82.破れぬバリアの正体
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「...なるほど、存外ホラ吹きではないらしいな。 先ほどまでとはまるで違う...貴様、何者だ?」
アブソーが怪訝そうな目で、イグニくんのようなやつを睨みつける。ため息をつきながら、彼は答えた。
「...さあな、俺にもわからんよ。いったい俺は何なんだろうな。」
「は?ふざけているのかお前は?」
「ふざけてなんかいない。本当にわからないんだから、そう答えるしかなかろう?ただ言えるのは、俺はイグニでも、フリートでもない。それ以外の人...ではもうないか。まあ端的に言うなら化け物さ。名前なんぞどうだっていいが、まあイフリートとでもしておくか。」
「フリート...そうか、あれはやつの中の...まあ、もういい。お前に興味はなくなった。どうせ俺に勝てはしないのだからな。イグニであろうと、フリートであろうと、そうでなかろうとな。」
そういって、アブソーは嘲笑する。
「くぁ...っ、ふう、そうかい」
イフリートと名乗った人物は、あくびしながらそういった。
「...バカにしやがって。まあいいさ、ほら殴ってきな。最初は攻撃しないでやるよ。」
アブソーは余裕綽々と言った様子で、自分の胸に手を当てていった。
「へいへい、じゃあ遠慮なく...」
イフリートはコキコキと首を鳴らして、やる気なく突っ込んでいく。いくらイグニくんが強くなろうとも、あの様子では勝てそうにない。だが私も動くことはできない。
もう少しで拳が奴のバリアにはじかれる。そして、イグニくんはまた...私は見てられず、ぎゅっと目を瞑った。
「がっっはぁっ...!!??」
数秒後、そんな声が聞こえた。ああ、やはり...と思ったが、ある違和感に気づく。
今の声は、イグニくんのものではなかった。もちろん、イフリートでも。
シエルさんは気絶してるし、私はここにいる。つまり、この声は...
「ぎっ...き、さまぁ...いっだい、なに、を...ぐうっ」
苦しそうな声とともに、ばたんと倒れるアブソー。つまり、あればイグニくんの...イフリートの攻撃がアブソーに命中したために、アブソーから発せられた声だった。
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「貴様が張っているバリアは、ある一定以上の攻撃を加えることで突破できる。しかし、それはあくまで半分だ。」
イフリートはアブソーに近づきながら言う。
「もう半分は、同時攻撃によるものでないと割れない仕掛けになっている。しかも、ただの同時攻撃ではなく、同等の力を持った者による同時攻撃だ。だからセルクやシエルとの攻撃では破れなかった。」
「うぐぅ...っ。だが、お前は一人で...」
「ふん。俺はイグニとフリートが融合した者。元は一人とはいえ、既に魂は別物だ。つまりはな」
イフリートはアブソーの首根っこを持って持ち上げる。
「俺の攻撃は、イグニとフリートによる同時攻撃なのだよ!!」
「がっ...!!」
イフリートの正拳突きが、アブソーの腹にめり込む。
「...さあ、第2ラウンドをはじめようか?」
イフリートはにやりと笑っていった。
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