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72.偽物の正体

☆☆☆


「あなた、誰なの...イグニくんをどうしたの!?答えなさいよ!」


私は偽イグニくんにそう詰め寄る。...が、ギロリと睨みつけられ、委縮してしまった。イグニくんの姿で睨みつけられると、どうにも胸が苦しくなる。


「ふん、命の恩人に対してその言い草か。人間、お前はいつ、神に指図できる立場になったのだ?」


「神...か。さっきもそんなこと言っていたな。」


セルクさんが一歩進んで言う。


「なあ神様、我々はイグニくんの仲間だ。あなたのことはまあいいとしても、イグニをどうしたのか、あなたがなぜイグニくんそっくりの姿なのか...そのあたりは教えてくれないだろうか。」


「...まあ、いいだろう。」


偽イグニくんはふぅとため息をついた。


「まずは安心させてやろう。この体はコピーでもなんでもなく、こいつそのものだ。」


「...!ということは、イグニくんは生きてるのね!?」


「厳密には死んでいるのだがな...まあ、そう思ってくれて問題ないだろう。魂はまだここにあるからな。」


偽イグニくんは心臓の位置を指さす。


「肉体的には死んでいる、それは間違いない。ただ、それを私が繋ぎとめている状況だ。もうしばらくすれば、ちゃんとこいつとしての自我を取り戻すだろうよ。」


偽イグニくんはぶっきらぼうにそういった。


「そ、そうか...!」


「よかった...本当によかった...!」


私たちはその事実を手放しに喜んだ。


「...ふっ」


そんな私たちを、偽イグニくんは鼻で笑った。


「...何よ、何がおかしいの?」


「いやいや、こいつはここでは愛されているのかと思ってな。前世じゃまともに愛されない人間だったのにな。こいつが何をしたのか、お前らは知っているのか?」


「ああ、昔の話は私たちも聞いてる。それを聞いたうえで、それでも彼の味方でありたいって思ったんだ。」


「そうかいそうかい。それなら私からは何も言うまい。」


偽イグニくんは、やれやれ、と言いたげな表情でそういった。


「...結局、あなたは何者なの?」


ふと気になってそういうと、偽イグニくんはまた私を睨みつけてきた。


「...私のことは聞かないのではなかったのか?」


「ごめんなさい、気になってしまって...」


「...」


偽イグニくんはため息をついた後に、私の目を見ていった。


「私は龍魔の神、フリート。闇を統べ、龍を統べる魔の神である。そして...こいつは、そんな私の生みの親だ。」


それは冗談を一切感じない、いたって真面目な声色だった。けれどその内容は、とても信じられるものではなかった。


☆☆☆

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