第6話 闇
「目覚めなさい、ランカシャー」
闇の中で美しい女性の声が響いた。ランカシャーは目を開けた。しかし、目を開いたはずなのに、何も見えない。ただ、闇しかない。
「ここはどこだ? お前は誰だ?」
闇の中でランカシャーの低い声が響く。
「私は、お前を導く者。ランカシャー、お前は死んだのです」
再び闇の中で美しい女性の声が響いた。
「死んだ? そうだ、思い出した。俺様はアルケニスたちに殺された! あの裏切り者め!」
闇の中でランカシャーの怒声が響いた。
「ランカシャーよ。アルケニスの裏切りは、お前自身が招いたこと」
「ふざけるな! 俺様は何も悪くない! せっかく皇帝即位したのに、アルケニスのクズ野郎が俺様の人生を奪ったのだ!」
「なんと、愚かな。ランカシャーよ、悔い改めよ」
「悔い改める、だと? ふん、くだらねえ!」
「もし、お前が悔い改めるのなら、お前を過去に戻してやろう」
「過去に戻す、だと?」
「そうです。お前の魂を過去に遡って戻すのです」
「それは、俺様が生き返る、ということか?」
「そうです。お前の魂を皇帝即位した日のランカシャーの肉体に戻すのです」
ランカシャーは沈黙した。何かを考えているようだ。
「ランカシャー。お前は過去に戻り、悔い改め、新たな選択を行うことで運命を変えるのです!」
「そんなことができるのか?」
「できます。どのような運命を招くかは、お前の選択次第です」
「わ、分かった。じゃあ、教えてくれ。どうしたら、俺様はアルケニスに殺されずに済む?」
「それは、お前自身で答えを見つけるのです」
「お前に命じる。俺様がアルケニスに殺されないようにする方法を今すぐ述べよ!」
ランカシャーが闇の中で命令を発すると、聴覚を失ってしまったかのような静寂が訪れた。
「おい! 俺様を導く存在! 何とか言え!」
ランカシャーは語気を強めて叫んだ。しかし、美しい女性の声が聞こえてくることはなかった。
ランカシャーは意識を失った。