プロローグ
初投稿です。
ここの数々の素晴らしい小説を読んで自分も書きたいと思いました。
全体の構成や段落わけなど、見にくい点やご都合主義なところが出てくると思います。指摘してくれると助かります。
「さて、やっと帰れるか」
今日は金曜日、高校で寮生活をしている俺にとっては週に一度の帰宅日だ。
とはいっても自宅と高校はけっこう近く寮生活がなぜ許可されたのか謎だ。
普通、自宅通学が困難な学生しか許可されないんじゃないか。
深く考えるのも面倒だし、損をしているわけでもないから別にいいけど。
そんな、どうでもいいようなことばかりを考えながらしばらく歩き続け、帰宅する。
ただいま、と家に呟きながら扉を開け、パソコンのある部屋に直行。
電源をいれてから、自室に行き着替える。久しぶりのネットサーフィンにウキウキする。
面白い小説や動画は見つかるだろうか。
「樹、そろそろ止めなさい!」
「まだだ、まだ終わらんよ!」
「晩御飯は食べないんだね?」
「すみませんでした」
いかん、夢中になって冷静さを失ってしまった。というより両親の帰宅にも気付かなかった。
まあ、流石に晩飯抜きはきつい。時間はまだあるし、待たせるのも悪い。食べよう。
「・・・・・・今週は何か機嫌がいいな、父さん」
「お、分かるか。いやあ、今話題の激辛スパイスが入荷してな、確保してきた」
「自営業ならまだしも、勤めている立場でそれやるってどうよ」
「まあ、金は払ったんだ。そんなこと言わずに食べろ、旨いぞ」
こんな感じの会話をしつつ、家族3人で食事する。やっぱり家にいる方が寮にいるより楽しいな。
パソコンもあるし。何で寮生活することにしたのか、約1年ほど前の俺に聞きたい。
まあ、勢いで決めたんだろう。今でこそ家以外ではクールキャラだが、当時は・・・・・・
父さんが仕事でパソコンを使うというので、少し早いがもう寝ることにした。
明日のネットサーフィンに備え、英気を養っておこう。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
「ペアレントスミー」
「・・・・・・父さん、わかりずらいしおもしろくない」
さて、早速力がぬけてしまったし、早く寝よう・・・・・・
「目覚めよ」
「・・・・・・んぁ?」
何か、よく分からない、音のような声に覚醒させられる。
辺りを見渡すと、名状しがたい色彩の、形容しがたい空間に浮いていた。
突然の出来事に呆然としていると、また声が聞こえてくる。
「ふむ、8次元投射は無理があったか。我を認識することもままならぬようだ」
いきなり、地に足がつく感覚。あわてて、また辺りを見ると光景は一変していた。
真っ暗な空間に浮かぶ輝くステンドグラス、足場になっている白い石盤。
いつの間にか俺はクラシカルな蒼い椅子に腰かけていて、向かいの椅子にはーーー
「・・・・・・父さん?」
「いや、我がここに呼んだ時点で最も記憶の表層にいた
人物を模写しただけで、君の父親ではないよ」
少し、可笑しそうに笑いながらそいつは言う。
まあ、確かに父さんにしてはやけに威厳があるとは思っていたが。
「ここはどこですか? そして、あなたは誰ですか?」
「無理に敬語を使わなくてもいいさ。ここは我が造り出した即席の世界で、
我は・・・・・・君が理解しやすいように言えば、神だ」
神と来たか。冗談、と切って捨てたいところだが、さっきから不思議体験してるしなあ。
こういうときこそ冷静にならなくては。
「その神が、俺に何か用事でも?」
「単刀直入に言おう。君の力が借りたい」
「・・・・・・何故ですか?」
「世界の脅威、と戦ってもらいたいのだ」
「俺以外のもっと正義感の強い人をあたってください」
そんな危険そうなことはできないし、やらない。絶対俺より向いてる人いるだろ。
「君にしか、できないのだよ」
「はぁ・・・・・・?」
「我の力を正しく振るい、かの世界を救えるのは君だけなのだよ」
「かの世界? 地球じゃないのか?」
「グレナス・ビーレという世界だ。君からすれば異世界になるな」
「いや、あんたがやればいいだろ」
「我の存在は世界にとって大き過ぎるのだよ。
ここのような場所でなければ、我は世界を破壊してしまう」
「だからこそ、俺に力を与えて世界を救ってもらおうって?」
「そうだ」
「断ったら、俺はどうなる?」
「別に何もしないさ。ここでの記憶は失ってもらうが」
一応選択権はあるらしい。異世界を救ってくれというとんでもない話だ。
強制されたらどうしようと思ったがとりあえずは安心した。
「断ったとして、その世界はどうなるんだ? 脅威とやらが来るらしいが、
放っておいたら具体的にどんな被害があるんだ」
我ながら、卑怯な質問だと思った。言い方は悪いが、異世界で何があっても俺には関係ない。
まあ、俺にしか助けられないなんて言われてそれでも見てみぬフリは出来ないが。
俺だって自分の身はかわいい。危険な事に首は突っ込みたくないが、
自分の行動が多くの人を救えるなら、少しくらいなら頑張れる。
そんな妥協的な考えからこんな質問をしたのだが、この自称神はとんでもない答えを返してきた。
「まず、その脅威はグレナス・ビーレという『世界そのもの』を自らに取り込み、力を得る。
その後に様々な世界に侵入し、秩序を乱していくだろう」
「様々な世界って・・・・・・地球も入るのか?」
「この世界はグレナス・ビーレから『遠い』。よって可能性は少ないがゼロではない」
「それは、間接的に受け入れる事を強制していないか?」
「強制はしない。さっきは君だけが救える、と言ったが力を与える事自体は誰にでも出来る。
ただ、ありとあらゆる世界の中で君が最もこの力を上手く扱えるというだけだ」
「・・・・・・」
対岸の火事、と言ってもいられないらしい。だが、この返答を受けて俺の答えは決まった。
「引き受ける」
要は世界をどうにかできるような存在と戦え、と言われているのだが不思議と迷いはなかった。
放置すれば地球にも被害があるかもと聞いたからかもしれないが、
それを抜きにしてもやらなければと思った。自分にこんな正義感があるとは思わなかったぞ。
・・・・・・雰囲気に酔ってるのかもしれない。
「・・・・・・ありがとう。君の使命が終わったら必ず元の世界に戻すと約束しよう」
そいつは驚いたような、感動したような表情でそう言った。
「引き受けてもらえてうれしい。早速で悪いが我が力の欠片と『知識』を送らせてもらう」
そう言われると同時に何かが入ってくる感覚。
耐えていると『スキル』や『魔術』の使い方『グレナス・ビーレ』の一般常識等が浮かんでくる。
「闇と破壊、領域操作? あんた、邪神じゃないだろうな」
「闇も破壊も、生命種には必要なものさ。
疲れた生命を癒す夜も、新しき生命のための死も、なくてはならないものだろう?」
「まあ、そう言われれば・・・・・・そういえば俺の世界では、俺はどうなる?」
朝になったら失踪していた、だったら迷惑をかけるんだが・・・・・・
「君を元の世界に戻すときに、時間を設定できる。心配はいらないよ。
後、そう簡単に死なない体にはなっているが、万が一のときはここに引き戻す」
「ありがたいが、縁起でもないことを言わないでくれ」
「すまないな、だができる限り直接話しておきたいことなのだ」
そりゃあ、いくらか安心はしたのだが。
「そろそろ、転送する」
「ああ、わかった」
「脅威が訪れるのは1年から2年ほど後になる。それまでに更なる力を引き出してくれ」
「更なる? ああ、まだ完全には扱えていない、とかか・・・・・・?
あ、ちょっと待った、あんたの名前は?
知ってるかもしれないけど、俺は安藤 樹だ」
「名前、か・・・・・・ムンドゥスとでも呼んでくれ」
「わかった、ムンドゥス。・・・・・・行ってくる」
「ああ、世界を頼む」
そして、俺の意識はグレナス・ビーレに飛んだ。
神の力(欠片って言ってたけど)と、俺の頭脳があれば、どんな脅威も打ち払ってやるぜ!
「グレナス・ビーレが持たんときが来ているのだ!」
・・・・・・こんな変なテンションで、本当に大丈夫か?