3-7「ねえ、付き合って♡」(5P)
(……まあ、一人芝居に関しては?
面白かったかもしんないけど?
…………今、笑うところあった……??)
と、内心、疑問符を飛ばすミリアの隣で、エリックはおもむろに口を開くと
「けれど、こういうものって……
普通は問屋の方から卸しに来ないか?」
「──あ。うん、来てくれるよ~」
「じゃあ、なんでわざわざ?」
「──ふっふー♪
『雨の日特別デー、10%オッフー』♪」
問われ、陽気な鼻歌交じりに答える彼女。
そしてそのままご機嫌に、指で『10』を作り、テンション高めに話し出す。
「10%だよ?
じゅっぱー!
同じものが10%も安かったら行くでしょ!
問屋さんって普通こういうことしないんだけど、そこは別でね?
雨の日大特価なの!
わたし、ほら、バイヤーもやってるし?
大雪とか嵐とかじゃない限り、10%は大きい!
行くっ。行くしかない!」
「…………へえ。
流石に、そういう時は出ないんだな?」
「……………………人をなんだと。」
「──……自覚ないのか?
君、かなりの『向こう見ず』だろ?」
「………………」
言われ、黙るミリア。
しかしエリックはさらさらと言い募るのだ。
「ナンパに駆けていくし、ナンパに嚙みつくし、靴は投げるし」
「────まあ。
否定できない」
「…………」
二・三拍ほどの間を置いて
認めた彼女に今度は彼が沈黙する番だった。
内心
(……そこは認めるんだな?)
とツッコミを入れるエリックの隣
彼女は
『ううぅぅん』と悩ましげに眉を寄せ、せかせか踏みあるくスピードはそのまま腕を組み、力いっぱい首をひねる。
「どーも。
どおおおおも、見過ごせないっていうか。
なんか、体が動くんだよねぇ?
なんでだろうねぇ?」
「…………俺に聞くのか?
自分のことは、自分が一番よくわかるだろ?」
「うん、だからあのね、漫才とか無理な感じです」
「…………え。そこに戻る?」
「掘り返してみました」
(『みました』って……、
…………いや、えーと)
エリックが一瞬
ミリアのキラキラお澄ましスマイルにツッコミを躊躇ったその時。
ミリアは、手のひらを返したようにその表情を真顔に戻すと──『さも当然』と言わんばかりに堂々と、




