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15.お騒がせ入国

☆☆☆


王国に入るための門の前。前回の失敗が脳裏によぎるが、邪念を振り払うように首を横に振る。今度は大丈夫、ちゃんと最新の入国許可章だって持ってる。それに、前と違って学校の制服を身にまとってるんだ。何も問題ない、堂々と入ってやろう!


そんなことを考えながら、得意げにカードを端末へかざす・・・が。


『ビーッ!!ビーッ!!』


かざした瞬間、大きめのアラート音が端末から鳴り響いた。すかさず、門番がすっ飛んでくる。ま、また厄介な方向に・・・!?なんでこうなるんだ!?


「貴様いったい・・・って、あなたは!」


「え?あ、あの時の門番さん!」


俺の元にやってきたのは、あの日俺を止めた門番の1人だった。今日の門番係は彼だったのか・・・助かった。


「あのときはどうも。その制服、学校に合格したんですね!おめでとうございます!」


「あ、ありがとうございます。それであの、これはいったいなんです?」


依然アラートが鳴りっぱなしの端末を指さし、門番に聞いた。


「これは、特定のカードがかざされた時になるアラートですね。例えば入国禁止となった人や、指名手配になった人とか。」


その説明を聞いて、俺は冷や汗をかいた。つまり俺、この国には入れないのでは!?


「ぼ、僕入国禁止ですか!?」


我ながらすごい剣幕で門番に迫るが、当の門番は笑いながらこう返した。


「はは、まさか。これはあなたを見つけるための措置ですよ。」


「僕を見つけるため?どういうことですか?」


言ってる意味がわからず、きょとんとしながら聞き返した。


「貴方が来たら、騎士団長様を呼ぶように言われてるんですよ。あの人、あなたの学校への案内役を買ってでたらしいです。」


「そ、そうだったんですか。よかった、ちゃんと入国できるんですね。」


「驚かせてしまってすみません、今騎士団長様を呼びますから。」


そういうと、門番は待機所に備え付けられた機械をなにやら弄り、騎士団長・・・セルクさんに連絡をとった。数分後、走りながらこちらへとすっ飛んでくる人影が見える。


「はぁ、はぁ・・・い、イグニ君!」


「ど、どうもセルクさん。数日ぶりですね。」


「いやぁ、受かってよかったよ!君の顔がくらいままだったから、落ちてたらどうしようかと・・・。おっとこうしちゃいられない、早速学校へ案内するよ。といっても、途中まではこの前と一緒だけどね。」


「セルクさんと一緒とは、とても頼もしいです。よろしくお願いします!」


「はは、よしてくれ。じゃあ行こうか。」


俺はセルクさんに連れられ、学校へと向かうのだった。


☆☆☆


学校へ向かう道中、セルクさんがふと、足を止める。


「セルクさん?どうしたんですか?」


「いやなに、君に入学祝いをと思ってね。個人的な詫びも含めて、どうだい?」


セルクさんが、ひとつの店を親指で指さしていった。そこは、少しふるびた建物。看板には、「武具防具の専門 クルセント商店」という文字が。


「武具防具のお店・・・って、まさか」


「そう、君には武器をプレゼントしてあげようって思ってね。学校の生徒には、入学時に武器が支給されるんだけど、君は編入だからそれがないんだ。その代わり、こっちから提供させてもらいたいのさ。」


「有難いですけど、こういうのってそこそこするんじゃあ・・・」


恐る恐る聞くと、セルクさんは笑って中に入って行ってしまった。後を追うように、慌てて店の中に入る。


外からの印象通り、中も少しふるびている。老舗ってほどでは無いが、そこそこ年季が入っていそうだ。


「クルセント、連れてきたぞ!」


セルクさんがそう言うと、お店の奥から、体が大きめで強面の男が出てくるのだった。


☆☆☆

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