3-9「蟻の大群もびーっくりだわ?」(4P)
「で、おじちゃん曰く~。
当時人気だったモデルさんが着てた服と同じものが流行って?
それが回り回って、あんなところで……
……出会ってしまったんですねぇ〜……
────革命的でした……!」
「────ああ、ココの」
「おや。呼び捨て。モデルさんを。」
「…………まあね。
モデル『ココ・ジュリア』。センセーショナルなデビューを果たした人で、俺たちにとっては馴染みが深いんだ。街のあちこちに、瞳をマスクで隠した女性の転写絵があるだろ?」
「覆面モデルさんのことだよね? うん」
「そう。彼女が『ココ・ジュリア』。
転写魔具の販売と共に、あっという間に服飾産業を発展させたんだ」
「へえ〜。
リック・ドイルじゃないんだ?」
言って彼女は首をかしげた。
ミリアの中で『覆面モデル』と言ったら今をときめく『リック・ドイル』と『ココ・オリビア』である。
二人とも、黒いマスクで目を隠すスタイルで、服飾産業に花を添えている。
──それは
元祖モデル『ココ・ジュリア』の意思
”服を売るのに、顔はいらない”
”皆平等に、着飾る服を選んでほしい”
”私は、服を彩る素材であるべき”
という姿勢を貫いたのが表向きの理由なのだが──
ミリアは、そこまで知らなかった。
目を丸めるミリアに、エリックは言葉を続ける。




