3-9「蟻の大群もびーっくりだわ?」(1P)
遠い国から来たターゲット。
マジェラの民だったという彼女に、エリックは再び問いかけた。
「…………で、
理由については聞いてもいいのか?」
「りゆう?」
「そう。
……まあ、純粋に知りたいだけなんだけど。
『君が、ここに来た理由』。
街道が設けられているとはいえ、パサー山脈を越えてきたってことだろ?
……なにか相当な理由」
「だってダサい」
「…………はっ?」
「ダサいんだもん。服。」
言われ、素っ頓狂な声が出た。
完全に理解の範疇を超えたエリックの脳が追い付かない中、ミリアの言葉だけは素早く返ってくる。
(ふ、ふくが ダサいから 出てきた?)
混乱の脳の中
エリックは一度、彼女の意図を考え、宙を仰ぐと
戸惑いながらも、問いかける。
「……なんの?」
「あっちの」
「……ふ、服が?」
「ダサい」
「………………え、ーと」
(ふ、ふくが ダサいから 出てきた??)
淀みない返事に、また再び呟くスパイ。
彼はスパイだが『盟主』だ。
『服がダサい』などと言う理由で国を出るなど、考えたこともなかった。
簡単には理解しがたい文言を飲み込みながら
隣で心底不満そうに黙る彼女に、なんとか脳みそを動かし────
「……………………ちょっと、待って。
君は、その……、
服が、かっこ悪いから、出てきたのか?」
「yes!」
拍子抜け・動揺を隠せない問いかけに、返ってきたのはとってもいい返事。
呆気に取られるとは、まさにこのこと。
思わずぽろりと言葉が漏れる。
「…………それ、だけで?」
「それだけじゃないよっ!」
思わずこぼれ落ちたそれに、しかしミリアは
『くわ!』と目を見開くと、ぐっと彼に詰め寄り口を開ける!




