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24.半端に力を持つ者は

☆☆☆


「よっと。ありがとうグリフォン!」


地上よりも3メートルほど上空で、俺はグリフォンから降り立った。そのままグリフォンはどこかへと飛んでいく。魔物と一緒にいるところを見つかると、色々と厄介だからな。


俺が実技場に足を向けたと同時に、実技場の扉が開いた。奇しくも扉より少し前にいた俺は、出ていくヤツらと鉢合わせすることになった。


「あれ?君外にいたの?さっきまで中にいなかったっけ?」


「い、いやぁ?俺は外にいたよ?」


「ふーん・・・?」


な、なんか怪しまれてるな。とりあえず勢いで押し切ろう。


「それで、君たちは戦いに行くの?魔王軍と。」


「あぁ、今の俺たちの力があれば、魔物なんて軽くひねれるさ。俺たちの力で鼻の穴をあかせてやるぜ!」


「もう止めたって無駄だからな、俺たちの意思は固いんだ。もちろんお前も行くだろ?1人でも多くの人を救わないとな!」


そんなことを言いながら、イキがる同級生。悪ふざけとかじゃなく、本気で言ってるから、尚更タチが悪い。俺はその馬鹿さ加減に、心の中で苦笑する。


「頑張ってね、それじゃ」


そういって、隣をとおり過ぎようとして、肩を掴まれた。先程俺との戦闘で負けたやつだった。


「おいおい、なんの冗談だよ?あぁそうか、お前はこの学校に来たばっかりだもんな。実戦にビビっちまったか。」


ニヤニヤと笑いながら、そういう。負けた腹いせだろうか、俺をバカにするかのように指さしてきた。


「こいつ、魔物との戦いから逃げようとしてるぜ!ビビっちまったんだってよ!」


クラスのみんなが笑っていた。ふいに、前世に受けたいじめが脳内にチラつく。


「そ、そうなんだよ。いざ魔物と実戦ってなると、ちょっと怖くてね・・・みんなが戦うのは止めないよ、僕の分まで頑張って。」


「おい、本当に行かないつもりか?それでも戦士か、腰抜けが!」


そのせいだろうか、勢いで口が滑ってしまった。


「勇気と無謀は違う、死にたいやつは勝手に死ねばいい。」


「・・・は?」


言い終わってからハッとしたが、もう遅い。皆が俺を見てくる。俺はため息をついて、作り笑顔を辞めた。


「はぁ・・・だから、死にたいやつは勝手に行けって言ったんだよ。自分の実力も測れない大馬鹿どもめ。」


「て、てめぇ調子に乗ってんじゃねぇぞ!俺たちが負けるとか思ってんのか!?」


「あぁ死ぬね、間違いなく。戦場でそんな思い上がりをしてるようならな。今来てる魔物は、少なくともお前らじゃ到底敵わないだろうから。」


「んだとてめぇ!!」


掴みかかってこようとした奴を避ける。


「おいおい、こんなことしてていいのか?行くならさっさと行けよ、英雄さん。」


「っ・・・言われなくても!おい行くぞみんな!こんなやつ放っておけ!」


その合図で、俺を除く生徒全員が、俺の横を走って過ぎ去っていった。シエルさんも、俺をちらりとみて横を通り過ぎて行った。


「・・・忠告はしたからな、勝手にしろ。」


溜息をつきながら実技場に入ると、セルクさんと兵の姿があった。


「あ、イグニくん・・・君は戻ってきたんだね。」


「セルクさん、なんでアイツらを止めなかったんですか。」


「止めたよ、もちろん。でも、誰一人として聞かなかった。それに・・・その」


「まさか、あいつらの実力があれば、そこそこ戦えるだろうって思ったんですか?もしそうなら、先生失格ですよ。」


俺がそう言うと、セルクさんは目を見開いた。だがすぐに目を伏せ、俯いた。


「よくわかったね、その通りだよ。彼らも言っていたが、実戦に近い方式で半年教えていた。もうそろそろ魔物と戦ってもいい頃合いだと思っていたし・・・」


「どんな理由があろうと、あなたは教師として、絶対に止めなきゃいけなかったんだ。それに今回に関しては・・・あいつら、全員死にますよ。」


「しっ・・・!?ど、どういうことだい!?」


「さっきここに攻めてくる魔王軍を確認してきました。攻めてきてるのは、この辺りの魔物じゃない。一個体それぞれが、強いやつばかりだ。」


「なっ!?そんな報告は受けて・・・!」


「無いでしょうね、遠くから見ただけじゃ、そこまで分からないでしょうから。さらに問題は、それを引き連れている魔王軍側の主将です。」


「し、主将?いったいどんな・・・」


「これは、相手から感じ取った力を元にした推測ですが・・・」


俺は、セルクさんを真っ直ぐ見て言った。


「あれは、幹部クラスです。おそらくは、魔王直属の四天王に匹敵するか、もしくは四天王その人かと。」


☆☆☆

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