表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/74

73.魔の神という存在

☆☆☆


「え、ええと...?」


偽イグニくんもといフリートさんの言葉を理解することができず、頭のうえに大量の「?」を浮かべる。セルクさんも同じようで、首をかしげていた。


「...む?」


そんな状況を察してか、フリートさんは頬をかいて一度咳払いをした。


「...私は龍魔の神、フリート。闇を統べ、龍を統べる魔の神である。そして...こいつは、そんな私の生みの親だ。」


どういう結論に達したのか、また同じ説明を繰り返した。


「いやその、聞こえなかったわけではなくて...言葉としては理解してるんだが...」


「む、そうだったのか。だが、これ以上かみ砕いた説明というのもな...事実を述べただけなのだが...」


「事実...」


彼のその言葉を、自分の中で反芻させる。


「そうだ。俺が魔の神であるということも、こいつが生みの親ということもな。」


「いやそこがわからないんだっての!」


「???」


セルクさんが声を荒げるも、フリートさんはまったくもって理解していないようだった。


「一個ずつ片付けましょ。フリートさん、魔の神ってなに?魔王とはなにが違うの?」


「さんはいらん、むず痒い。フリートと呼べ。」


「わかった、フリート。」


「ああ、それでいい。それで、魔王との違いだったな。」


フリートはその場にドカッと座りこむ。


「簡単な話だ。魔王が唯一崇拝する神...いや、神という概念的存在、それが魔の神というものだ。俺はそれが心と体を持った姿と思ってくれればいい。」


「が、概念...?」


「魔王というものは本来、自身が頂点であるという自負を持つために、崇拝するものを持たない。崇拝するより、される側だからな。だが、十数年前のあるとき、その頂点である魔王が神へすがろうとしたことがあった。命の危機か、それとも別の何かか...そのあたりは知らん。そのときに、魔王が人間の神にすがるのはおかしい、という論争が巻き起こった...その果てに、魔の神という概念が作られたのだ。」


十数年前、というワードを聞いて、セルクさんがぴくっと体を振りわせた。


「...それだけで住んでいれば、このようなことにはならなかったのだがな。あろうことか魔王は、魔の神を具現化して自らの配下にしようと画策しだしたのだ。」


「自分で作った魔の神さえ、自身の駒にしようとしたのか...」


「まあ、そういうことだ。」


フリートがふんと鼻で笑いながら言う。


「...ちょっと待って。あなたは魔王が作り出したのよね。」


「ああ、そういっただろう。」


「じゃあさっきの話はどういうことなの?あなた自分で言ってたじゃない、セルク君が生みの親だって。話が矛盾してるわ。」


「ああそうだな、確かに矛盾してる。...()()()()の話ではな。」


フリートは含みのある言い方をした。


☆☆☆


☆☆☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ