」
突古見さんのお母さんが、長引いたメタネタに見かねて、ツッコミに来たのだ。
「先生もあんたも!もう終わりよ!
さっさと次に進みなさい!」
「いやよっ!これから点呼ボケがあったのにっ…!私はまだここで笑いをとっていたいわ!!」
先生が、往生際悪く残ろうとすると、
「先生諦めましょう…ツッコミは時に場面を変える力を持つ……そしてお母さんのツッコミレベルはもう既に先代を越えています……
私達与えられた出番はもうこれで終わりです……」
突古見さんがそう諭す。
「そんなぁ……」
先生が諦め腰を落とすと、
そしてそれを見た突古見母が、娘の成長に微笑み、
大きく息をすって話し始める。
「はい!今回の教室編はもうここで終わり!!
場面転換よ~!!」
「いや、お母さんもメタいんか~い!!」
突古見家、
ツッコミに困ると、その空気を察して出てくる便利な家系。
親戚兄妹を含めると、とんでもない数になるらしい。
学校が終わり、放課後一緒にポリクラをする約束もあるということで、雫と夢弍羅は一緒に帰っている。
「しーちゃん…!今日はごめんね…!」
「ん……?
なんの話し…?」
いきなりの謝罪に雫がぽかん…?としながら聞き返すと、
「今朝人に話かけられたでしょ…」
夢弍羅が朝のことを言い、
ビクッ…!
ドンッ…!
バァンッッ…!!
雫は今朝のことを思いだし、離れたところでモブオが無茶なことになる。
「あぁ……ね…………」
「あれ、あたしがうまく断りきれなかったから、しーちゃんのとこ行っちゃったんだ……!
だからほんとにごめんね……!」
「いやっ…だっ…大丈夫だよ!!
私よりもさ……飛ばしちゃった方になんかしてあげて……話かけられただけであんな風になっちゃうのすごく申し訳ないし……」
雫は今まで、数えきれないほどの人をぶっ飛ばしてきたため、アンコミで被害を出すことに、結構な罪悪感を感じている。
ちなみに、今まで忘れていたのは、アンコミの忘却機能によるもの。
今朝のことを刺激されたため、塞き止められていたアンコミ関連の記憶が流れ込んできたのだ。
「いや、あいつはいいよ!
全然いい!気にしなくていい!!
罪悪感から最も遠い存在だと思っていいから!!
めっちゃ無理矢理だったし!!」
夢弍羅はかなり罪悪感を感じているっぽい雫をフォローしようとするが、
「……」
雫は黙る。
(どうしよう~……!
田中飛ばしてこんなに罪悪感を感じるなんて思ってなかったよ~……!
田中なのに!
しーちゃん優しすぎだよ~…………
あ~……でもそっかぁ……こういうのって仲間内だけの話だよね……それに、しーちゃんはあんまし人にキョーミないから…教室でのノリとかみてないだろうし……
てか、人に擦り付けるとか……それがましてやしーちゃんに……
それも、めんどくさいと思ったからって……
しーちゃんとこ行けば簡単に終わる話だから……って……
最低じゃん……
私最低だ…………
……………
……………
……………)
「しーちゃん……」
夢弍羅がちょっと震えたような声で雫を呼ぶ。
「ん…?」
雫はその声に反応して夢弍羅の方を見る、
「ごべんね……」
見た先には、あれやこれやと色々考えすぎて泣いている、夢弍羅の顔が見える。
「なんで泣いてるの…!!」
そんな夢弍羅へ雫は驚いたように言う。
「いやっ…ごべん……なんか…色々たくさん考えてたらっ…涙出てきて……」
「いや…ほら……泣かないで~!
大丈夫だから~……いや何が大丈夫かはわかんないけど……でも!多分大丈夫だから~!ね~……!」
雫がへたくそながらになんとか夢弍羅をあやそうとする。
「ごべんね……」
夢弍羅がまた泣きながら謝ると、
「えいっ!」
どうすればいいかわからない雫はとりあえず抱きつく。
すると夢弍羅は自分よりそれなりに背が小さい雫の、胸元まで顔を落とし、泣く。
「うぅぅ……」
(う~ん?
これが正解か……?
むにが泣くとか久しぶり過ぎて超ビックリしたよ………………?
いや、この前かぎきみ見た時泣いてたか……
いや!そういう泣くじゃなくて!!
なんかこういう風にね…!ガチで泣くみたいな……!)
「よしよし…!」
雫はモブオを飛ばしたことを忘れ、とりあえず夢弍羅を撫でる。
(昨日とは全く逆だね!
うんうん!
なんかこっち側は気分が良いかも知れない!
基本泣いてばかりだけど、泣かれるってのも悪くないね!
なんか頼られてる的な?弱み見せても良い的な?)
「むにちゃんよしよ~し……たくさん泣いて良いからね~!」
(うんうん!楽し!)
そして雫は今の状況をかなり楽しんでいる。
ちょっと経って夢弍羅が泣き止んだ頃、
「ごめんね泣いちゃって…!」
目を赤くした夢弍羅が雫へ言う。
「いや気にしないで!
もっと泣いていいんだよ!!
人生で泣きつかれることとか、みなもが赤ちゃんぐらいの時しかなかったからね!!」
雫が夢弍羅の気も知らず楽しそうにそんなことを言うと、
「しーちゃんもしかして、あたしが泣いて楽しんでた?」
正にな質問を夢弍羅がする。
それを聞いた雫は、
「うん!
むにが泣くとか、泣きつかれるとか、新鮮ですっごい楽しかった!!」
堂々とこんなことを言って笑う。
そんな雫を見て夢弍羅も、
「あはっ……w
じゃあ…!泣いたかいがあったってもんだぜ~……!」
笑いながらそんなことを言う。
こうして2人は田中モブオのことを完全に忘れ、仲良く家に帰り、たくさんポリクラをして、雫は結局全ロスが確定し、また枕に埋まり泣いて、夢弍羅にたくさん慰めてもらった。