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朝、俺は学校に登校してきて、席に着く。
友達と駄弁っていると、
あれ、今日こんぶのやつ遅くね。
高校の時からの友達の武金 力がまだ登校してきてないのに気づく。
いつもだったらこの時間にはいるのに、どうしたんだ?
HRが始まっても来ていなかった。ただ今日は休みなんだろうと思っていた。
HRが終わり、1人の女の子が教室のドアから顔を出す。
そして、俺の方に近づいてくる。
「ねぇ君、今日はお友達はお休みなの?」
彼女は、不道 翠。俺の好きな人だ。最近こんぶのやつによく話しかけている女の子だ。
「こんぶのやつ?多分休みだと思います」
「へぇ〜あの人こんぶくんって言うんだ」
「あっ違うよ。あいつは武金 力、ぶこんだからこんぶって俺は読んでるだけだよ」
「へぇ〜そうなんだ、ありがとう」
よかった、今日は普通に喋れてる。てか、翠さんこんぶの名前知らなかったのか?
「ありがとう、じゃあね」
と翠さんは戻って行った。
最近何でこんぶに喋りかけ始めたんだろう?
そんな事を考えていると、一時間目がはじまった。
それが起こったのは、三時間目が始まってすぐだった。
静寂を纏い始めた学校に、一つの物音が響く。
タッタッタッタタタタン
タッタッタッタタタタン
おもちゃの太鼓の音が廊下にひびきだす。
その不審さに気づいたのは俺だけではなく、教室の中にいる人全員がきづいていた。
止まる授業 響き続ける太鼓
教室のドアに向かう先生
ガラッと聞こえた瞬間
先生の手足は脱力する。
「きゃー」
一番近くにいたやぼったい髪の重そうなメガネをつけた女の子は悲鳴を出す。
クラスはより息をとめる。
そこで、チャイムの音が聞こえる
キンコンカンコン
「あーマイクテスマイステス
こんにちは、初めまして私は今この学校を占拠しました」
俺は意味がわからなかった。多分俺だけじゃないというのも確信はした。
「えーと、ゲームを始めます。楽しい楽しい鬼ごっこだよ。だけど、鬼はおもちゃの兵隊さんだよ。怖がらないでいいよ。
制限時間は4時間、1時間に1回15分の休憩を挟みます。大丈夫、多分一瞬で終わるから」
そこで、俺はこの声が男の声なのに気づいた。
これはいわゆるテロって事なんだろうか。
ただ、逃げなきゃいけないというのはなんとなくわかる、が足が動こうとしなかった。
クラスメイトの悲鳴が上げる。みんな学校のスピーカーに顔を向けていた、だから気づかなかった。僕たちに危機が迫っている事に。
悲鳴が聞こえた方を見ると、ドアの近くにいた女の子の目の前には一つの兵隊のおもちゃがいた。その兵隊は、男子の平均身長より少し大きいぐらいで前に太鼓を持っていた。
その兵隊はバチの先端が頭の上より少し高い所に持っていっていた。
そして、次の瞬間女の子の頭はなくその周りは七味をぶちまけた様だった。
多種多様な悲鳴が聞こえ、俺はずっと動けなかった。
みんなは一斉に教室の外へ逃げ駆け出す中動けなかった。
1人残った教室、標的にならないわけがなかった。
逃げないのがわかってかゆっくりとした足取りで兵隊は近づいてくる。
俺はゴルフクラブに打たれるのを待つボールの様な気分に陥った。
嫌だ 死にたくない死にたくない ここで終わるのか
嫌だ 何で死ぬのか 何で 何でなんで
助けて誰か
バチの先端の影が下から上に近づく。
終わった
その刹那手を引っ張られる感覚が心を置き去りにしながらかんじる。
心が追いついた所で生きているのに気づいた俺は
「誰が助けてくれたんだ?」
そう思った僕は手の熱が感じる方を見る。
そこに不道 翠がいた。
俺を助けてくれたのはこの子だった、俺の好きな子に助けられた。不甲斐ない カッコ悪いと思ったら急に顔は熱くなっていっていた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
軽い礼儀を通した。そこで思い出す。
まだ、ちゃんと助かってはいない。
兵隊のおもちゃはこっちに顔を向ける。
「行こう」
彼女が言った。
手を引かれながら教室から出る。
そのまま、下へ下へと下った。
正面玄関に着くと
「出して」「開けて」「助けて」
多種多様な悲鳴が聞こえてきた。
どうやらドアが開かないらしく、生徒たちはドアを叩き続けている。壊れるじゃないかと思う勢いで叩いていたが、一向に壊れる様子がなく生徒達の戸惑いは加速し続けている。
不安な空気は伝染を続けていた。
俺と彼女は廊下を見通せる所で手を繋いで立っていた。
前方の恐怖の音で彼らは気づいていなかったが、まだ遠くからだが太鼓の音が左右から微かに聞こえている。
「来て」
彼女が手を引いて階段を登り始める。
グイグイと登っていきトイレの個室で2人きりになった。
長い長い時間が経っていた。
「1時間が経ちました。まだ生き残ってら人いますか?これより少し休憩と後片付けをしたいと思います。じゃあねー」
その放送から外から聞こえてきていた太鼓の音は止み、二人で一緒に外に出た。
出た先では、真っ赤な廊下を掃除する兵隊 死体をどこかに持っていく兵隊がいた。異様な光景に2人で立ち止まってしまう。すると、後ろに兵隊がいてその兵隊はそのまま俺たちの横を通り過ぎていった。
「なぁ終わったのかな?」
「いや、休憩って言っていたからまだじゃない」
隣に好きな人がいるのに、ある意味のドキドキしかしなかった。少し時間が経って下から外に助けを求める声が響き始めていた。
無駄な事を知っている俺たちは
「とりあえず今はどこか隠れられる所探さないか?」
「うん、その方がいいかも知れないね」
「この階から探してみるか?」
「そうだね」
2人が隠れられる場所を探し歩き始める。
ふと気になった事を聞いてみる事にした。
「ねぇなんで助けてくれたんだ?」
「それは、、、」
少し考えてる様だった。
「助けたいと思ったから?」
そんな事を言う。俺は内心可愛いと思いながら
「ありがとう」
また感謝を言う事にした。
この階では、さっき隠れていた所しかなかった。
上へ上へと上がって探してみた。
最上階の4階奥にいつも授業以外で好んで来ようとしない所に視聴覚室があり、そこの前の方先生が立つ所の奥に掃除用具入れがあり大人が2人入れるほどのスペースがあった。
「ここいいんじゃないか?」
「そうだね、少し狭いかもだけど」
「そんな事言ってる場合じゃないと思う。多分もう時間が」
ピンポーンパンポーン
「生き残ってる皆さん聞こえてる?これより鬼ごっこを再開したいと思います。みんな逃げてねー」
いい所を見つけてすぐにそれは聞こえてもう探す時間がなかった。なので、とりあえず掃除用具入れに入る事にした。
大人2人が入る大きさだったが、俺と彼女が入ってギリギリになっている。
それはそうだ。彼女は顔がいいし匂いもいい極めつけはスタイルもいいのだから。
彼女の胸部の膨らみはブレザーでもそれの主張は高くそして柔らかさの中にも芯がしっかりしている事がわかった。
男としての帰巣本能と闘争本能が高まっていった。
だけど、今はそういうことを考えている場合じゃない生き残る事を考えなければいけないのに
本能には逆らえない
「ねぇ当たってる」
「ごめん」
「こっちこそ」
少しの沈黙が流れる。
キィー
扉が開く音が聞こえる。
すると
タン タン タタン
タン タン タタン
太鼓の音が聞こえてきた。
だんだんと近づいてきている。
守らなきゃ助けなきゃとそう思った。
助けてもらったからとかじゃなくて好きだから。
もう目の前の所で僕は飛び出して走り出す。
「うわぁー」
みっともない声を出して走り出す。
そこにもう誰もいないと思わせる為に俺が間抜けなフリをしないといけない。
カッコ悪い俺が最後なの悲しいかもだけど守れるなら。
廊下に飛び出して、出来るだけ遠くに逃げないと、死んでもいいだけど、
「誰かー助けてくれー」