46.悲愴の末の賭け
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「あんたら……」
俺はギリッと歯を鳴らし、2人を睨みつける。
「し、仕方なかったんだ……逆らったら殺すって脅されて……」
「死にかけてたのも演技か?あの涙も演技だったってのか!?えぇ!?」
「あ、あれは演技じゃない!君に会う前に、こいつらに半殺しにされて……ここで殺されたくなければ、隠れ家の宿に発信器をつけて来いって……!」
「発信器……まさかあの箱に……!!」
俺はドア付近に放置されていた救急箱のことを思い出す。中身をきちんと調べていなかったが、おそらくあの中に仕掛けられていたのだろう。そして、中に運び込んでしまったために、ここがバレてしまったのだ。
魔除けが効かなかったのも、渡す前に出会ってたせいか。お人好しがすぎたな、こんちくしょう。
「そうか、そうかよ。いい度胸だな、恩を仇で返すとは。」
「すまない、許してくれ!あそこで従わなかったら、殺されてたんだ!まだ死にたくないんだよぉ!」
「私からもごめんなさい!私のせいで、こんなことになってしまって……!!」
2人が土下座をしながら謝る。俺は色んな感情でぐちゃぐちゃになっていた。
俺があんな奴らを助けたから、助けたいって思ってしまったから。そのせいで、大勢の人を巻き込んで、殺してしまった。一生かかっても償いきれない罪を、俺はまた背負ってしまった。
「全部.....俺のせいだっ.....!!人を信用した、俺が馬鹿だった.....!!!」
ギリッと歯ぎしりをする。体全体に力が、熱がこもる。
「イグニくん、少し落ち着いて!」
「これが落ち着いていられるか!!龍神化.....10%!!!」
俺は力を解放し、一目散に突進した。
.....だが
「おぉ怖い怖い、野蛮な目ですねぇ」
「んなっ.....!?」
俺の攻撃が、いとも容易く受け止められていた。俺は急いで敵から離れる。
にしても、まさか龍神状態の攻撃を簡単に止められるとは。わりと本気で殴ったってのに.....。このままだと、ちょっとまずいな。
「おや、終わりですか?では次はこちらから行きます.....よっ!!」
「っはぁっ.....!?」
敵が飛び上がった瞬間、俺の腹に蹴りが入れられていた。そのまま近くの岩まで吹き飛ばされ、地面に倒れる。
こいつ、早い上に一撃が重い.....!!
「っ、くそ.....!」
「おや、耐えますか。なかなかしぶとそうで何よりですよ。私が戦うと、いつも一瞬でかたがついてしまうのでねぇ。」
敵がポキポキと手を鳴らす。今のは何とか耐えられたが、もう何発か食らったら間違いなく死ぬぞこれ。
「.....こうなりゃ、やるしかない.....!!」
俺は全身に力を込める。今まで1度しか試したことないし、成功した試しは無いが、ここで無駄死によりはマシなはずだ。あわよくば、理性が保ってくれることを祈る.....!
「んん、何をするおつもりで?」
「何って、こうするのさ.....」
全身に巡る魔力が、さらに濃いものになっていく。頬の亀裂がさらに深く、腕にも現れていく。
「あの感じは、力を解放するための.....まさか!?おいやめろイグニ!!」
セルクさんは俺がやろうとしていることに気づいたようで、焦った様子でこちらに手を伸ばす。呼び方まで変わってるあたり、相当焦っているのだろう。
だが、ここまできて止まる俺じゃなかった。そもそも、今現在勝率は絶望的だからな。ここでやらなきゃ、生きて家族に会えない。だから多少の無茶はってやる!!
「..... 龍神化、30%!!」
そう叫んだ瞬間、魔力がグワングワンと全身を駆け巡る。腕や手は完全に龍そのものの風貌になり、体に纏われたオーラは、先程よりも勢いを増す。
過去に1度だけ使い、暴走しかけた形態。この状況を打破すべく、一か八か俺はそれにかけることにしたのだった。
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