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【完全版】モブ女の私がイケメン後輩にストーキングされてます!  作者: 城山リツ
♡ 鷲見君の過去とさち子さんの今 編

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※第16話 待ちぶせる僕

※印の話は鷲見君語りの彼の過去話です





 僕の名前は鷲見(すみ)恋人(れんと)

 今年やっと中学生になった。

 部活なんて入らない。

 僕は放課後は忙しいんだ。






 

 中学進学のお祝いはと聞かれて、迷わず自転車と答えた。

 これで僕の生涯の相棒は三代目。自転車三世だ。


 さち子ちゃんは高校生になっている。

 市内にある県立高校の三年生だ。バスで通っている。


 朝は僕も忙しいから、さち子ちゃんを見に行くのは放課後だ。

 学校が終わったらすぐに相棒とバス停に行く。

 

 小学生の間は僕の方が絶対早いから、帰ってくるさち子ちゃんを目撃できた。

 でも中学生になってからはどうだろう。

 さち子ちゃんは高三だから、部活もそろそろ引退だろう。帰りも早くなる。

 だから僕は部活なんかに入るヒマはない。


 それにしても、さち子ちゃんが市内の高校に通ってくれて、僕はラッキーだ。

 だから僕とさち子ちゃんは縁がある……とは言わない。ただの偶然だ。



 

 僕のしていることはストーカーってやつだと思う。

 でも僕は絶対にさち子ちゃんに話しかけたりしないし、家の側で待ち伏せするのもさち子ちゃんが中学まででやめた。

 僕はさち子ちゃんを()()()()()()()のであり、会いに行っているわけではない。

 一方的に距離感をバグらせたりしない、と決めている。


 さち子ちゃんが高校生になってからは、バスから降りるのを遠くから毎日見るだけ。

 家についていったりはしていない。自転車でついていったら、絶対気づかれるし。

 さち子ちゃんが近場の学校に通ってくれる幸運を、僕は毎日感謝している。


 勝手な理論武装だってわかってる。

 それでも僕は僕なりのルールを遵守して、これからもさち子ちゃんを見続ける。

 絶対に多くは望まない。それが僕のプライドだ。



 

 バスが停まった。さち子ちゃんが降りてくる。

 おい、ちょっと待て。なんだ今日は。


 さち子ちゃんがツインテールをしている……だと!?

 いつもボブカットの髪に何もしない、ナチュラルスタイルなのに。

 学校で何があったんだ! 可愛い!!


 写真撮りたい! だめだ、証拠が残る!

 決めたじゃないか、さち子ちゃんの姿は網膜のみに焼き付けるって!


「たららーん」


 さち子ちゃんがご機嫌でスキップ踏んでる! 尊い!

 ツインテールと関係があるのか!?

 写真撮りたい! ダメだ、堪えろ!!



 

 僕に思春期が訪れようとしていた……




お読みいただきありがとうございます

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― 新着の感想 ―
ストーカーなりの拘りってやつですね。 付き纏わない。見るだけ。絶対迷惑をかけない。 鷲見くんのこういうところ大好きですね。 ツインテールの誘惑には負けそうになってましたがw
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