三話穢れた血
祠から森の中に出ると鳥のさえずりが聞こえてきた。
「とりあえずどうするか?」
森を出て町に行きたいな…今の人間がどうなっているか気になる。俺がいたころは、みんな堕ちた神々、邪神に怯えてたもんな。そんな世界じゃなくて平和になってると良いが。
適当に歩いてみるか。
キンッ
なんだ?金属と金属がぶつかる音がしたな。
キンッキンッ!
これは、剣と剣が交わる音だな!
近くに人がいるってことか…!
どこだ!あたりを見渡すとそこには白髪の少女が、何やら兵士の様なものたちと戦っていた。
ふむ、見た感じ何やら訳ありの様だな。
普通蛮族でもない兵士のが少女を狙うなど無いからな…
とはいえ、何もせずと言う訳にもいかんだろう。
「やあやあ、そこの少女ちゃんと…兵隊さん?ちょっとお話でも?」
驚いた様な眼をした少女と兵隊達。
「貴様は誰だ!」
そんな剣幕で言われると、萎えるなー
「いや〜ちょっとね。流石に大の大人が少女囲って襲うのはどうかと思うのだが…?」
それもそうだろう。こんな大人が少女相手に剣を向けているのだ。一応止めた方がいいだろう。
「邪魔するなら貴様もッ」
『眠れ』
バタンッ
こえをかけて来た兵士が倒れた。単純にこれは眠りの呪文で眠らしただけだ。
「貴様!なにをした!此奴を斬れ!」
あーやばい怒らしちゃったか…じゃあさっさと片付けないとな。
『眠れ』
今度は対象を全員に変えて魔法を放つ。
バタンと全員がその場に倒れ込む。
よし、成功だ。魔法の腕は鈍ってない様だな。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。ありがとう」
なるほど、ちょっと口下手な感じがするな。
そんな事は気にせず一つ少女なら問いかけたいことがある。
「なぜ、兵士らに追われていたんだ?」
返答次第では兵士のに身柄を預ける事もしなくてはいけない。万が一悪人だった場合は野放しには出来ないのだ。
「私が穢れた血だから…」
穢れた血?なんだそれは?
なんとなく差別されているのだろうとは思うが…
「すまない、穢れた血ってなんだ?」
「知らないの?」
ああ、知らん。俺の時代には聞かなかった言葉だ。
「ごめんなさい。私、半分神の血が入ってるのだから穢れてるの」
神の血。なる程この子は神の血統、その子孫か。
だが何故それが穢れた血などと言われているのだ。むしろ崇拝の対象になるぐらいだと思うが…
「なぜ神の血だから穢れた血と呼ばれるんだ?それはおかしいだろ。」
少女ちゃんは少々驚いた様に大きく眼を見開いた。
「差別しないんですか…?」
「なぜだ。する理由がないだろ」
ウッウッ…
なんか泣き出したのだが…少女ちゃんの目には涙が浮かんでいた。なんか悪いことしたか⁉︎俺⁉︎
「ごめんなさい、そんな事言ってくれる人居なくて…いつも皆んなからひどいこと言われて…」
どうやら、迫害されていた様だな。
ここは暖かい言葉でも掛けておこう。
中腰になり少女ちゃんの目を見て言葉を話す。
「安心しろ。別にお前さんは穢れてなんていない。大丈夫だ」
「ありがとう、ありがとうございます…」
ありゃもっと泣き出してしまった。こう言う時はどうしたらいいんだか…
「そうだ、少女ちゃんはこれからどうするんだ?」
「これ…からですか?どこにも行く宛なんて…」
ならちょうどいい。街までの案内人が欲しかったのだ。ちょっとここは助けてあげたお礼にと言うことで…案内してもらおう。
「なら、街まで案内してくれないか?この森から出たくてな」
少し、嫌そうな顔をされたが、何故?
「街に行ったら追ってが…」
なる程、それで行きたくないのだな…ならこれでどうだろう。
「ちょっといいかい」
『変身』
魔法を少女ちゃんにかける。
それと同時に『収納』の魔法から鏡を取り出す。
「すごい…何も無いところから鏡が…そんな魔法見たことない」
「これで自分の姿を見てくれ」
鏡を渡す。
「!」
少女ちゃんの白髪が黒く染まり、顔つきも元の美しさい赤い目から黒い瞳に変わっていた。
「これならバレないと思うが…」
「すごいです!ありがとうございます!」
喜んで貰えている。こちらは鼻が高くなりそうだ。
とりあえずこれなら街に出ても問題ないだろう。
ならさっそく案内をしてもらおう。
「じゃあ街まで案内してくれないか?」
「はい、任された‼︎」
少し笑顔になった。
こっちの方がいいな。
そんな事を思いながら街へ向けて二人は歩き出した。