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16.彼に合う武器

☆☆☆


「セルク、そいつが例の?」


「あぁ、イグニ君だ。」


クルセントと呼ばれたその男は、俺を頭の先から足の先までみてきた。


「あ、あの・・・」


「うむ、若い割にはいい体つきしてるな。リュークのやつ、子供が出来たら最強になれるよう鍛えると言っていたが・・・有言実行したらしい。」


「父さんを知ってるんですね。最強、とは言えないですけど、それなりに努力はしてました。父さんの足元にも及ばないですが・・・。」


「ふむ、そうか。焦ることは無い、これからいくらでも強くなれるさ。」


クルセントさんはガハハと笑いながらそういう。そして、後ろから木箱を取りだしてカウンターに置いた。


「ほれ、初心者用の武器だ。坊主、メイン武器は何にする?父親とおなじ弓か?」


「あ、いえ短剣を。」


「短剣?そりゃまたマイナーなもんを使うな。」


クルセントさんは少し驚いたように言った。


「マイナー?そうなんですか?」


「あぁ。リーチが短いし、他の武器より威力ものりにくい。携帯しやすい、スピードが出せるっていう利点はあるが、メインにしてる奴は珍しいぞ。」


「へぇ、そうなんですね。僕はスピード特化の戦術なので、短剣があってるんです。」


「そうか。短剣は・・・このボックスにはないか。そこに置いてあるやつから、これってやつを選んでみな。」


クルセントさんは、壁際に置かれた箱のひとつを指さす。近づくと、何本かの短剣が入っていた。デザインが凝っているもの、シンプルなもの、明らかに高級そうなもの・・・色々あったが、そのうちの1本に目を引かれた。


手を伸ばし、短剣を手にする。他のものと違い、刃が半透明になっている。まるで水晶のような、そんな感じだった。


「ほう、そいつを手に取るか。」


「綺麗ですね、これ。ちょっと高そうですけど、軽いし使いやすそうです。」


「そりゃよかった。そこのやつは全部試作品でな。商品にできない廃棄品だからタダでいいぜ、持っていきな。」


「えっ!?いやいや、さすがにそういう訳には」


「いいんだよ。その代わり、うちの店をぜひご贔屓にな。」


クルセントさんは、笑顔で親指を立てていった。この人はいい人だ、目を見ても嘘ついてる感じしないし。


「は、はい!絶対また来ます!」


俺も笑顔でそう返し、ワクワクしながら店を出た。いい武器も手に入れ、ますます学校生活が楽しみになるのだった。


☆☆☆


「・・・クルセント、本当はいくらなんだアレ。」


「いったろ、試作品だって。本当にタダだよ・・・正規品ならあんたの月給くらいだがな。」


「げっ・・・!?」


☆☆☆

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