83.圧倒的な力
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そこからは、本当に一方的な、到底戦いとは呼べないものだった。
イフリートが殴りつけ、アブソーが苦しみの声を上げる。反撃しようとするが、その前にイフリートの攻撃が、アブソーにめり込んでいる。イフリートが、殴って、殴って、吹っ飛ばして...傍から見れば、それはもはやいじめのようであった。
「く、そっ...!こ、攻撃さえできれば...あんなやつ!!」
アブソーが地面で悶えていると、近くにイフリートが降り立つ。
「ああいいぞ、攻撃してみろ。俺は防がないでおいてやる。」
「な、なに...?」
「ほらどうした、攻撃が当たればお前が勝てるのだろう?早くしたらどうだ、またとないチャンスだぞ。」
「ふ、ふふ...その油断が命取りになることを、思い知れ!!はああああああっ!!!」
フリートは目いっぱい拳に力をためる。大地が揺れ、森の鳥たちが慌てて離れていく。素人目でもわかるくらい、先ほどまでとは別物の力だった。
「どうだ、これが魔王様の力だ!使う予定はなかったが、やむをえまい...!!」
アブソーは冷や汗をたらしながら言った。どうやら、過ぎた力のせいで、奴の体に相当の負担がかかっているらしい。
「へえ、魔王の力か。で、それは魔王の本気の何パーセントくらいだ?」
「俺は魔王様から今日のために、力の2割...つまり、20%を借り受けた。お前を葬るのには十分すぎる力だがな!!」
得意げな顔で、不敵に笑うアブソー。しかしイフリートは、心底つまらなそうな顔をした。
「へえ、それで20パーか。大したことないんだな、魔王も。」
「...は?大したことないだと!?貴様、ふざけっ...!」
「うるせえ。何でもいいから、早く来い。」
「...ぶっ飛ばす!!!」
アブソーはキレながら、イフリートに殴りかかった。アブソーの拳がイフリートに当たり...
「ぎっ...ぁああああああああ!!!」
アブソーの手が爆ぜた。
「ふん、これでわかったか?お前では俺に勝てはしない。攻撃を当てようとも、避けようとしてもな。」
「きっ...さ、ま...一体何をした!?俺の...俺の手が...!!」
「何もしていない。俺の防御とお前の攻撃がぶつかって、お前の攻撃が負けた。それだけだろ。」
「そ...そんなわけ...!!」
「もういい、いい加減飽きた。」
イフリートはそういうと、アブソーの顔を両手でつかんで持ち上げた。ミシミシという音が、アブソーから聞こえてくる。
「――――!!!」
声にならない悲鳴を上げるアブソー。イフリートは、不敵な笑みを浮かべて言った。
「消え失せろ、ゴミクズ。お前の顔はもう見たくない。」
そういって、イフリートはアブソーの頭をつぶす。簡単に、そして最も残酷に、この戦いに決着をつけるのだった。
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