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クエスト3・異邦人と魔術学校5

少し更新出来ないと言いつつテスト勉強のストレスをぶつけたら数時間で

できてしまった。今度こそ更新出来ない・・・・・・筈。




 その後、しばらくはリリアと一緒に試合を観戦していた。

実力差がありすぎて数十秒で決着がついた試合もあれば、

互いの実力が伯仲していて、なかなか決着のつかない試合もあった。

カレンの試合もあったのだが、対戦相手がかわいそうになるくらいの凄まじい物だった。

有り余る魔力に物をいわせ、試合開始直後から中級魔術を次から次へと連発するのだ。

カイルさんと試合をしてなかったら、恐らくビビってた。



 「ふん、あの女の試合にはテクニックという物が感じられないわね」


 「力押しも作戦の1つだと思うけど」


 「なによぉ、あの女の肩を持つ訳?」


 「いや、どちらかと言うと俺の戦い方も力押しだしな」


 「タ、タツキの戦いは別よ、あいつだから悪いのよ!」


 「それってカレンがどんな戦い方しても非難したって事じゃ・・・・・・」



 そんな会話をしながら、試合を見物していた。

試合を見ながら様々な種類の魔術の有用性を確認し、戦術に組み込もうとしていると 

今度はカレンが現れた。



 「タツキさん、楽しんでいらっしゃるかしら」


 「タツキはお前が居ると楽しめないから帰れって言ってるわ」


 「嘘は言わないでくれよ・・・・・・カレンは何をしに来たんだ?」


 「タツキさんと会話をするためと、リリアをからかうためですわ」


 

 そう言うとカレンは俺の隣に座る。当然リリアの機嫌が悪くなる。

・・・・・・またこうなるのか。しかも今回は学生の敵意が集中するオマケ付きだ。

『探索領域』を無効にすればマシになるとは思うけど、本当の危険を回避出来なくなると困る。

だから害意を黙って感じ続けるしか無いんだけど、かなりキツイ。

何か、このままだと殺気すらも平気で受け流せるようになりそうだ。

あれ? それってかっこよくね? 何だ、気にする必要無いじゃないか!



 「どんとこい、害意!」


 「い、いきなりなんですの?」 


 「気にする事ないわよ、時々こうなるから」



 ・・・・・・オーケー、冷静になれ。冷静になるんだ。 

プラス思考の範囲ならまだしも、現実逃避は良くない。それに見苦しい。

大体、こういう事をしていたから女子にも男子にも敬遠されていたんじゃないか。



 「すまない、非常に見苦しい物を見せてしまった」


 「大丈夫よ、タツキ。もう慣れたから」


 「ま、まあ少しくらい欠点があった方が親しみやすいですわ!」



 二人がフォローしてくる。あまりフォローになってない気もしたが。

しかしこれに関しては俺に非があるのは明白だと思うので、仕方ないと納得する事にした。



 「それにしても、さっきの試合は凄かったな」


 「あら、私の試合を見ていただけましたの? てっきりリリアが見たがらないとばっかり」


 「子供じゃないんだしそんな駄々はこねないわよ・・・・・・」



 でも戦い方に難癖つけてたよな? 

それを言うと確実に言い争いになるだろうから黙っていたが。

なにも自分で言い争いの元になるものを提供する必要は無いだろう。



 「スゥ・リージー対シグ・ゴーツ 本日の午前の部、最終試合です」


 「お、もう終わりか」


 「もうって言っても、かなり長い時間見てたわよ? よく飽きないなって思ったもの」


 「・・・・・・もしかしてタツキさん、最初から最後まで全部の試合を見ていたのですか?」


 「まあ、そうだけど」


 「そんなに集中して見るほどのもの、あるかしら」


 「沢山あるぞ。魔術の思ってもなかった応用法とか、戦術への組み込み方、

  全体的にどう動けば相手の意表をつけるのか、どう動けば魔術の特性を活かせるか、とかな」



 そう一度に喋りきると、リリアは愕然と、カレンは尊敬の視線で見詰めてくる。



 「すごいですわ、タツキさん! 上級魔術を使えるだけで威張り散らす教師もいますのに、

  そんなに考えているなんて! やはり同級生の男子とは違いますわ!」


 「くぅ、何をぼけっとしてるのよあたし・・・・・・

  こういう努力をしなきゃいつまでたっても強くなれないじゃない・・・・・・」



 ・・・・・・なんかスゴいガリ勉みたいな印象でも与えてしまったのだろうか。

実際そんな大した事はやって無いんだけどなあ。確かに言葉にしたら凄そうな感じになったが。


 そんな会話をしている内に、試合は終わってしまった。

露店で昼飯を買い、三人でゆっくりのんびり食事しているとアナウンスがかかった。



 「招待された冒険者の皆様、午後の部は1時半より開始されます。

  ルールの説明がありますので、グラウンドに集合してください」


 「・・・・・・随分、不親切なしくみだと思わないか?」


 「まあ、午前の説明の時に言っておくべき事よね」


 「学生の親は、冒険者の模擬戦なんてあまり見ませんからね・・・・・・

  学生の試合をはやく見たい、冒険者にルールを説明している時間があるなら

  さっさと開始しろ、という事なんでしょうか」


 「向こうが招待したのに扱い悪いなあ」



 ここで不満を言っていても意味がないので、二人を観客席に残してグラウンドに向かった。











 一応、説明はしっかりした物で分かりやすく、安心した。

これで説明がグダグダだったら帰ろうかと考えていたところだ。

まあそんな事をしたらリリアに迷惑かけるだろうから、実際にはやらないが。


 ルールの説明をまとめると、刃を潰した武器を用いての一対一で行われる戦闘らしい。

勝利条件は、相手に降参をさせるか、気絶等により戦闘の続行を不可能にさせる事。

審判がついていて、度を越した攻撃だと判断されたらその時点で失格となる。

魔術の使用は、互いに使用できるのであれば許可される。

どちらか一方しか使用出来ないのであれば、使用は不可能。


 ・・・・・・ま、妥当なところか。

刃を潰しているとは言っても鈍器のようで危険だとは思うが、防具も貸し出されるようなので

許容範囲だろう。冒険者だし、みんな多少の危険は覚悟しているとも思う。

また、ランクごとである程度グループを作るらしく極端に実力差のある試合はないらしい。


 俺の順番は30試合ある内の12番目という早くも遅くもないような辺りなので、

一度観客席に戻ってリリアに荷物を預かってもらい、身軽になってから武器と防具を受け取った。 


 普段使っているようなナイフがなかったので、仕方なくショートソードを選び、

防具はせっかくなので、全部鉄製の物を選んだ。

頭がぐらぐらしたが、首の筋肉を領域で強化したら特に問題はなかった。

・・・・・・少しは所持金に余裕も出てきたし、頭と胴の防具も鉄製にするのを検討しようか。


 グラウンドの端にある冒険者の待機場所で、体を解したり深呼吸したりしていると

アナウンスで俺の順番が告げられた。



 「次の試合は エイト・ガドナ対タツキ・アンドー」


 「よし、気張っていくぜ」



 グラウンドの試合フィールドに行くと、対戦相手はすでに待機場所にいた。

俺が慌ててフィールドに入ると、途端に熱狂的な声援が浴びせられる。



 「うぉーーー! 無様に負けろ、タツキ・アンドー!」


 「リリアさんとカレンさんにカッコ悪いところ見せてやれーーー!」


 「エイト・ガドナ、頑張れ頑張れ超頑張れ! お前の事知らないけど!」


 

 うん。「相手に対しての」熱狂的な声援だね。しかも、かなりの学生が。

こんな多くの学生に罵倒されるなんて、流石に予想してなかった。

俺、ここまで悲しくなったの初めてかもしれない。



 「・・・・・・なんだ、その・・・・・・頑張れ」


 「お前、優しいヤツだな・・・・・・ありがとう」



 対戦相手に慰められた。かなり嬉しかった。こんなに優しい人と戦わないといけないのか。

まあ、試合になったら手加減する気は無いんだけどな。



 「両者、試合開始位置まで移動してください」


 「手加減はしないぞ、タツキ」


 「こっちのセリフだ、エイト」



 数メートル離れた位置で止まる。

この試合フィールドは午前の学生が使った物とは違い、特に起伏も何も無い普通の平面だ。

・・・・・・本当に学生の方しか凝った仕組みはしないのな。

まあ親からしたら、子供とその友人ぐらいの試合を見たら後はどうでもいいのかもしれないけどさ。

それにしたってこんなあからさまに区別する事はないだろう。



 「始めっ!」


 「うおおぉぉぉお!!」


 「おっと」



 開始の合図が出た瞬間、エイトは全身のバネを使って突進してきた。

大剣を持っていたから一撃必殺を狙ってくるだろうと予測していたが、的中した。

あまり化け物じみた身体能力を見せる訳にもいかないので軽いバックステップで回避する。


 すぐさま地面を踏みしめ、こちらから飛び込む。

首の辺りにショートソードをぶつけようとするが、大剣の後ろに隠れるように移動される。

俺の力で大剣にぶつけてしまえば恐らくショートソードは折れる。

ショートソードによる攻撃は諦め、飛び込んだ勢いをそのままに大剣へドロップキックする。

エイトの体が後ろにぐらつき、俺はキックの反動で後ろ向きに回転しつつ着地する。


 観客席がざわついている。

特別カッコつけたつもりは無いんだが、パフォーマンスと受け取られたようだ。



 「凄まじいキック力だな・・・・・・見かけによらず、強い脚力を持っているな」


 「そりゃどうも」



 エイトの言葉は適当に返し、

今度は相手を中心に高速で縦横無尽に走り回る、得意の戦法を取る事にする。

重い鎧を着て、さらに大剣を持っているエイトは俺の動きについてこれず、

目で追うのが精一杯のようだ。


 それでも目で追えるという事は、まだ大きい隙ではないという事だ。

俺は少しずつスピードを上げつつ、近づいた時に大剣を蹴ったり鎧を叩いたりして隙を作る。

しばらく繰り返しているとエイトは焦ってきたのか、大剣を振り上げカウンターを試みてきた。


 しかし、それこそが俺の作りたかった状態。

突進すると見せかけて、大剣の届かないギリギリの範囲で急制動をかける。

足に結構な負担がかかるが、強化された身体能力のおかげでなんとか耐える。

目の前を通過する大剣の回避に成功、同時にエイトには決定的な隙ができた。



 「今だッ!」


 「くっ!?」



 エイトの大剣を持つ手をショートソードで強打し、体をキックして蹴り飛ばす。


 2メートル程弾けとび、それでも立ち上がろうとするエイトにショートソードを突きつける。



 「まだ、やるか?」


 「・・・・・・俺の、負けだ」


 「エイト・ガドナの降参により、タツキ・アンドーの勝利!」



 俺の勝利を知らせるアナウンスが響き渡り、途端にまたもや熱狂的な「声援」が聞こえてくる。

・・・・・・今回は言葉での罵倒がなかったから少しだけほっとした。


 嘆きの声が響き渡る観客席から隠れるように武器・防具の返却所に向かうのだった。

あれ? リリアたちの所に戻るにはあの観客席に行く必要があるんだよな。

・・・・・・激しく鬱だ。











 学生から向けられる害意を頑張って無視しつつ、

リリアとカレンの所に戻ると思いがけない再会をした。



 「お前たち、あの学生どもをどうにかしてくれ・・・・・・って、ジャックさん!?

  グレイアさんに、セレンさんも、エルちゃんまで!」


 「やあタツキ君、久しぶりだね。今の試合、見ていたよ」


 「・・・・・・すばらしい身体能力だ」


 「随分たくましくなりましたよ、タツキ」


 「ボウガン使ってくれるって約束は・・・・・・?」


 「みなさん、ご無沙汰していました! おかげさまで元気にやってます!

  ・・・・・・後、そんな約束はしてないぞエルちゃん」


 「えっと、さっさから状況がつかめないんだけど・・・・・・

  タツキは、ジャックさんの知り合いなの?」


 「え? うん、まあ」


 

 確かに知り合いといえば知り合いか。

それにしてもなんでリリアとカレンはそわそわしてるんだ?

そう思いつつ答えると、カレンは興奮したように説明してくる。



 「ジャック・リインと言えば、十年前の主席卒業生で、長い歴史を持つこの魔術学校の

  中でもトップの成績を・・・・・・いたっ」


 「うるさい。あんたの声は響くのよ、近くの学生にバレたら迷惑かけるでしょ」



 リリアが軽くカレンを叩いて止めさせる。

言ってる事は正しいと思うんだが、叩く必要はないと思う。



 「そう言えば、なんでグレイアさんたちはここに?

  ここの学生とパーティを組んでいるんですか?」


 「・・・・・・強いて言えば、観光だ」


 「毎年、この時期はファディア国立魔術学校にくる事にしてるのさ。

  後輩がどういう試合をするのかとか、色々楽しんでるよ」



 グレイアさんの言葉をジャックさんが引き継ぐ。



 「ここにはどのくらい滞在するつもりなんですか?」


 「今のところは、2週間程度滞在する予定だ」


 「あ、それなら時間があったらで良いので剣術を教えてくれませんか?」


 「剣術? 俺の戦い方は大剣での一撃必殺だからな・・・・・・

  どちらかと言えば、セレンの戦い方がお前には向いていると思うぞ」



 グレイアさんはセレンさんに視線を向ける。



 「確かにスピードを活かしての攻撃なら、私の方が適任かもしれませんね。

  どうですか? タツキに時間があるなら少しの間なら稽古をつけてあげますよ」


 「それなら是非お願いします! 独学ではそろそろ限界なので・・・・・・」


 「むー。ボウガンは?」


 「ボウガンは矢を買うのに金がかかるからなあ」


 「ガーン。そんな落とし穴があったとは」



 セレンさんが俺に稽古をつけてくれると言うので、喜んで受ける事にした。

エルちゃんは少し不満なようでボウガンを使わないのかと聞いてきたが、

金がかかると言うとがっかりしたようで、しゅんとなってしまった。

・・・・・・意外と感情表現豊かだよな、この子。


 さっきからリリアとカレンとジャックさんが会話に参加してこないな、と思っていたら

三人で会話していた。リリアとカレンの喜び方を見るに、二人も何か教えてもらえるらしい。


 Bランク以上の冒険者に物を教えてもらえるなんてすごい贅沢な話だなあと思いつつ、

グレイアさんたちと日程の打ち合わせも兼ねた会話を続けるのだった。


質問があるのですが、この小説の他に違う小説を書いてもいいのでしょうか。

更新はこっちを優先しますが・・・・・・

キングダムハーツの13機関を主人公にしたクロス物って、制限に引っ掛かるんだろうか。



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