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21.行動理由

☆☆☆


「何故です!?あなたは勇者パーティの、リュークの子でしょう!?なぜ人類のために戦わないのですか!!勇者は全人類の平和のために、全てを投げうって戦い抜いたんですよ!!」


「えぇ、それが?そのご立派な勇者様と、ただの子供の俺に、なんの関係があるんです?親が勇者と共に、人類のために命張って戦ったからって、俺もそうする必要がどこにあるんです?」


「勇者がどれだけみんなのことを思っているか、知らないからそんなことが言えるのよ!!あんたみたいな奴がいるから、世界は救われないのよ!!」


若干ヒステリック気味にそういう副校長。愛する勇者様を否定されたように聞こえたための発言だろうが、それはちょっと押し付けがましいな。


言い返す前に、校長が先に口を開いていた。


「やめるんだ、サラ。そういう言い方は良くない。」


「勇者、でも・・・!」


「彼は魔王討伐を目指してくれている。それは俺たちの目的にも沿ってるし、尊重すべきだ。」


さすがは勇者様、言うことが違うね。少しキザっぽいというか、利他主義気味だけど。


「君が戦う理由はわかった。家族のために戦う、大いに結構だとも。だがわからないな、どうして人類のために戦うことを嫌うんだい?」


「・・・それは」


俺は口をつむんだ。話したところで、こういうお人好しには理解などされないだろうからな。まぁ、理解されたい訳でもなし、特段話す意味は無いと思ったからだ。


「母親が魔物だからか?確かに魔王討伐後も、人間は魔物を迫害し続けた。だがそれは、人間は魔物を恐れているからだ。魔物は人を襲うからな。俺が旅してた時もそうだったし、現にその状況が各地で起きている。」


校長は的はずれな見解を示した。勇者の言うことは正しいのだろうが、それは俺の理由ではない。訂正しようとしたところに、副校長が声を上げた。


「やっぱり魔物は滅ぼすべきね。リュークがあれを庇った時は心底驚いたわ。彼だって故郷を魔物に襲われてるのに、あろうことか、魔王直属の四天王の子供を庇うなんて。そして生まれたのが人間を守ろうとしないようなやつなんて・・・世も末ね。」


・・・あ?


「サラ、言い過ぎだよ。あの子は人間を襲わなかったし、君だって最後に認めたじゃないか。」


「あれは認めなきゃいけない感じだったからそうしただけで、私はずっと反対だったのよ。魔物なんて酷いやつらばかりで、みんなクズ─」


その瞬間、俺は無意識に副校長に向け、ナイフを投げつけていた。首から数センチズレた窓の木枠に、ナイフが突き刺さる。


「え・・・?」


「俺のことはどう言おうが構わない。だが、家族を侮辱するなら、話は別だ。相手が人間だろうが、魔物だろうが、魔王だろうが・・・容赦なく殺す。」


そう言いながら、身嵐で刺さったナイフに近づき、それをを引き抜いて副校長につきつける。


「ひっ・・・!?」


「俺の家族にあんなことを言って、タダで済むと思うなよ。謝罪は受けない、死を持って償ってもらおう。」


副校長は腰が抜けたのか、その場に座り込んだ。俺はナイフを掲げ、切りつけようとしたところに、勇者が待ったをかけた。


「そこまでだ、そのナイフをおろせ。これ以上妻になにかするようなら、この場で切り伏せる。」


校長はそう言いつつ、腰の剣に手を当てていた。どうやら脅しのつもりらしい。俺は横目で校長を捉え、ナイフをしまって校長室から出ていく・・・前に。俺は振り向き、2人に対して言い放った。


「俺のことが気に食わないなら、退学にでもするといいさ。だがそっちがその気なら、こちらにも考えがある。まぁ、どうせ何も出来やしないでしょうが。」


「挑発のつもりかい?俺は怒ると我を忘れるタイプでな。あまり俺を舐めないことだ。」


剣に手を当てながら、勇者はそういう。俺は鼻で笑いながらいった。


「ならまず、その殺気が全くない脅しを辞めたらどうです?本当に怒ってるなら、俺を殺す素振りのひとつでも見せろよ。」


「っ・・・!」


図星だった校長は、苦虫を噛み潰したような顔をした。


「俺はあんたらの敵でも味方でもない、今のところはな。敵となれば、誰であれ容赦はしない。それでは、失礼します。」


俺は丁寧にお辞儀をして、その場を後にした。


☆☆☆

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