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14.試験の結果は

☆☆☆


「はぁ・・・」


国を出る門へと向かう途中、俺は大きなため息をついた。ため息の理由は言わずもがな、試験結果が散々だったためだ。


「まぁその、なんだ。まだ希望が無いわけじゃないんだろう?筆記はそこそこ、剣術の実技はゴーレム停止で満点確定。ならまだなんとかなるんじゃないか?」


隣を歩くセルクさんが、俺の方に手を置いて言う。


「でも、魔法実技は0点ですからね。本当にギリギリだと思いますよ、合格できるか出来ないか・・・」


俺はまたため息をつく。


「すぎたことは仕方ない、ダメなら編入は諦めて、半年後の入学試験に期待するしかないな。」


「ダメなら留年かぁ・・・」


セルクさんと話をしながら歩いていると、いつの間にか門に着いていた。出ようとしたところで、セルクさんに引き止められる。


「渡すのを忘れていた。君の入国許可章だ、次に入国する時はこれを使ってくれ。」


「あ、ありがとうございます。」


「合格してるといいな。それじゃあ、リュークにもよろしく。」


「はいまた、お元気で。」


俺は森に向かって歩く。誰からの視線も感じなくなったところで、グリフォンを呼んだ。カバンの中から、ベルも出てくる。


「お待たせ、帰ろっか。」


「グアッ!」


「ガウゥ!」


俺とベルはグリフォンに乗り、大空へと飛び上がるのだった。


☆☆☆


・・・数日後、学校から通知が送られてきた。恐る恐る、手紙を開ける。両親と妹が見守る中、手紙に書かれた文字を読み上げた。


「試験の結果・・・貴殿は本学校の生徒として『合格』したことをお知らせします・・・!!」


この数日間、受かるかどうかでずっとそわそわしていた。どうなる事かと思ったが、合格の2文字が俺に安心感を与えた。


「やったじゃないイグニ!合格だってよ!」


目をきらきらさせて、自分の事のように喜ぶ母さん。


「いやぁよかった、帰ってきた時絶望した顔してたから、どうなる事かと思ったが。」


「それはお父さんが遠距離型魔法を教えてなかったせいでしょ。」


妹が正論をかまし、父は冷や汗をかいて目を逸らした。俺は苦笑いし、ユイナの頭を撫でる。


「あんまりお父さんを責めないでくれよ、教えて貰っても使えたか分からないし。俺はこの戦い方が性に合ってると思うからさ。」


「お兄ちゃん・・・」


「ま、まぁなんだ。とりあえず、受かってよかったよ。おめでとうイグニ、入学の準備をしなくちゃな!」


「うん!」


俺は元気よく返事をした。


☆☆☆


後日送られてきた制服を身にまとい、セルクさんからもらった入国許可章をポケットにしのばせる。数日前とはまた違った緊張感に包まれていた。


「今日から学校か・・・」


俺はぐっと拳を握りしめ、気合を入れる。


魔王討伐のため、学校へ行ってパーティメンバーを集う。そして仲間たちと共に、魔王を討伐する。そしてまた、家族と幸せに暮らす。これが、俺が学校へ行く理由。


まぁ、魔王討伐に関しては2の次だ。全ては家族の安寧のため。それが俺の信念であり、信条だ。それは決して変わらない。


と、決意を新たにしたところで、袖をクイクイっと引っ張られた。既視感を覚えつつ、その方向を振り返る。先にいたのは、やはり妹であるユイナだった。


「どうしたユイナ、もしかして、お兄ちゃんと離れるのが寂しいのか?可愛いじゃないかこの~」


からかうようにして、優しく頭を撫でる。


「うん。寂しいから、もっと撫でて。」


「へ?お、おう。」


まさか肯定されるとは思わず、少しびっくりしたが、とりあえず要望通り、撫で続けた。数分にわたり撫で続け、何時までやれば良いのか聞こうとしたところで、ユイナから俺の手を離れた。


「ん、もう大丈夫。頑張って、お兄ちゃん。」


「あぁ。ユイナも元気でな。」


俺はユイナに背を向け、玄関前で止まった。


「・・・いってきます!」


俺は背中を見守る3人に、笑顔でそういう。外へと走り出し、あの人同じように飛び出して、口笛を吹いた。


グリフォンとベルがやってくる。グリフォンが俺の腕を足でつかみ、背中に乗せた。


「さぁ、出発だー!」


☆☆☆


「・・・死なないでね、お兄ちゃん。もう、おわかれは二度とごめんだから。」


☆☆☆

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