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90.最終決戦その2

☆☆☆


...その時、自分の前に別の魔力壁が展開され、すんでのところで攻撃を防いだ。それどころか、徐々に敵の攻撃を押し返している。


「なっ!?」


「これは...?」


2人して驚愕する。そりゃそうだ、あの攻撃を防ぎ、そして押し返すほどの力を持つものが、俺たち以外にいるとは思わなかった。というか、一体だれが...?なぜ、俺の手助けを...?


その答えは、後ろから聞こえた声にあった。


「ここにいたんだね、お兄ちゃん。」


その声は、聴いたことがある声で。


「ユイナ...?」


その姿は、イグニの妹であるユイナで。


「...ううん、違うよ」


そして...


「...ユイナじゃなくて、(ゆい)だよ、おにぃ」


俺の...沢渡文哉の妹だった。


☆☆☆


「え、あ、え...?」


間抜けな声が出てしまった。だって、俺の目に前にいるのは、絶対にここにいるはずのない人物だったから。それは、イグニの妹としても、文哉の妹としても。


「急に言われても呑み込めないよね...私もそうだったし。でも、本当のことなんだよ。」


にっこりとほほ笑む妹。信じがたいけど、その目はあいつに似ていた。そして、あいつは冗談が嫌いだた。だから、これはきっと本当で。


「...っく、さすがにきついね...こんなのとずっと戦ってたんだね、おにぃは...!」


片膝をつき、苦しそうな声を上げる妹。押し返していた攻撃は、ちょうど真ん中あたりで拮抗していた。俺は妹のそばへ行こうとするが、ついさっきの光景がフラッシュバックする。俺が近づいた瞬間、シエルさんとセルクさんが傷ついた、あの光景が。


近づいたら、妹まで傷つけてしまうんじゃないか...そう思い、躊躇してしまう。


「...く、ぅ..!」


じりじりと押されていく。このままじゃジリ貧だ...くそっ!!


「唯!」


俺は近づいて、右手で妹の手を支え、もう片方の手を妹の背中につける。なりふり構ってなどいられなかった。俺の全力の魔力を、妹へ送る。幸い、妹が傷つく様子はなかった。


「おにぃ、無理しちゃ...!!」


「無理してんのはお前もだろ!?一緒に無理して、あいつを倒そう!そうすれば、みんなまた平和に暮らせる!今度はもう一人にしない、ずっと一緒だから...!!」


「...!!」


妹はハッとし、目に涙を浮かべる。けれど、泣くことはせず、キッと敵を睨みつけた。


「はっ、たかが一人増えたところで...!」


「一人増えた?何を勘違いしてる...!」


「私たちは2人じゃない!」


「イグニの思いを!フリートの覚悟を!」


「ユイナの心を!両方の世界の両親の愛を!」


「「この世界に住まうみんなのこれまでを、背負ってるんだよぉぉぉぉぉ!!!!」」


魔力壁は、いつの間にか槍へと姿を変え、敵の攻撃を真正面から貫いていく。押されていたところから、一気に突き進んでいく。槍からこぼれた敵の攻撃が、2人の身をかすった。


「こんな、馬鹿な...!!」


「「いっけぇぇぇぇぇぇ!!!!!」」


俺たちは心から叫ぶ。...そして


「が...はあっ...!!!」


俺たちの攻撃は、ついにブールを貫いた。


☆☆☆

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