好きとかまぢ無理www
これは2人が互いを好きになったきっかけの話。(別々)
夢弍羅の場合。
それは7年前のこと。
2人は小学3年生になりたてで同じクラス。
もちろん赤ちゃんの頃から仲良くしていたので、それなりに仲良しではあるが、今ほどではなく、夢弍羅はその時期、雫と遊ぶよりも、他の友達と遊ぶことの方が多かった。
そんなある日、小学生らしい事件が起こる。
顔のハッキリしない男子2人が夢弍羅へ絡んでいる。
「なんかおまえの名前へんじゃね~!」
「むにらだってよ~!
や~いむにむに~!」
「へんじゃないし…!」
夢弍羅はちょっと押され気味ではあるものの、しっかり強気に反論する。
「へんだろ~!むにむに~!へんな名前だ~!」
「むにむに~!ぶにぶに~!ぶにら~!」
しかし、男子達は止まらない。
「へんじゃないって…!」
夢弍羅は負けないようにと必死になって言う。
「ぶにらぶにら~!ぶにぶにら~!
や~いぶにぶに~!」
「ぶにぶにぃ~?ぶにら~!」
それでも男子の悪ノリが加速する。
「へんじゃないもん…」
夢弍羅はもう今にも泣き出しそうだ。
と、そんな時にHEROがやってくる。
「むにらはかいじゅうみたいでかっこいいよっ!!」
それはもちろん雫である。
雫は、お母さんから言われていた、「なにかあったら守ってあげるのよ!幼馴染みなんだからね!」と。
だから、あまり人と話すのが上手ではないにも関わらず、人の名前をいじるような男子達に目をつぶりながらも、勇気を出して必死に突っ込んでいったのだ。
「しーちゃん……」
少し涙を流した夢弍羅は頼りない雫を、まるでHEROを見るかのような目で見る。
だがしかし、男子達の悪ノリがこんな弱気な声で止まるはずもなく。
「はぁ~?おまえだれだよ~!
ぶにらのなかまか~?」
「おまえの名前もへんなんだろ~?
や~いへんなかま~!ぶにぶになかま~!」
助けに入ったはずの雫は、こんなことを言われると秒で泣く。
「こんくらいでなくとかよわすぎだろ~!」
「なにないてんだよ~!」
そして男子達は、泣いた雫を見て、先生に怒られると焦りつつも、とりあえず泣いた雫が悪いことにしようとする。
守りにきた雫の泣いた姿を見た夢弍羅は、雫の優しさや、散々言ってくる男子へのイライラ、そして性格の根本にある優しさも相まってぶちギレる。
「だまれよ!!
しーちゃんなかせるな!!!
先生呼ぶし!!お姉ちゃん呼ぶし!!
ぜったいにゆるさないし!!!!!
もうどっかいけ!!!!!!!!!!」
いきなり大声を出されてビビった男子は何処かへ逃げていく。
そして夢弍羅は、すぐさま泣いた雫に近寄る。
「しーちゃんだいじょうぶ…?」
「うん……」
「ありがとねたすけてくれて。」
「むにちゃんの名前はかいじゅうみたいでかっこいいよ……」
ズキューーーーーンッ…♡
泣きながらに改めて言われたその言葉が、夢弍羅の胸にクリーンヒットする。
これは夢弍羅というちょっと特殊な名前に悩んでいたことも相まってのことである。
「しーちゃんもすごくかっこいいよ!」
完璧に惚れた夢弍羅は雫のこともしっかり褒めるが、
「それはない……」
雫は自分の有り様を客観的に見て、かっこいいという言葉を聞くや否やすぐ否定する。
「かっこいいよ~!」
夢弍羅はその否定を、嬉しそうな顔で否定する。
雫の場合。
黒い背景の中、高そうな茶色の一人用ソファが1つ置かれている。
そして、そのソファを右斜め前から撮るような画角である、
スタスタ……
雫が画角の中に入ってくる。
「ふぅ…」
そしてなんのためらいもなく極々自然にソファへ座る。
ただその座り方が少々鼻につくような感じで、お尻をソファの浅めな所へと置き、足を少し開いて、両肘を膝の上に置き、手を足の間にぷら~ん、と垂らしながら前屈みに座る。
夢弍羅を好きになったきっかけは?
そしていきなり白テロップが出てくる。
すると、
「はぁ~それはですね、」
雫が背筋を伸ばし得意気な顔で話し始める。
「まぁ簡単に言うと"自然"って感じかな。」
沈黙……
自然と言いますと?
「あ?詳しく聞きますか~……
じゃあ少し長くなるかもしれませんよ?」
よろしくお願いします。
「わかりました。
夢弍羅を好きになったきっかけ……
それを語るならやはり、私の性格を話さなければなりませんね。」
ほほう?性格ですか。
「うん、そう性格。
私はさ、家族以外とは一生話したくないんだよね。」
なんと!?
「はぁ~!まぁ驚くよね!人間にとってそれは無理な話だもん!!
でもほんとに私はこういう性格でさ、これがむにを好きな理由に繋がってくるわけ。」
なるほど……
「じゃあまぁ、私の性格も話したしむにを好きなったときについて語ろうか。」
よろしくお願いします!
「そうだね、こんな私にもさ、思春期ってやつがあってさ……」
沈黙……
思春期…?
「そう、思春期。
なんかやたらと恋愛アニメを見てた時期があるんだよね。」
それがどう夢弍羅を好きになったことと関係あるのでしょうか?
「は~ん、ここでさっきの性格の話が出てくるんだよ。」
ほほう?
「多分その時、だから中2くらいの時、好きを求めてたんだよ。
でもこんな性格だからそもそも他人を好きになることなんてあり得ないわけ。」
ははぁ~……
「だから!もう自然にって言うか?必然的って言うか?家族も同然で、それでも家族ではなくて、同い年で、仲良くて、かわいくて、優しくて、一緒にいて楽しくて、ハグとかもしてみたくて……できたら恋人繋ぎとかも……んん……」
雫さん……?
「おっと……まぁだから!そういうこと!
好きになる対象が、むにしかいなかったってこと!!
母数が1しかなくて、しかもその1がとびっきりの好みだったら好きになって当たり前じゃん!!
みなまで言わせないでよ恥ずかしい……!」
すみません……
と、ここで暴走族みたいなみなもが、バイクで雫を迎えにくる。
画角もいつの間にかフリースタイルになっている。
「お姉ぇ……乗りな……!
行くんだろ?むに姉ぇのとこ……」
「みなも……ったくあんたってほんとっ…いかした妹なんだから……」
「ハッ!」
雫がベッドで目を覚ます。
上にはみなもが乗り掛かっている。
「なんだ……夢か……」
雫はそう言うと、上に乗り掛かっているみなもを自分の横へと置いて布団にいれると、また寝始める。
先ほど雫が夢の中で話していた内容は大体その通りでため、好きになった時は中2くらいということである。
ミステリーを書き始めまして、毎週1話以上投稿しようと意気込んでいたこの物語ですが、ちょっと更新ストップします。
ちなみにこの話はミステリーを書く合間に、書きました。
なので添削しがいのある文章だと思います。
……ちょっと遠回しに言ってみました。