88.戦いは続く
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「そうか、馬鹿なやつめ。せっかく生き延びるチャンスをやったというのに...ならば、死ね!!」
ブールはきっと表情を変え、攻撃を仕掛けてきた。俺はそれをぎりぎりでよけ、ブールの顔をけりあげて距離をとる。
「ふん、少しはやるようだな。さすがはわが同胞、この世界の軟弱ものとは違う。」
奴はにやりと笑いながらいう。あの程度ではびくともしないか。というか、ちょっとイラっと来た。
「いいか、俺の力の半分は、イグニものだ。イグニは、この世界の人間に育てられたんだぞ。そんな力に、お前は今出し抜かれたんだ。訂正しやがれこの野郎。」
「ふん、それが?私はあくまで、お前の中の龍の力を評価したに過ぎない。イグニの力など、所詮この地の人間に少し毛が生えた程度だ。ゆえに、私には勝てない。純粋な異世界の生物である私はな!」
そういって、また攻撃を仕掛けてくる。攻撃を防ぐが、衝撃を殺しきれずに吹き飛ばされる。ザァァァッつという石の床を滑る音が、城の中にこだまする。
「へっ、そういう慢心は勝ってからやるこったな!」
こちらも攻撃を仕掛ける。殴って防がれて、殴られてよけて...そんなことを何十回と繰り返した。
「ちっ、すばしっこい奴だな...ではこれならどうだ!」
ブールは体全体に雷をまとい、頭に向けて攻撃してきた。攻撃自体はよけたものの、雷の部分に体が当たり、肩を裂いた。
「ぐっ...そっちがその気なら、こっちだって!」
俺は奴をまねして、体全体に炎をまとう。そのまま攻撃し、奴は先ほど同様に攻撃を防ぐが、当たったところから焼け、大きなやけどを作る。
「っ...ふん、そうではなくては面白くない!」
「ほざけ、ぶっ潰してやる!」
俺とブールの攻防は続く。先ほどとは違い、どちらの攻撃も大きく空を切るようになった。
それが数分、数十分と続き、両者ともに疲れが見え始める。大きく動かないと攻撃を避けられないし、体に纏うのを持続するために魔力も使う。
「はあ...はあ...」
「はあ...はあ...ちっ、こんなに長くなるとは思わなかったぞ...」
「俺もだよ...しぶといなお前...」
俺も奴も疲弊している。俺とブールの力は五分五分、このままだと泥沼化...いやもうすでに泥沼化していた。それと、五分五分というのも若干怪しい。俺は全力だが、こいつまで全力を出しているとは限らないからだ。
「ふう...ではこうしよう。俺とお前で、全力で1発の魔法を打ち合う。もちろん、当たったらすぐさま消滅するほどの力を持った魔法を、だ。打ち勝ったものが勝者となる...そら、シンプルでいいだろ?」
「そう、だな。いいぜ、それに乗ってやるよ。」
泥沼化していた戦いは一度終了し、これより最終決戦へと移るのだった。
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