第12話 最善の選択肢
ランカシャーの意識は、闇の中で、ひとり憤慨していた。
「俺様はまた殺されたのか! しかも、給仕ごときに刺されるとは!」
「ランカシャー、悔い改めなさい」
闇の中に女性の声が響いた。
「お前は、亡国の王一族に仕えていた義侠心あふれる男に復讐されたのです」
「ふん! また亡国の王一族に関わる輩か!」
「ランカシャー、なぜこのような運命を招いたのか考えてみなさい」
「まだまだ亡国の王一族を殺し足りない、ということか! ならば、次は亡国の王一族に関わった全ての関係者、使用人まで処刑してやろう。そうすれば、亡国の王一族の仇をとろうとする輩は現れぬだろう」
「なんと愚かなランカシャー。お前は、処刑すること、しか頭にないのですか?」
「敵は処刑すべきだ。そうしないと、奴らはいつまた牙をむくか分からぬ」
「乱世において、その考えは理解できます。しかし、他にも最善の選択肢があることを学びなさい」
「最善だと? ふん! 女のお前には分からないだろう。乱世を終わらせるには、敵は残らず滅ぼすべきなのだ!」
「ランカシャー······」
ランカシャーの名前を口にした女性の声は、どこか悲しげだった。
その後しばらくして、ランカシャーは意識を失った。