87.敵と味方
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「この模様、どこかで......?」
そのやけど跡は、なぜか見覚えがあった。それはまるで、龍の紋様のような。知らないはずなのに、見たことないはずなのに。心の中で、何かがざわめいていた。
2人に手を伸ばすと、なぜかそのやけど跡が赤くなった。
「「っ、あああ!」」
「え、あっ」
俺はすぐに手を引っ込める。すると、やけど跡は元のように黒くなった。
「ふん...やはりな」
魔王側近ことブールは、不敵な笑みを浮かべた。
「貴様はあのイグニという男でも、フリートという龍でもないのだったな。だが、その本質は変わらないようだ。」
「いったい、何を...?」
「わからないか?」
ブールはにやりと笑っていった。
「俺とお前は同類、いや同胞なのだよ。」
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「俺とお前が、同胞だと...!?嘘をつけ!俺とお前は違う!お前は魔物を使役し、悪行をなす。俺は...俺のもとになったイグニは、家族のために正義をなした!どこが一緒だと!?」
俺は声を張り上げる。
「一緒だよ、どちらも規格外の化け物だろう?お前は一度も思わなかったのか?なぜお前だけが、我ら魔王軍に真っ向から対峙できたのかと。元勇者でさえ、全く歯が立たなかったのに。」
「それは...」
「簡単な話だ。私もお前も、この世界の住人ではない。別世界から来訪した、魔族なのだ。」
「ま、魔族...?」
唐突な展開に、脳が追いついていかない。
「人間たちが使う魔法と、我々が使う魔術は違う。単純な攻撃ではなく、一種の呪いとしても機能する。そこでくたばってる奴らのように、その魔術を持つものが近づくと、発動するような呪いにもなるのだ。」
「...!」
先ほどの出来事を思い出す。俺が近づくと、あの紋章は光った。それは、俺が...俺の中の龍が、奴の言う魔術をもつことを、いやというほど示していた。
「わかったようだな。しかも、お前はそれだけではない。どうも、さらに別世界から来た魂まで混じっているようだ。」
イグニのことすら見透かされていた。
「いい加減分かっただろ、私とお前は同じものなのだ。...どうだ、手を組まないか?」
「...なんだと?」
「私とお前は同じ、この世界になじむことができない化け物だ。なら、そんな世界は不要だと思わないか?この世界を滅ぼし、我々のようなものが過ごしやすい世界を作るのだ。悪い話ではあるまい?」
笑ながらそういうブール。俺の怒りは頂点に達し、気が付けば奴に突進していた。
「おっと危ない...なぜ拒む?」
「当たり前だ。俺は確かに、もはやイグニでもフリートでもない。お前の言うとおり、お前と同じ化け物なんだろうよ。」
「なら...」
「それでも」
俺は自分に言い聞かせるように、声を大にして言った。
「俺は、イグニの信念を貫き通す。命を懸けて家族を守る。そして、フリートから受け継いだ力は、もう誰かを泣かすために使ったりしない。世界征服なんかのためにつかってたまるか!!」
そういて、俺はブールを睨みつけるのだった。
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