3-8「お願い、黙ってて!」(4P)
言葉かけに、今度はミリアが目を丸くして喉を鳴らした。
────動きが、止まる。
はちみつ色の瞳を激しく、悩ましげに迷わせた後
……ばつの悪そうな表情で見上げると
「…………あー、おにーさん、勘がいいよね~……」
気まずそうに、苦笑いで呟いた。
その様子から推測できる、彼女の胸の内。
エリックは”さっ”と周りの様子を窺って、周りに人が居ないことを確認すると
ひそひそと、小さな声で述べる。
「……不思議だったから。
マジェラは”皆、力がある”はずなのにどうして力を使わなかったんだろうって」
「ウ、ウぅん……」
「────いや、いいよ。
考えていることはわかってる」
胸の前で握った指をもみながら、居心地悪そうに肩をすくめるミリアに首を振る。
きっと、彼女の頭の中でイメージ出来ているのだろう。
『魔術を使った時。そしてそのあと。
周りの扱いが、どう変わるのか』
『どういうリスクが、降りかかってくるのか』
(──────……)
考えたくはない。
しかし、あり得ない話ではない。
それを思い浮かべて、
気落ちするエリックだが
すっと、一息。
切り替えるように息を吸い、ひっそりと距離を詰めると
「…………つまり。
現状、今ここで君のそれを知っているのは、俺だけってこと?」
「…………う、うん。
いやー……ごめん……
……その、
言うつもりはなかったんだけど……」
問いかけに返ってくるのは、気まずそうな声。
そこにいつもの快活さは無く、あるのは居心地の悪そうな表情だけ。
目を向けるエリックの隣で、ミリアは頬をこりこりと掻きながら
『すぅっ。』っと息を吸い込んで、誤魔化すように、




