79.全力で挑んだ結果
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「ほう、それがお前の本当の力か。なるほど、先ほどまでとは比べ物にならないな。これではほかの四天王がやられたのも、わからないでもない。」
アブソーがくっくっくと笑い、にやりとする。
「しかし、その程度か。やはり俺の敵ではない。俺にダメージを与えることはおろか、バリアを破ることさえできないだろうな。」
「―!!」
俺は赴くままにアブソーへと突進し、吹き飛ばす勢いでぶん殴る。
...だが俺の攻撃は、敵の宣言通りに、バリアによってはじかれた。俺が出せる最大火力だというのに、これでも足りないというのか...!?
「―ぐああああっっ!!」
まだだ...一発では無理でも、何度も打ち込めば破れるかもしれない!そう思って、何度も何度も、繰り返し繰り返し殴り続けた。
しかし、アブソーのバリアは傷一つとしてつかなかった。何度殴り続けたかわからないほど殴り続けたというのに。
「ふはははは!!やはりだめだな!どれだけ力があろうと所詮は人間!俺のバリアの前では手も足も出まい!はっ!!」
「がはっ...!!」
アブソーは高笑いし、俺を魔法で吹き飛ばす。俺は翼を展開し、空中で勢いを殺して静止した。
「ふーっ、ふーっ......」
呼吸を整え、気持ちを落ち着かせる。冷静になれば、まだある程度体を制御できるようだ。
「くそ...なんで破れない...?同時攻撃でもない、高火力攻撃でも通用しない...あのバリアの性質はいったい...」
「無駄無駄。いくら考えたところで、お前には破れねえよ。潔くここで散れ、化け物め。」
「お前ら魔物に化け物言われちゃおしまいだよ」
強がりながらそう返す。実際のところ、使える手札がもうないのが現状だ。今の俺に出せる力のMAXでも破ることができないのだから。
いっそこのままやられて、またあいつが出てくることにかけるか?いや、あいつでもこれが破れるかどうか...
そんなことを考えていると、こころのなかで声がした。
『言っておくが、俺でもあれは無理だ。俺の考えが正しければ、あれは俺やお前で破れるものじゃない。』
「けっ、そうかよ...だとしても、ここで諦めるわけにもいかねえ。2人がケガしてんだ、ぶっ飛ばさないと気が済まない...!!」
『そうか。』
「ああ...ん?待てよ、俺の考え方が正しければって...お前、あれの正体がわかるのか?」
『おおよそ見当はついてる。そして、あれを破る案も...ないわけでは、ない。』
「なっ...ならそれを最初に!」
『言わなかったのは、そんな簡単な話ではないからだ。うまい話には裏があるように、この作戦には相応の...お前に対するデメリットが存在する。それでもやるというなら、話すが。』
「やる、方法を教えろ」
俺は即答する。
『即答か...本当にいいのか?お前にとっては相当の...』
「もとより、既に潰えた命だ。俺はあっちの世界で死んでるんだからな。この命は、神とやらが償いのために与えたものだろうよ。こいつを倒して、魔王を倒して、そのあとに死ぬなら、本望だ。」
『...お前というやつは。』
俺の中の龍は、深くため息をついた。こいつが言いたいことはわかる。俺が死ねば、悲しむ人は一定数いるだろう。だが、おびえて生きるより、一瞬でも輝いて死んだ方が、ずっと俺らしい。
「トロッコ問題ってあるだろ?俺は常思ってたのさ、もう一つ選択肢があるだろうと。”分岐を切り替えるんじゃなく、自分の命を賭してトロッコを止める”っていう選択肢がさ。きっと、今がその時だ。」
そのデメリットが俺の命にかかわることかどうかわからない。けれど、こいつの反応からして、大きく外れてもないだろう。それで世界が救われる可能性があるなら、十分やる価値はある。
俺はこいつの作戦にかけることに―
「おい!さっきからなに独り言言ってんだ!さっさと...!」
「うっせえ黙れ!取り込み中じゃこら!!」
「アッハイ...」
...こほん。改めて、俺はこいつの作戦に乗ることにしたのだった。
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