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37.新しい街と仲間と

☆☆☆


数時間の徒歩移動の末、移民の街「フォックス」へと着くことが出来た。辺り一面、夕焼け色に染っている。


「や、やっとついた・・・結構遠かったわね・・・」


「ここまで歩いたのは久しぶりだよ・・・」


2人はお疲れのようで、ベンチに腰をかけ、休憩していた。俺も、ここまで歩くのは父さんとの特訓以来だった。


「俺が案内するのはここまでだ。そら、あとは勝手にしろよ。頼めば故郷にも連れてってくれるだろうさ。」


俺はそう言って、2人を置いて宿を歩を進めた。・・・直後、後ろから聞こえてくる2つの足音。俺はため息をついて後ろを振り向いた。


「あのさ、ついてこないでもらっていいですかね。」


「え、なんで?」


「別に構わないだろう、何が問題なんだ?」


キョトンとした顔のシエルさんとセルクさん。


「案内はここまで、あとは勝手にしろって言いましたよね。だから、ついてくる必要なんてないんですよ。そこんとこ分かります?」


「うん、わかってるよ?」


「わかってるならなんで・・・」


「わかった上で、勝手にしてるんじゃないか。」


・・・???


「だから、勝手にしていいんでしょ?だから、私たち勝手に君についていくことにしたの。」


シエルさんが、懇切丁寧に、そして簡潔に説明してくれた。なるほど、そういうことね。・・・って


「・・・はぁっ!?いやいや、なんで!?」


「なんでもなにも、言っただろう。私たちは君のことをまだあまり知らないんだ。人への無関心さの理由も、その力のことも。」


「だからこそ、一緒についていきたいの。旅の中で、きっと今よりも深く知れると思うから。」


「・・・」


2人の目を見る。どうやら真剣なようだ。俺は戸惑い、目を逸らす。


「本気ですか。多分、後悔しますよ。」


「それはないね。私の勘では、ついていかないほうが後悔するって言ってるんだよね。」


「私もそう思う。だからついていくぞ。」


「何の勘ですか・・・」


俺はため息をつき、2人を見据える。


「最終通告だ、やめておけ。前に話したろ、この力は危険なんだよ。下手したら暴走の可能性もある。俺のせいで怪我されたりしたら、気分わりいんだ。だから、来るな。」


ドスを利かせて、そういう。この力も深く知られたくなかったし、できればついてきてほしくなかった。


だが、あろうことか2人は、俺の話を聞くや否や笑い出した。


「な、なにがおかしい!?」


「ごめんごめん。それ、脅しのつもり?全然怖くないよ。」


「んなっ!?」


「だってなあ君、目が優しすぎるし。」


「言葉だけ強くしても、ねえ?」


ぐぐ・・・こいつら・・・。


「それにね、怪我するのなんて織り込み済みだよ。魔王を倒す旅路なんだよ?そりゃ死ぬ思いだってかぞえきれないほど体験するでしょ。それが魔物の攻撃か、君の暴走かなんて、変わらないよ。」


「一人きりの状態で暴走するほうが危険だろう。君を止めるのは、私たちの役目だ。」


「おま、えら・・・」


俺は言葉を失う。断らなきゃ、と頭ではわかっていても、言葉が出なかった。悩んだ末、俺は沈黙に耐えかねた。


「・・・ああもう、勝手にしろ勝手に!俺は知らんからな!!」


「!うん、勝手にするよ!」


「ああ、勝手にしよう。」


俺は前を向き直り、ずかずかと歩く。こうしてここに、俺とシエルさん、セルクさんの3人パーティが誕生した。


「あ、ついでにお願いがあるのだが、私に対する言葉遣いを、さっきみたいに荒くしてくれると助かる。なんか・・・そのほうが、その、いい。」


「「ええ・・・」」


素でドン引きする俺とシエルさんなのだった。


☆☆☆

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