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64.逃げ出すことは容易ではない

☆☆☆


「よっと、ほいよ。騎士団長様は無事だぜ。」


「ぶベッ!?」


俺は抱えていた副校長を離した。そのまま床に落下し、顔を打つ。


「ちょっと!なにすん…の…」


「よぉ、よくも仲間の根も葉もない噂を流してくれたなぁ?」


「あ、あなたは…!!」


副校長は額に冷や汗をかいている。俺はさらに詰めようとした…が。


「覚悟は出来て…って危ねぇっ!!」


「きゃっ…!?」


気配を察知して、慌てて副校長を掴んで飛び退く。その瞬間、元いた場所にデカイ雷のようなものが落ちた。


「ちっ、あの状況で避けやがったか。」


その声のする先には、先程高笑いをしていたやつがいた。どうもイライラしているようだ。


「あっぶねぇ…!」


「勝手に連れ去らないでもらっていい?せっかく殺戮を楽しんでたっていうのに、邪魔すんじゃねぇよ。」


「へっ…てめぇの事情なんざ知らねぇよ。まだこいつには死なれちゃ困るんでね。」


副校長の腕を掴み、シエルさんとセルクさんがいる方向へ放る。2人は副校長をガシッと掴んだ。


「えちょ、守ってくれるんじゃないの!?」


「守りながら戦えるかよ。セルクさん、そいつのこと頼んだ!シエルさんは手伝ってくれ!」


「え?あ、うん!」


「なんだ、私はお守りか。わかった、任せておけ。」


そういって、がっしりと副校長の首襟を掴んだと思ったら、そのまま脇に抱えるシエルさん。あー…やっぱし内心キレてたか。そんな気がしてたんだよな。ありゃ相当溜め込んでる感じだぞ。まあ、自業自得だし、ガンバ。


「ちょっと、離してよ!」


「ここで離したら、あんたはたちまち魔物のエサだぞ。それでもいいなら離すがな、どうする?」


「…そのままで」


副校長はその光景を想像したのか、顔を青くして静かになった。それでいい、そのほうが戦いやすいからな。


「そろそろ準備はできたか?なら始めようか!!」


いうが早いか、敵はこちらめがけて突進してきた。体全体に雷をまとい、空気を震わせている。身嵐の雷版といったところか。


身嵐を使って攻撃をよける。攻撃自体は大振りだが、体全体が武器となっている今の状態では、ほぼ隙はないといっていいだろう。近接戦闘メインの俺にとって、戦いにくい相手だ。


いや、戦いにくいというか、戦えないと言い換えてもいい。このままだと俺は攻撃できないし、近づくのも危険だ。だから、俺では攻撃できない。


そう、俺ではな。


「シエルさん、いい?今からいう方向に、魔法で氷の弾を撃って!」


「ええ!?いやでも、私の攻撃じゃあいつには...!」


「いいから!...よし、右に撃って!」


「み、右...えーい、どうにでもなれ!」


そういって撃ち出された氷の弾は、敵...ではなく、俺のほうに飛んでくる。


「えちょ、右って、イグニくんよけっ...!」


「大丈夫!...これでもくらえ!」


俺は身嵐を足に集中して、氷の弾を蹴り飛ばした。超高速のスピードを得た氷の弾は、敵めがけて飛んで、敵のみぞおちにクリーンヒットした。


「ーーーー!!!」


声にならない声を上げる敵。俺は作戦がうまくいったことに、にやりと笑うのだった。


☆☆☆

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